独裁者と小さな孫
 2017.02.16 Thu 01:08
重かった‥
孫と祖父、祖母ものって絶対泣くんだけど(西の魔女が死んだ、も、ドラえもんのやつも)今回も結局最後見つかってから最後まで泣いてしまった。旅人の膝で自分のおじいさんが殺されんとしている喧騒から耳を背けつつ、このゲームはもうしたくないと泣きながら言う孫を、執拗に写してるところが、観ているこちらも苦しみが長く感じる。
普通の設定ならば不憫な祖父と孫を応援したくなるような話だが、いかんせん祖父は独裁者だった。逃走中の描写からいかに国民が彼に怒りを持っているか伝わる。
最初は銃を突き立て、次々と物を奪い逃げて行く祖父だが、後々はそれが収まって行く。捕まってからもやはりなすがままだ。そこでは国民の怒りに打ちひしがれているように感じる。しかし祖父は自己の独裁を我々の思うところの反省したのだろうか。だだ生き延びるための沈黙では。一度逃げるときの娘の言葉が頭をよぎっていた。反省、後悔しているのは、自らの暴君ではなく、逃げなかったこと??

逃走シーンは本当に緊迫感がはんぱない。何を言い出すかわからない子供を連れているからなおさら。自分の正体がばれたら殺される(それもとびきりむごくだろう)極限状態の中、嘘を言う緊張感。

ただの勧善懲悪、報復物語には見えないポイントがある。ニット帽、ヒゲのおじさんだ。大統領を見つけても、俺は殺しはしない、と言った人。自分は大統領の命で拷問されているのにだ。負の連鎖を避けるため。大統領を殺しても次待っているのは市民同士の殺し合いだと、大統領の首を撥ねるなら俺の首をまず撥ねろと、暴徒の前に首を差し出す。最後のこの男の出現で、この話は随分救いがあったかと思う。この男の言動をきっかけに我々はこの一見救いのないただ辛く苦しい映画から、我々の求めることとはなんだ、を、考えて行くことができる気がする。
踊らせろはよくわからないけれど。

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