10…【私の気持ち・貴方の気持ち】
2011.04.05 Tue 22:17
【私の気持ち・貴方の気持ち】
兄が主役の歓迎会の二次会をしたカラオケボックスから帰ろうとした時、自分の誘いを断った私に向けた怒りを隠した表情が脳裏に思い浮かべるたびに寒気と震えが止まらなかった
「主任・・・……
今日はお疲れ様でした・・・」
と橋倉主任に声を掛けると
「え!!?あ!?
お、お休みなさい・・・」
と橋倉主任は戸惑い気味に返事をした…主任に対して今日の私の態度が何かを期待していたようにもとれる主任の態度に私は微笑みを浮かべるしかなかった
正直…私に寄せる主任の期待に応える気にはなれなかった、ただ…兄の魔の手から自分の身を守る事で精一杯だった
『私って・・・サイテーね』主任は私に好意を寄せている…それは分かる、男と女の間柄(あいだがら)に鈍感な私ですら主任の態度や仕草を見れば自ずと分かるだろう…それほどに主任は分かり易い
兄の事があって私は大人の男性に臆病で自分の気持ちを表(おもて)に出す事が苦手な私は、主任と別れた所から少し歩き…背後に主任の気配がなくなった事を感じて私はやっと後ろを振り向いた…
主任と別れた所には、街灯の灯りが寂しげに誰もいない道路を照らしているだけだった
アパートに帰って直ぐ私は軽く頭を洗いそのままシャワーを浴び、そのまま髪を乾かす事をせず潜り込むように粗末なパイプベッドに横になった
ギシ…とパイプベッドが悲鳴をあげる、その音を子守歌のようにして私は眠りについた
次の日(早朝)…
薄暗い部屋にメールの受信音が鳴り響いた
私は寝ぼけ眼で受信boxからメールを見ると2つのメールがほぼ同時に受信されていた
『誰からだろう・・・こんな時間に』時刻は只今AM5:00を回ったところだった
そして…私は凍った
2つのメール…1つは“咲夜華”からだった
内容も私達と別れた後、愛しのお兄様と素敵な夜をすごす事が出来た…という内容で私的には問題はない
ただ…もう1つのメールに問題があった、もう1つは兄からだった
内容は咲夜華のメールとは少し…いや、かなり違っていた
−−−−−−−−−−
※
ほとんどが兄から受信されたメール内容に基づきますが、所々で春咲が過去に経験した事もプラスして進行します
[春咲…俺から逃げて、橋倉に送ってもらって良かったな
その粗末なパイプベッドでいい夢見れたかい?]
と兄のメールは始まっていた
↑の内容から“[春咲…俺から無事に逃げれると思ってるの…]”という内容がとれる
そして後半部分では本人(咲夜華)の計画どおり、兄の前で酔っ払って兄の愛車で家まで送ってもらう…と筋書きどおりになったというところがとれるが、兄が私以外の女とsexするとは…とうてい思えなかった
そう…兄は私以外の女を潔癖過ぎる程に扱う
“『俺がお前をこんなに愛しているんだから…』”愛を私に擦(なす)り付け、私を異常な独占欲で監禁する
私が兄から逃げた5年間…兄は何も変わっていなかった…という事になる
だから咲夜華からメールの内容の“お兄様と素敵な夜をすごせた”とは何か裏がありそうだった
“異常”と一言で言い表す事の出来ない“愛”という名の執着心が兄と私…そして咲夜華、橋倉主任の運命を狂わせていく…事を私は心の奥底で悟っていたのかもしれなかった
一週間後…
「なんかぁ・・・安斎さんてぇ・・・この頃・・・痩せていってなぁ〜い?
元々細いんだから・・・ダイエットなんかしなくってもいいのにねぇ〜」
昼食後、事務員女子更衣室にて先輩方が咲夜華の噂をしていた
「どんなダイエット方法をしているのかしら・・・
春咲は安斎さんから直接どんな方法のダイエットをしているか・・・聞いてる?」
『私は名前で咲夜華は苗字なのね・・・』と苦笑いを浮かべつつ、私は首を左右に振った
“「そう…」”とがっかりしたような表情を浮かべる先輩に
「でも・・・あんなダイエット方法は駄目よ!?
