《hold a person Dear》
誰からも忘れ去られた廃棄の中にそれはありました。
蔦が蔓延る冷たい床に
なにものにも囚われてはいない彼がいました。
彼の前には彼女が横たわり、その唇は紫色にも関わらず
その顔は幸せそうに笑みを形作っています
彼女の周りには、赤く紅い鮮明な花が咲き乱れているようで
彼はその花を握り締めたまま譫言の様に繰り返します。
「君を愛し過ぎてしまったんだ」
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頬を伝うのは後悔の雫石
落ちたのは彼女に咲く朱い湖
広がる波紋、開く瞼
虚ろな視線の先に映らない彼を探す彼女
「悔やまないで」
彼女は最後にこう言った。
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