相合い傘?(翌日)
「おじいさん、ちょっと出掛けてきます」
そう呼びかければあの日借りた傘を手に持ち巽屋へ向かう
「あの………」
「あら、貴方以前にきたわよね?なにか?」
「た、巽くん…いらっしゃいますか?」
「あぁ、完二なら部屋にいますから、どうぞ上がって?」
ニッコリと笑うお母さんはどこか巽くんに似た面影があった
「完二ー!入るわよ」
「Σゴラァァ!!!!!返事する前にあけんじゃねぇって何回いやわかるんだこのババァ!!!!」
「あらあら……そんな事いってていいの?お客さんよ」
「……客………?先輩か?」
「じゃあごゆっくり」
「………こ、こんにちわ……」
“ビリィィィ!!!!!!!!”
顔を出した直斗の姿に思わず手に力が入り布を引き裂いた
「Σた……っ、巽くん!!!」
「………え………?あ………Σあぁあぁ!!!???なんっじゃこりゃアアア!!!!」
引き裂いた事に気付いていなかった完二は直斗が突然きた事への予想外の出来事と頼まれものの為に作っていた布を引き裂いた事でのパニックに陥っていた
「お、落ち着いて下さい………!そ、その…今日はお借りした傘を返しにきたんです」
「……わざわざ、か……!?」
「はい………で、でもかえっていろいろと迷惑かけてしまいましたね……」
「ハッ、直斗が気にする事じゃねぇよ…それよりだ……わ、わりぃな……その……わざわざ……」
照れ臭いのかポリ、と指先で頬をかく
「いえ………あの、巽くんは……僕の事嫌いですか?あんまり…見てくれないから」
「Σば、ばばばばバカ野郎!好きに決まってんだろうが!!!」
叫んでから自分が何をいったのか理解すれば真っ赤になっていた
「よかった……僕も好きですよ?だから今度からもっと見て下さい。話しもしたいし……」
にこ、と嬉しそうに笑う直斗
チラリとその顔を見ればホッと安堵の息をはく
「……あぁ、わかった。とりあえず今日は茶くらい飲んでけよ。送らせろ」
「じゃあお言葉に甘えて、お願いします」
―――アルカナチャンス【運命】
少し距離が縮まった二人だった