病気でもなっているかのような顔色しているじゃない
あくまでもダイエットは健康的に痩せないと意味ないわよ!!」
と言いながら、先輩は誰からの差し入れか“苺ポッキー”をパクパクと食べている先輩に“「あんたは健康的じゃなくてもいいから、一度は痩せなさいよぉ〜」”と口々に冗談を言っていた
そんな先輩方に私は苦笑いを再び浮かべつつ、“『どうしちゃったのかなぁ…』”と心中で首を傾げた…ここ一週間、先輩方交友にお付き合いが悪い咲夜華を思い浮かべた
確かに、元々痩せている(出ているところはちゃんと出ているナイスボディ)咲夜華が急激に痩せていっているのは、誰から見ても“おかしい…”“変”という言葉が思い浮かぶ
私と同様ぽっちゃり体型の先輩が言うどおり“「ダイエットは健康的に痩せないと駄目」”と言うのに私も同意見である
『咲夜華・・・ダイエットしてるなんて言っていなかったのになぁ・・・』嘘偽りもなく包み隠さず話そうと約束した咲夜華が、私に何か隠し事をしている事に今更気が付いた自分に私は苦笑いを浮かべた
お昼休みが終わる5分前、私は再び事務所の自分の席に着座して数分後、咲夜華は休憩時間ぎりぎりで事務所に戻って来た
「間に合ってよかったぁ・・・」
少し息を切らし、ホッとした表情を浮かべ戻って来た咲夜華を見て私は改めて確認した
確かに…先輩方が口々に言ったように咲夜華の顔色は以前より悪く…そして痩せていっているようにも見えた、それも日に日に…だが、当の本人は自分自身の不調に気が付いていないようだった
親友の体調に気が付いてから更に1ヶ月後…
兄は研修医を経て、とある医学部附属病院・第二病棟に整形外科医と勤めだした新人Dr…新人Drとして初々しく1日の半分を外来を担当している兄は、時に私に何かを訴えるかのような視線を向ける
私は気付いて気が付かない素振りをしていた
社員食堂で私と咲夜華は向かい合わせに昼食を食べお昼休憩をとる為、休憩室に向かおうとした瞬間、私は絡み付くような兄の視線を感じ振り向くと兄は微笑みを浮かべ手を振っていた
『っ!!?に、兄さん?』少し後退りをする私と裏腹に咲夜華は手を振る兄に向かって手を思いっきり振った
『さ、咲夜華!?』彼女の行動に戸惑っている私に
「春咲!!お兄様に私!用があるから・・・ちょっと行ってくるね
先輩方交友の方、お願いね」
と相変わらず一週間前と同様、顔色の悪い頬を赤く染め兄の方に向かって走って行き、どちらともなく2人は手を繋ぎ私が向かう休憩室と反対方向に向かって歩いて行った
その光景は、何処から見ても恋人同士だった
−−−−−−−−−−−
※兄視点…
自分の左手に絡み付く生暖かさを不快に感じながら、それを表に出さず微笑みを浮かべていると
「晃(あきら)様ぁ・・・
早く“アレ”をちょうだぁ〜い
“アレ”がないと咲・夜・華ぁ・・・死んじゃうよぉ〜」
と言う“咲夜華”とかいう女は俺の前で膝まついた
俺は女の頭を優しく撫でながら
「僕を気持ち良くさせてくれたら・・・今日のぶんをあげるよ」
と俺が言うと女はコクリと頷きうっとりとした表情を浮かべ、俺のズボンのファスナーに手を伸ばした
「はぁぁぁ・・・晃さぁまぁ〜」
女は手慣れた手付きで俺自身を握り擦り始めた
「咲夜華・・・……
そんなんじゃぁ・・・いつまで経っても僕は気持ち良くはならないよ」
と優しく頭を撫でると女はコクリと再び頷き俺自身を口に含み律動のように出し入れし始めた…それはまるで、“「これからが本番」”と言っているかのようだった
「く・・・……
やっと少し・・・気持ち良くなってきたよ・・・」
と言うと、女は嬉しそうにコクリと頷き口の動きに拍車(はくしゃ)を掛けた
男遊びに慣れている所為か女のうではなかなかで俺自身も虜になりそうだった
女は俺自身にもう限界が近い事が分かったのか
「晃・様・・・我慢なさらないで咲夜華の口の中に・・・」
と促す…俺は女の口の中に白濁液を出した
“「はぁぁぁ…晃・様ぁ〜」”と言った後、女は口の中の液体をズズズ…と音を鳴らして飲み込んだ
※兄視点続き…
壁掛け時計はPM1:30丁度、午後の診察までに後30分程時間がある
俺が女の口で絶頂した後、俺は女に薬を手渡し、女はさっそく薬を服用した
「はぁぁぁ・・・晃ぁ・さぁ・まぁ〜・・・
欲しいぃ・・・早く早く・・・お願ぁいぃ〜」
女が薬を服用して10分後、女の目は生気を失いトローンとし始めた
女が欲しいと訴えた薬は、俺がまだ医大生だった頃に仲良くなった悪友が作り出した“非合法薬物”叉の名を“(*1)エクスタシー”という薬で悪友が最近になって作った薬は通常の“エクスタシー”より即効性に優れていた
女は服用してものの見事に10分後程で効能が表れた
『くく・・・……
そろそろだな・・・』白衣のポケットから携帯を出し手慣れた手付きで操作し電話を掛けた
“「後は頼んだよ…」”と一言言うと電話を切った
俺が女を一人残し部屋を後する際、背後から女の悲痛を浮かべた声が聞こえた
「ま!!?待って・・・下・さぁ・い・・・あ、晃様ぁ・・・」
虚しくドアが閉める音が響いた
女が一人いる部屋のドアを背に煙草に火を付けて間もなく一人の男が姿を表せた
姿を表せた男は当の俺から見ても背格好が良く似ている
俺はニヤリと笑みを浮かべ“「後は頼んだよ…
中の女…好きにしたらいいから」”と目前の男の肩を軽く叩いた
男が部屋に入って行くと女の声が響いた…それは先程の悲痛を訴える声ではなく歓喜を表す声と変化していた
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注意…*1…セックスドラッグ叉はデザイン・ドラッグといって、よく小説等では“媚薬”等というふうに表現されています
法にふれる薬です
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