優しくしてね続編
芸能人沖田×一般人神楽



夏休みも終わり、新学期が始まったある日。同じクラスの新八という駄眼鏡のお姉さんと私の部屋でお菓子を広げて女子会のようなものをしていた。


「新ちゃんったらね、最近彼女が出来たとかいってよくわからないゲームに夢中なのよ。姉として、どう接したらいいかわからないわ」


「ああ。ラブチョリスアルカ。学校でもニヤニヤしながらやってるアル。姉御には失礼だけどマジで気持ち悪いヨ」


「ごめんなさいね。新ちゃんが気持ち悪くて。…あ、そういえば神楽ちゃん。彼氏が出来たんでしょう?どんな人?」


「へ?え、えーと…ドSアル」


他に言葉が見つからない。アイツの事をドSという言葉以外にどう説明しろというのか。


「へぇ…神楽ちゃんもSでしょう?気は合うの?」


「…合わないアル。アイツがなんでもかんでも突き通すアルヨ」


「神楽ちゃんはそれに従うの?意外な感じだけど」


「反抗してるアル。けどアイツは私が了解するような恥ずかしいこととか平気で言うし、襲われる時もあるから仕方なくネ」


「恥ずかしいことって?」


「ド変態のいったことなんて知らない方がいいし、口に出すのもおぞましいくらい気持ち悪いから聞かないでヨ」


「そう…神楽ちゃんは苦労してるのね」


「してるアル…」


ピンポーン……


部屋のインターホンが鳴った。誰だろう?
確かめに行こうと立ち上がると、ガチャリと音をたててドアが開いた。


「おい、ちゃんと鍵かけなせェ。俺じゃなかったらどうするんでさァ」


「……」


「あり?お客さん?」


「…初めまして。神楽ちゃんのお友達の志村妙です。びっくりしました。本当にそっくりで」


姉御に総悟がテレビに出ている沖田総悟と同一人物とはいっていない。前に同姓同名のそっくりさんだといった。


「初めまして。神楽の彼氏の沖田総悟です」


他人がいるとわかると他所用の顔で挨拶する。二重人格かコイツは。


「神楽ちゃんから聞いていたイメージとは違うわ。もっと意地悪な人だと思っていたから」


「ハハハ…こないだ喧嘩したのをまだ根にもってるからろくでもないこと言ったんでしょう」


ろくでもないことするのはお前ダロ!!


「フフフ。あら、私お邪魔かしら?そろそろお暇するわね。神楽ちゃん、沖田さんと仲良くね」


「え、姉御!!」


ガチャンと音をたててドアが閉まってしまった。

総悟はにこやかにしていた顔を一瞬で無表情に変え、私の隣にドカッと座った。


「おめェ、俺のイメージダウンになるようなこと言ってねェだろうな?」


「大丈夫アル。お前のイメージなんて元から悪いんだからなにいったって変わらないヨ」


「最近お前可愛げなくなったな。俺が年上ってこともわかってねェだろィ」


「わかってるアルヨ。おっさん」


「ぶち殺されてェのかィ?」


「総悟だって最近優しくないアル!こんなんなら付き合う前のただのお隣さんのままでよかったアル!!」


交際するようになってからの総悟は、テレビでみるようなドSっぷりを私に披露(悪い意味で)してくる。


「しゃーねェだろィ。こっちが素なんだから。本性も見抜かずに好きになったおめェがわりィんでさァ」


「見抜けるわけないだロ!!今まで優しくできたならこれからも優しくできるはずアル!!」


「そんなに優しい奴がいいなら他の男んとこいけや。いけるもんならな」


逃がす気なんてないくせに。私が逃げたりしないって分かってるくせに。


「いけねェよなァ?お前俺のこと大好きだし」


「自惚れんな」


「違うのかィ?あーあ。悲しいなァ。俺は神楽のことめちゃくちゃ愛してんのに」


「う、うるさいアル!」


「あ、照れてるー。かわいー」


コイツはいつも本当に思ってんのかわからないことを棒読みする。私にはからかってるようにしか思えなくてめちゃくちゃイライラする。けど、棒読みでも総悟が褒めてくれるのが嬉しかったりする。そんなこと本人には言わないけどな。


「……ところでお前、なにしにきたアルカ?」


「昼飯作ったから食うか聞きにきた」


「食べるアル!!」


立ち上がって叫ぶように言う。


「うるせー。近所迷惑だろうが」


そんなの気にしていられない。私はお昼ご飯が食べたいのだ!!


「早く行くアル!!」


「へいへい。戸締まりちゃんとしろよ?変なやつが入ってきたら困るだろィ?」


「うん」


総悟の言う通りに窓の鍵などをしめていく。付き合う前も戸締まりのこと気にしてたけど、これって私を心配してくれてるのかな?……そんなわけないな。乙女思考な私気持ち悪い。


「てかさ、お前が俺と一緒に住めばこんな手間省けるんだけど?」


「…………へ?」


一緒に住む?いやいやいや、無理だろ。お前と一緒にいたら心臓が爆発しそうだから無理、とか、でも嬉しかったり、とか、本人には口が裂けても言えない。


「まずはお義父さんに許可とんねーとな……」


1人でブツブツと呟く総悟。そんな姿もカッコいい。……ハッ!違う違う!カッコいいわけがない。コイツはド変態で、心配性で、意地悪で……カッコいい。これは紛れもない事実だ。


「……むかつく」


「なんかいったかィ?」


「なんもないアル!」


カッコよくて、ドSで、ド変態で、たまーに優しいあなたがむかつくくらい好きだなんて秘密、アル。



end
きら様、お待たせいたしました。優しい沖田が全く出てない気がするのですが、いかがでしょうか?よろしかったらお持ち帰りください。
書き直し、お持ち帰りはきら様のみお願いします。



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