愛@期間限定
2014.03.19 Wed 08:09
「起きなくていいの…愛ちゃん?」
「…今何時…」
「8時59分」
「うあああああ!!もっと早く起こしてよ弥生さん!!」
弥生…もとい母はどこか抜けている。
かつては伝説とも呼ばれたロックバンドのボーカルと結婚したが、あえなく離婚…。
「あーっ髪跳ね放題じゃん!もー縛ってこー」
そんな、伝説の父をもった私は、父の事が嫌いだった。
「リュウ…さん…?」
「…っ!」
リュウさん、父の名前だ。
「こっち向いて…」
「…やだ。」
私の顔…リュウさんに似ているんだ。母を…弥生さんを捨てた父に。
「愛ちゃん、お願い」
「…急いでるから。」
「…あ、そうね…ごめんね」
弥生さんも弥生さんだよ…こんな父を未だに好きだなんて…。
「愛ちゃん、行ってらっしゃい。愛してるわよ」
普段そんなこと言わないくせにさ…。
「弥生さん、愛してるよ」
最初で最期の言葉。
[*前へ]
[#次へ]
戻る