金科玉条
 2011.05.24 Tue
※兄貴が最低





「馬鹿だな、リゾット。これでもまだわからねえか?お前の女は今こうして俺の腕の中にいる。女っついのはこういう生き物だぜ。俄に信じがたいだろうがよ、男っつうのもまたこういう生き物なんだ」
「……彼女は、」
「見たとおりだ。死んでる」
「……」
「残念だったな。でも綺麗だろ、珠のような肌だけど、死因は老衰だぜ」
「何故、どうして、」
「そりゃあ俺も人殺しだからな。今更後悔なんてねえよ」
「お前、……!」
「痛ッ!……おいおい、口ん中血だらけ」
「クソッ!」
「言葉が乱れてるぜ。暗殺者は冷静でなければいけない。誰が言った言葉だ?」
「どうして殺した!」
「俺が人殺しだからな」
「何故、彼女を!」
「この女が殺されに来たんだよ。ベッドに誘ったら、勝手に脱いで入って来やがった」
「理由にならない!……どうして、」
「聞きてえか?」
「……」
「復讐だよ。簡単なことだ」
「……何の、ことだ」
「お前、俺の男殺しただろ?」
「……わからない」
「殺したんだよ。暗殺の仕事ならわかる。だが、違った。手前は俺の男を殺した」
「本当にわからない、」
「わからねえ?嘘をつくな。思い出させてやろうか?でもどうせ、お前は思い出せねえ。なあ、今どんな気分だ?お前の女を『理由なく』殺された気分は。俺だって同じだ。『理由なく』手前に男は殺された」
「……プロシュート、それとこれとは、」
「違わねえよ。俺に懺悔をせびる前に自分のやったことを後悔しな」
「プロシュート、どうすれば、」
「あ?」
「どうすれば、許してくれる?彼女のことも、お前の男のことも、……だが、」
「俺を愛せ」
「……え、」
「俺を愛せよ。彼女を愛したみたいに、情熱的に。そして永劫を誓いな」
「おい、」
「ただし。俺はお前を恨み続ける。女のように、ねっとりと」
「……俺は、」
「ゲイじゃねえって?愛の形なんて関係ねえだろ」
「どうすれば、」
「そうだな、出始めに俺と肉体の関係を交えようぜ。彼女の横で、彼女に詫びながら俺を抱きな」
「それは、」
「出来ない事なんてねえだろ?なんせ、俺の男を殺した男だからな」

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