相棒には負けました。




「なぁ陽介、テスト週間はバイトないんだよな?」
「へ……?あ、あぁ…ねぇけど?」

寝ていれば突然起こされ目の前には相棒の姿
その返事を聞けば言葉を続けた
「ならちょうどいい。パフェ食べに行かないか?」


………高校生が、しかも男子二人でパフェ…………


「ちょっ、わざわざなんで男二人でパフェなんて食う必要あるんだよ?!お前、菜々子ちゃんといってきたらいいだろ!?」
「それが出来ないから陽介と行くんだろ?」

さも当然という顔で言い放つ
まるで陽介が我が儘をいっているようでなんとなく自分がいたたまれなくなった



――放課後、連れていかれたのは美味いと女子の間で噂になっている新しく出来た店だった
この店はカフェには珍しく仕切りがある店で勉強にも向いていた


「すんませーん、イチゴパフェふ「イチゴパフェ一つで」」


注文を遮る相棒の声
しかも何故に一つ?


「……何でパフェ一つな訳?」
「甘いのは苦手だから。一人分じゃ多いし食べきれる訳ないから。分けてくれるんだろ?陽介優しいもんな」
「……………………」


悪魔だ。
おとーさんおかーさん、俺は悪魔を見てしまいました


注文して届いたのはイチゴと生クリームがたっぷりとのった美味しそうなパフェだった
成る程、これがこの店の1番人気だというのも頷ける

「食べねぇの?」

先にいいぜ?とスプーンを渡すも受け取らずに首を振る
変なヤツ、と首を傾げればパク、と生クリームを頬張る

「…………うっめぇ〜〜〜〜〜!!!」

パフェといっても甘さはひかえめ
なにより、生クリームとアイス、イチゴが混じりあうハーモニーはなににもかえがたいものがある


「ちょ、マジうめぇから食ってみろって!!!」


テンションが上がった陽介は半ば身を乗り出す形でパフェを薦めた


「うん、ありがと。でも俺はこっちで十分」

――一瞬何が起こったかわからず目を見開いた
口許についていたのだろう生クリームを、相棒はあろうことか平然と舌で嘗めとったのだ


「な、なな…………………」
「うん、うまい。………これなら俺も平気かな……」
「なんっじゃそりゃーーーッ!!!!!!」


真っ赤になればそう叫ぶもやはり相棒は冷静で…………



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