脳内妄想話 信長編(ちょっと加筆)
2015.05.13 Wed
「父上と母上はお元気かしら…」
姫の呟きを聞いて
「たまには、親に元気な姿を見せてやったらどうだ?
久しぶりに帰るのだ、ゆっくり滞在して来るといい。」
とカッコつけて、姫を実家に送り出した信長。
数日が経ち、日に日に機嫌の悪くなる信長を、持て余し始めた家臣達。
秀吉「殿、日に日に荒んで来よんなぁ。
何や、みんなピリピリしとるし。」
光秀「殿が面倒なのは、今に始まった事ではないでしょう。」
(私は、毎日のように傷心の彼奴が見れて、嬉しい事この上ないですがね。フフフ…)
秀吉「ワイが渾身のボケ突っ込みしても、ニコリてもしてくれはらへんのやで。
姫さんが居らんだけで、こうも空気が違うねんな。
あ〜あ、姫さん、早よ帰って来てくれへんかなぁ〜。」
家康「…」
数日後、信長宛てに、棺桶サイズの桐箱が届きます。
なんという事でしょう。
中には、精巧に作られた等身大の姫人形がっ!
日に日に扱い辛く面倒になって来た信長に、業を煮やした家康の、苦肉の策でした。
家康「あ、殿、無事に届いたようですね。」ニッコリ
信長「ふん、小賢しい真似をしよって。
女童であるまいし、あんな人形を俺様が喜ぶとでも思ったか?
その様に女々しい物、俺様には必要無い!」
家康「そう、ですよね。
差し出がましい事をしてすみません。
直ぐに持ち帰らせて頂きますので、どうかお許し下さい。」(元々、僕の私物ですし。)
信長「…いや。
あの様に精巧に作られた人形は珍しい。
貰ってやらん事も無い。」
家康「流石、殿はお目が高い。
あれは、僕が南蛮渡来の人形職人に作らせた、世界に一体だけの人形なのです。
受け取って頂けて、嬉しいです。」ニッコリ
人形を受け取ったのは良いけど、大っぴらに晒すのは憚れるので、コッソリ私室に飾って眺める事に。
姫に生き写しな人形を、見れば見る程、寂しさばかりが募る。
「…ちょっとだけ一緒に寝てみるか…?」
そこに、早目に帰ってびっくりさせようとした姫が、コッソリ帰宅。
そっと部屋を覗くと、褥でブツブツと独り言を呟く信長。
ソロソロと近付いて行くと、褥から、長い髪が流れ出している。
「!!」
(私が居ない間、他の女子と…)
泣いて部屋を飛び出そうとする姫に気付いて、慌てて腕を掴んで止めようとする信長。
「嫌、離してっ!」
「待て、姫、違う!
良く見ろ、あれは人形だっ!」
「え?お人…形…?」
何とも言えない微妙な空気と恥ずかしさに負けた信長。
「腑抜けた俺様を見兼ねた家康が、姫そっくりに作らせたこの人形を、寄越して来たのだ。
言っておくが、俺様は別に、そういう趣味は持ってないぞ。
ただ、その…何だ、ちょっと…寂しくて、つい…な…。
だが、姫が戻った今、この人形は必要無い。
明日にでも処分する。」
「人形に罪は無いのですから。」
と宥める姫。
「ふふっ、何だか、不思議な気持ち。
妹が出来たみたい。」
姫が人形を気に入ったので、その後暫くは大切に飾られてたのですが、あまりにも精巧に出来ている為、たまに酔った信長が姫と間違って話したり抱きついたりしてしまう事も。(姫は面白がっていたが)
「どうにもややこしい。」
(これ以上、恥を晒す訳にはいかん。)
という事で、姫の両親の元へ贈る事に。
姫が嫁いで、寂しがっていた両親は、大変喜びましたとさ。
めでたしめでたし。
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