幸村×佐助♀
 2012.01.08 Sun 09:52

初の女体化SS。

高校生設定。名前は変わらず「さすけ」です。













『春よ、来い』





短いプリーツスカート。モスグリーンを基調とした大人しい色をしているのに、君が履くと、何故だかとても魅力的に見えてしまう。
『だから隠して欲しい』なんて。言う権利が、俺にあったらいいのだが…。



「さすけ。お主、そのような格好で寒くはないのか?」
「寒いに決まってるじゃん。ほらみて、こんなに鳥肌っ」
モスグリーンからすらりと伸びた、真っ白な足。確かに鳥肌が立っていて、見ているだけで寒々しい。

…というか、わざわざ見せんでいい。
理性が揺らぐから。

「もう少しスカートを長くしたらどうだ?それか、下に何か履くとか…」
「んー、このくらいの長さがいいんだよねー。それに、もう慣れちゃったし。」
「それだけ鳥肌を立てておきながら、なにが『慣れている』だ。ばかものめ。」
「鳥肌にも慣れてるんですよー。」
やはり、こいつに口で勝つのはムリそうだ。クスクスと笑う顔が、憎たらしくも愛らしい。(だから余計に腹が立つ。)

はぁ。吐いた溜息が白くて、外気の寒さを実感した。

夏服でも冬服でも、彼女のスカート丈は変わらない。なんとも際どい長さを保って揺れている。
本当に絶妙に際どいそれは、まさに『見えそうで見えない』長さ。
見えるんじゃないかとハラハラしたり、見えそうでドキドキしたり。俺の気持ちは、あの布切れ一枚に振り回されっぱなしだ。

「せめてあともう少しだけでも長くしてはどうだ?」
「そんなちょっとの長さじゃ寒さなんて変わらないよ。」
「じゃあ、ひざ下まで長くすれば良い。」
「そんなダサいのお断り。」
ダメだ、やっぱり勝機はない。

ひらり。忌ま忌ましいスカートが、視界の端で風に揺れる。

確かに、綺麗な足を隠してしまうのは勿体ないかもしれない。多少はしたないが、その格好が似合っているとも思う。
ただ、俺以外の男の目にも、同じ光景が映っているという事実がどうにも嫌なのだ。

『その足を隠せ!俺以外の男に、お前の足をさらすな!』

…堂々とそういえたらいいのに。
残念ながら、彼氏でもなんでもない、ただの幼なじみである自分には、そんな我が儘を言う権利はない。

はぁ。本日二度目の溜息。

「溜息つくと幸せが逃げるよー。」
「逃げるような幸せなら最初からいらぬ。」
「ははっ 旦那らしいや。」

明るい笑顔。
笑う顔はクラスでもよく目にしているが、今目の前で見るこの笑顔は、クラスメイトが見ているものとは僅かに違う。

幼なじみである俺の前でだけ見せる、無防備な、純粋な笑顔。

俺の、大好きな顔。


「…。」
はぁっと、短く一つ息を吐く。

「あ、また溜息。」
「良い。好きに逃げれば良い。」

もはやスカートの件は諦めるしかなさそうだ。
なに、じき慣れる。慣れるさ。慣れてみせるさ!足の一本や二本がなんだ。スカートの中身は鉄壁に守られて、ちらりとも覗かないではないか。
何を恐れることがある?しっかりしろ、真田幸村!

そう。
『俺だけに向けられる微笑みがある』。
今はそれだけで十分だ。

うんうんと一人頷いていると、左手に何かが触れる。見れば、さすけの右手が、俺の左手をしっかりと握っていた。

「逃げちゃった幸せの分、おすそ分け。
…あったかい?」
「…。」

元々俺よりも平熱の低いさすけ。外にさらされていたその右手が温かい訳はない。
…の、だが。

「あぁ、とても温かいぞ。ありがとう、さすけ。」

そう伝えれば、照れ臭そうに笑って見せる。その顔が綺麗で。大好きで。

いつか絶対、「そんなに足を出すな。」「その足を他のヤツに見せるな」と、
『彼氏』という権限を持って、さすけに言ってみせると心に誓った。





END



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