Vegas Wedding
 2011.05.03 Tue
「プロシュート、結婚しよう」
「はあ!?」
「結婚しよう」
「……唐突だな、」
「そんなことはない。この日のために俺はどれだけ、」
「お前の言い分はどうでもいい。どうしていきなり頭が沸いちまったのか聞きてえ」
「至ってまじめな話なんだが。それより、聞かせてくれ」
「何を」
「返事を」
「……」
「……その、すまない。いきなりで驚いたよな、プロポーズなんて」
「ああ、めちゃくちゃ混乱してるぜ。どうしたらいいかわかんねえ。少し考えさせてくれ。なるべく俺もお前も傷つかねえ最善の答えを出してやる」
「わかった」
「……」
「……」
「……なあ、」
「なんだ」
「どうしちまったんだよ、いきなり。お前の目的、」
「お前と結婚することだが」
「あ、ああ、そりゃあわかってる。けどよう、何が欲しくて結婚なんだ?姓か、家柄か、地位か、立場か、それとも」
「そうだな、……強いて言うなら、お前が欲しい」
「恋人じゃだめなのか?」
「別れる理由なんかいらないさ」
「結婚しようが同じだぜ。双方の契約をぶち切ればお別れだ」
「なるほど。なら、俺はお前と契約がしたい」
「契約は何でする?指輪か、ウェディングドレスか、婚姻届か?どのみち俺にはそんなもんはいらねえ。大体初めから薄給の俺たちには見込めねえよ」
「あ、その、」
「もし、だ。もしお前が俺に有形の契約を望むなら、俺はお断りさせてもらうぜ。俺が欲しいのは何よりも深い絆だ。形あるものに満足するような奴は興味がねえんだ」
「重いな」
「ああ。そういう覚悟のある奴なら、俺は結婚してやってもいい」
「……プロシュート」
「ああ」
「結婚しよう」
「……いいぜ」
「……よかった。実は何も持ってなかったんだ。指輪も、高級なレストランも、夜景も、どこかにつれていける車だって。そもそも金も、家も、まともな戸籍すらない。……それでも、俺はお前に、」
「もういい。これ以上言ったって状況が変わるわけじゃねえ、ただ虚しくなるだけだ。いいんだよ、俺たちは、これで」
「プロシュート」
「リゾット」
「愛してる」
「その言葉に嘘はねえな」
「勿論だ」
「……愛してる」
「……嬉しい」
「どうする?あんなこと言いつつも、こう……なんだかんだで盛大に祝いてえ俺がいる」
「そうか。なら、結婚式をしよう」
「どこで?」
「そうだな、近くの教会で」
「どうやって?」
「車で、そうだ、ギアッチョのを借りよう」
「ハンッ、ナンセンスだな!どうせならチキンを片手に神様に愛を誓ってやるんだ、『ファッキン・クライスト』ってな!」
「そう、それでいい。俺たちはそれで十分だ」
「だったらさっさと行こうぜ。行き先は地獄だ、俺たちに永遠なんて言葉はいらねえ。今を生きるために人殺しを続けんだ」
「ああ、悪くないな」

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