貴方の声が聞きたくて




「……っしゃああ楽勝ッ!!!」


戦闘終了後、主人公は完二がずっと気になっていた

何故かイヤホン。完二にしては珍しい光景だった
花村ならいつものこと、で済むものの……あの完二が……


「なぁ完二。何聞いてるんだ?」

その瞬間ビクッと身体が跳ねた
「なななな何でもねぇっス!!」
明らかに動揺している……



その時はそれ以上追求しなかったものの翌日、直斗やりせといない時間はほとんど。
登校時も聞いていた


「………なぁ陽介。完二のやつ、何聞いてるんだと思う?」
「さーな。お前が聞けばいいんじゃねぇの?」
「はぐらかされたんだ………」

僅かにふてくされた主人公
はは…、と苦笑を浮かべれば
ピン、ときたのか悪戯な笑いを浮かべ提案してきた



「――――いいな、それでいこう」







―――戦闘中


「あ、あの……なんで此処(熱気立つ大浴場完二ステージ)なんスか?」
みるからに嫌そうな顔をする完二

「アイテムの取り忘れ。ほら、行くよ」



“先輩、敵三体きたよ!!!そんなに強い相手じゃないけど気をつけて!”


「敵三体………か。うん、これくらいなら楽勝だな」
「相棒!作戦Aでいくぜ!!」
「作戦Aって……ネームが古いぞ陽介」
「Σうるせぇよ!!!」

ブツブツ言いつつ確実に敵を倒し、残り一体……


「よし、陽介。完二にガルーラ!!!」
「任せろ相棒!!!」
「ええぇ!!!!!!????」


まさか味方からガルーラを食らわせられるとは思わず正面から食らいダウンしてしまった


「今だ相棒!!!!怨むなら相棒を怨んでくれよ完二!!」
「なんなんすかァァァァ!!!!!!」


イヤホンを取られ、半泣きの完二


「………………あれ?」


この声はどこかで…………


「はぁ………なんで巽くんを攻撃してるんですか……敵を倒して下さいよ………」
「直斗…………」
「はい?」



紛れもなく、直斗の声。
正しくいえば直斗の歌声がイヤホンからは流れていた

「だぁあぁああ!!!!もういいっすよね!?」
「………完二……………」
「……この前、三人でカラオケいったんスよ……その時にりせの野郎が録音してたらしくて編集して直斗のを……い、いや俺はいらねぇっていったんスよ!?」
「……………ごめん」






知らなくていい事もあるとこの日学習した主人公だった




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