キミと僕の
キミと僕の
10の約束
お題です。
絵・詩・小説などにお使い下さい。
人は顔じゃなくて中身と言うけれど一目惚れしてしまったのだからそんな綺麗事はもぅ言えないよ。だって、可愛いんだ。
電車に揺られる背中や、寒さをしのごうと絞殺されかけみたいな首に巻かれたマフラー。そんな愛しい君をただ見ていたくて、いつもより30分も早い電車に乗って後を追い掛けるのがいつからかの僕の日課なんです。
あ。
これは、きっと神様から頂けた最高のチャンス。
「定期、落としましたよ!」
レトロカラーの定期をじっくり眺めて指先で擦って君の温度を確かめるように、僕が触れた跡を残せるように、じっくりと。
「…ありがとう」
不器用に受け取られた定期を見つめながら僕は言う。きっと君の為に生きてきたこの数週間の思いが神に伝わって貰えたキッカケなんだ、重宝しないと。
「好きです。付き合って下さい」
1、メールや電話は毎日する
唐突な告白の後、君は笑った。
笑いながらいいよ、と頷いて呪文のような数字を言い列ねたからはてなマークを浮かべていると電話番号だと君はまた笑った。けれどまだ知らないことばかりなんだから仕方ない。これは一目惚れで、手探りでこなしている恋だから。
「だから毎日…1日に1つずつ、僕に、君を教えて下さい」
僕等の、最初の約束。
2、なるべく会える日は会う
少しずつ君を知るともっと好きになってたまらなくなる。話すだけでいいから、とお行儀よい恋を望んでいたはずの心は貪欲に君を求めるばかりで。
「だから、会いたいです」
無理は言いませんから。
それが僕等の二つ目の、約束。
3、絶対に浮気をしない
通っている学校が違うだけに毎日やり取りしてたって会える時には会ったって不安は募るばかりだ。その疑心は人間の性のようなもので僕はその心に嘘はつけず、君の学校まで来てしまったよ。
「今日は、会いたかったの?」
「っていうより君が学校の、僕の知らない他人と浮気しないかと心配で来てしまいました」
「しないよ。約束、するから」
小指と小指で交わした、約束。
4、なるべく一緒に帰宅する
夜は寂しくなってしまいます、と比較的帰宅時間が遅い僕が言えば君は笑いながらそれなら傍に居てあげる、と言ってくれた。
委員会で遅くなってしまう僕と、部活で遅くなってしまう君。
星が瞬き始めた藍色の空と蝿の集り始めた街灯の下を制服のまま、僕等は進む。
寂しくないように、約束しよう。
5、お互い言いたいことは言う
電話越しに君が泣いていた気がした僕は電車を乗り継いで君の家を訪れた。確証なんて無いし電車から1時間もたってしまったから君がまだ涙の海に溺れているかは分からなかったけどそれでも会いたい一心でチャイムを鳴らす。
驚いて、顔を赤くして笑う君。
「寂しいなら寂しいって言いましょう。言えないのは勿体ない」
少しでもいい。
素直な心を曝け出して下さい。
6、キスやハグは毎日1回はする
声を聞いても文字を見ても愛しい気持ちは酸素のように充満して、二酸化炭素を吐き出す度に僕を襲います。どうしたらいいですか。
「きっと、抱き締めたらいいよ」「…キスもしていいですか?」
「どれだけでもどうぞ」
優しい君に今日も甘えてしまう。
7、お互いを大事にする
プレゼントを貰いました。誕生日でもないのに、と訝しんだら照れくさそうな顔をして君は『電話もメールもキスもバグもデートの約束も待ち合わせも君からだから、お返し』と言った。
この恋は、どうやら一方通行ではないらしい。
8、時間を大事にする
お家デートの真っ只中に君の青い携帯が長く震えた。画面を開いてすぐ閉じる君に電話なら出てもいいよ、と寛大に答えたけれど君は『二人きりの時間なのにそんな勿体ないことしない』と答えて携帯を放り投げた。
「大事な時間だから、君も他の事を考えたらダメだよ!」
いつも、いつだって。
体も頭も君に支配されている。
9、愛を伝え合う
事有るごとに好きと伝える僕だけど君はうん、としか受け入れてくれない。受け入れてもらえるだけでいい、なんて純情な僕はもぅ掻き消されてしまった。
「好きです。」
「…うん」
「君はあまり、僕に好きだと言ってくれない。…君は僕が好き?」「好きだから傍に居る。言葉だけが、愛じゃないでしょ?」
好き、と伝えたがる僕。
好き、と言葉にしない君。
それでもちゃんと伝わったよ。
10、絶対に離さない
君と会えない時間は僕は兎のように寂しくて死んでしまいそうになったし涙で目が真っ赤にだってなりかけた。たった一人に会えないだけで死にそうになるなんて、愛は僕をとことん殺すのか。
「僕は君に依存してしまった」
「…そう」
「離れられないです。もぅ…君を離せない、離さない」
抱き締めても君は何も言わず僕に抱き締められていた。
毎日の電話もキスも時々の逢瀬も些細な繋がりも、たくさんの約束をしたけれどそんなのは君と居られない時の救急法に他ならない。
もぅ二度と君を離さない。
だからあの約束は全ていらない。
これもキミを束縛したいが為の
(僕の)
((我が儘…))
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依存気味の純愛。
定期から始まる拙い恋は約束に埋もれながら進んでいくんです。
恋人同士の約束って可愛いけど、それが相手の重荷になるとどうしようもない
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