☆スキ、キライ(佐かす)
2013.04.05 Fri 04:42
・佐助→(←)かすが
・現代パロディ
・かすが視点
・通常通りかすが大好きな佐助
・恋心を自覚していないかすが
以上、ご理解頂けましたら、本文へとお進み下さい
『スキ、キライ。』
嫌いな奴がいる。
何が嫌いなのかは分からない。とにかく気に食わない。あいつが嫌いだ、と口に出せば、胸の中にストンとその言葉が綺麗に納まる。
とにかく、私はあいつが嫌いだ。
へらへら笑って。人の名前を呼び捨てて。何を考えているのか分からない顔してふざけて。そのくせ、時折ひどく真剣な顔をしてみせる。
気に食わない。嫌いだ。嫌い。大嫌い。
「かーすがっ!」
笑いかけながら、突如姿を現すのも嫌いだ。心臓に悪い。
「最近どう?あの人とは進展あった?」
「なっ…私とあの方はそんな仲じゃないっ!」
人の恋路を詮索して。
「そ?」
表情に少しだけ感情を見せて笑って。私の心を、乱していく。
フン、とそっぽを向いて見せても、しつこく後を追ってくる。なのに、気付けばいつの間にか消えていたりする。
寂しいとき、どこからかひょっこり現れて、他愛もない話を一方的に喋っていたりする。
ただ、側にいるだけの時もある。
そんな時、何かしゃべれと言うと、嬉しそうにお喋りを始める。
あまりの騒がしさに、黙れと言うと、「理不尽だなぁ。」と言って笑う。
身勝手な行動の一つ一つに、心が乱される。
嫌いだ、あんなやつ。
「かすがさん、それって…!」
黙って話を聞いてくれていた鶴姫の瞳が、キラキラと眩い光を放つ。
この話しの一体どこに、そんな表情をする要素があったのか。
溜息をついて、木陰のベンチから校舎を見上げる。…噂をすれば何とやら。一つの窓に、外を眺めるオレンジ頭を見つけた。
「あっ!おーい、かっすがー!」
こちらに気付いた途端、いつもの調子で声を張り上げてくる。
「恥ずかしいやつめ…!」
先に気付いたのは私だ。それを、さも自分が先に見つけたみたいに声をかけて来る。それにもまた腹が立つ。
視線を戻すと、隣にいた鶴姫はますます瞳を輝かせていた。
首を傾げると、愛らしい少女の口から小さく笑みが漏らされる。
「かすがさん、それって本当にお嫌いなんですか?」
「…当たり前だ。」
人の心をかき乱して。ろくな奴じゃない。
笑みを深めた鶴姫は、校舎に向かって大きく手を振った。
「猿飛さーん!私、あなたのことをバシッと応援してますからーっ!」
「なっ!?」
慌てて上を仰ぐと、猿飛は一瞬マヌケな顔をして、すぐに笑ってみせた。
「ありがとー!俺様、頑張るからねー!」
「はーい!あともう一押しですよーっ!」
な、なにが一押しだと言うんだ!?私を仲間外れにして話を進めるんじゃないっ!
あぁ、もう、イライラする!
「お前なんか、だいっきらいだ!」
END
心が乱されて面白くないかすがちゃん。
恋を自覚してからが実に楽しみです(笑)
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