world's end umbrella
 2013.03.19
world's end umbrella/Feat.初音ミク




あの傘がだました日空が泣いていた
町は盲目で疑わない

君はその傘に向けて唾を吐き
雨に沈んでくサイレンと

誰の声も聞かずに彼は雨を掴み
私の手を取りあの傘へ走るの

二人きりの約束をした
絵本の中に綴じ込んだ

空を見に行こう!

刹那雨さえも引き裂いて
もう悲しむことも忘れたまま


崩れだしどこへゆく
螺旋階段はすすけて響いたしたり雨

泣きそうな私をそっと慰めるように
君は優しく私の手を

白い陰に追われて逃げた先に檻の群
訳を探す暇もなく気もなく

ふるえた手を君が支えて
私はそんな背中をただ見守るの

闇に溶けた歯車は笑う
ほらかすかに風が頬をなでる


白い陰はもう追ってこなくて
とても悲しそうに消えた
錆びたにおいも煤けた黒さえも
やがて色を淡く変え

どこからか声が聞こえたような
気がしたような忘れたような

螺旋階段の突き当たりには
とても小さな扉が
埃をまとい待っていた

そこにはなにもかもがあるように見えた
色とりどりに咲いた花深い青空

滲んだ世界に二人きり
もうなにもいらないわ

絵本の中綴じ込んだ空を
あるべき場所に返した忘れないように

君がくれた拙い花束を
笑いながらそっと肩を寄せた

世界の最後に傘を差す
ずっとこんな世界ならばよかったのに

悲しくないわ、君のそばで


花の咲いたその傘の上には
とても幸せそうな顔で

小さく眠る二人が居た…



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