※ちょっぴりエロ、閲覧注意
目が覚めたら、朝でした。悟史くんのお家の、見慣れた悟史くんのお部屋でした。
昨日は沙都子が梨花ちゃん家に泊まりに行ったので、私は悟史くんのお家に泊まったのです。
でも、隣で抱きしめていてくれたはずの悟史くんがいませんでした。怖い夢を見て言い様のない不安に刈られていた私は、悟史くんを捜して部屋を出ました。
けれど悟史くんはすぐ傍に居ました。隣の部屋で、読書をしていたのです。
「さとしくん」
小さく彼の名前を呼ぶと、悟史くんは本から目線を上げて、にっこり笑ってくれました。
私はその背中にダイブ。
きゅぅっと後ろから抱きつきます。
「ちょ、詩音っ!」
悟史くんは慌てた様子で、真っ赤になっていました。
「その、あの、服、ちゃんと着てよっ!」
言われて初めて気づきました。私の胸元ははだけていたし、服は乱れていました。
「…、悟史くんが昨日、脱がせたんじゃないですか」
「そ、そうだけどさ、」
私はまた、もっともっときゅぅーっと悟史くんの背中を抱きしめました。悟史くんは私の心の揺れに気づいてくれたようで、どうしたの、と優しく聞いてくれました。
私が答えずにただただ悟史くんの背中に顔を埋めていると、悟史くんは後ろを振り向いて、そっと私の頭を撫でてくれました。
「詩音」
悟史くんが、自らの胸に回されている私の腕に手をかけます。
私の腕は簡単にほどけて。
悟史くんは私に向き直って、優しく私の頬を撫でてくれて、唇を寄せてくれました。
私もそれに答えます。
悟史くんの体重が、羽のように私にかかって、私は悟史くんの下、押し倒されます。
しばらく、口付けを続けました。
悟史くんとこんな風にしていると、胸が、きゅっ、となります。
切なくて、でも愛しくて、
蓋をすることの出来ないどうしようもない気持ちが、心で可愛らしく狂おしく、音を立てるのです。
「…、は、あの、悟史くん…」
「…何だい、詩音」
悟史くんの目線は痛いほど優しいのです。私に触れるその手も、唇も、痛いほど。瀬戸物の人形に触れるように。
「…わたし、いますごく幸せです。悟史くんは私にとても優しくしてくれて、かっこよくて、こんな風に触れ合うことができて、これいじょうの幸せってないんです。私いま、ふわふわで、あまいんです。…でも、でも、悟史くんは?…悟史くんは幸せですか。…私なんかと、…幸せですか?」
悟史くんは目を見開いて、でもまた目を細くして、私の大好きな笑顔で笑ってくれました。
「幸せだよ。…詩音可愛い。笑うと可愛いし、泣いても可愛いし、悲しい顔してても可愛い。怒ると怖いけどそれも可愛い。可愛いってね、外見が整ってるとかだけじゃだめなんだよ、詩音は中身も可愛いし。それに詩音に対する愛しさも伴ってないと、こんな気持ちは持てないんだ」
いっぱいいっぱい可愛いと言われて、私のすでにキスで火照っていた顔はますます熱くなります。
「さと、し、くん」
「詩音」
「…だいすき、です…」
「僕もだよ、…愛してる」
そうしてまた、私と悟史くんは唇を重ねました。