7…【狂わされた…私の運命】
 2010.11.09 Tue 21:35
【狂わされた…私の運命】



事務員女子更衣室…
自分が昼食に食べようと作ってきた簡単弁当は、今日赴任してきた新人Drの兄によって食べられてしまい、私は仕方なく購買で売れ残ってしまったパンを2個買って一人寂しく更衣室(休憩室)で食べていた

『なんで・・・こうなってしまったんだろう・・・……』一人用椅子の上で靴を脱ぎ…私は体育座りをして両足を抱えため息を吐いた

逃げても逃げても追って来る兄…

兄から逃れる為、思い当たる努力をしたけど…全てが兄の前では水の泡になって意味持たない現実に…今まで築きあげてきた物が少しずつ壊れていくのを…私は黙って見ていなくてはならないのか…と先を悟り頭を抱えた



30分後…
昼休みを切り上げ事務所に戻ると事務長が“「ご苦労だったね…
先程、東Drからお礼の電話が入ったよ」”と言った事務長は鼻高々だったが、橋倉主任は少し不機嫌のようだった

私は少し苦笑いを浮かべ…席に着座して数分後、咲夜華からメールが届いた

[春咲!!
素敵な新人Drのお兄様と院内デートはどうだった!?最後に主任のお邪魔虫が入ったけど…お兄様が満足してくれて良かったね]

という咲夜華のメールに私は

[素敵な…て……]

とつつってそのまま…返信すると

[昼休みの主任の行動はかなりの見ものだったよ!!よっぽど春咲にぞっこんなんだね(≧∀≦)]

私をからかう咲夜華のメールにため息を吐きながら、主任の行動を頭に浮かべると…私は苦笑いを浮かべるしかなかった




悪夢のような今日1日も後わずか、私は早々(はやばや)と帰りの身支度をしていると兄からメールが入った

[定時で帰れるお前が羨ましいよ…
くく…あの橋倉主任の俺への浅はかな態度…改めて欲しいね…

お前と主任…どういう仲なんだ…俺を裏切るような仲なら…あの横暴な主任がどうなるかわからないよ]

との文章にニヤリと笑みを浮かべる兄の表情を思い浮かべた

『どういう仲って・・・』一人ため息を吐いた



そう…兄と私は兄の親が決めた…許婚(いいなずけ)同士、暴走し暴力を奮(ふる)う兄を食い止める為とった…苦肉の策だった
そして…兄の暴走と暴力が自分達の方に向けられないよう…回避策でもあった

だから…私は東の家を逃げた…兄と私が“許婚同士”と東の父と母から聞かされた日の夜に…

このまま…東の家に戻されたら…兄に捧げられた生け贄に仕立て上げられる…そうすれば、私は兄という檻の籠の鳥…逃げる為の羽をもがれた、哀れな籠の鳥



兄のメールが誰かに読まれる事がないよう除去した後、パソコンの電源を消したと同時に夕方の5時を知らせる時計の鐘が鳴った

「お疲れ様・・・春咲ちゃん
今日は本当にお疲れ様だったね・・・」

肩をポンと主任に軽く叩かれた後

「春咲、一緒に更衣室に行こ」

と咲夜華に誘われた後、主任に軽く頭を下げ事務所を後にした


更衣室…

『あぁ・・・やっと帰れる』と一息吐いて直ぐ

「春咲・・・多分この後、主任の“「送るよ…」”があると思うけど・・・……分かっているよね・・・どう対応するかって事」

“「っ!!?」”私は大きなため息を深く吐いた
案の定…職員専用出入り口にはニコニコと満面の笑顔を浮かべた主任の姿があり、主任の口からは“「春咲ちゃん、一緒に帰ろ!!」”と言われるのだった











「あの・・・主任、私・・・この先にあるスーパーに寄りたいので・・・此処まででいいです・・・ありがとうございました」

と深々と頭を下げると

「奇遇だね春咲ちゃん
僕も春咲ちゃんをアパートまで送ったら・・・スーパーに寄ろうと思っていたんだ・・・春咲ちゃんと一緒にスーパー、なんか新婚さんみたいだね」

と微笑みを浮かべた主任が目の前にいた
私は苦笑いを浮かべ“「そうですね…」”と言うしかなかった






スーパーに主任と一緒に寄った後、私と主任はスーパーで別れた




真っ暗なアパートの部屋に私の小さな“「ただいま…」”が響いた

そして…私がまず帰って一番最初にした事はアパートの部屋に備え付けてある小さなキッチンのコンロに火を付け2日前に作り置きをしたカレーを暖めなおす事だった…

『やっと・・・食べれる』一人では食べきれない量を1ヶ月に一回作り、4.5日掛けて食べる為、私が作るカレーはジャガイモが入っていない
勿論…ジャガイモの入ったカレーは好きだが、ジャガイモを入れると腐り易くなる為あえて入れていないカレーを、ご飯を盛ったカレー皿に注ぎ、水を片手にテレビ前にある小さなコタツテーブルに持って行きテレビに電源を入れカレーにスプーンを付けた




『今日は久しぶりにゲームでもしようかなぁ・・・』食べ終わったカレー皿とコップを洗い、残ったカレーを再び暖めなおすと昨夜の事を思い出した

『昨日は色々あったもんね・・・……』心中にあえて“兄”の名前を出さないようにした…
カレーの匂いが充満する私のアパートの部屋を勝手に私の目の前で物色した昨日の“兄”の姿を思い浮かべてしまうような気がしたからだった

私はため息を一つ吐いた後、ゲーム機の電源を入れ随分前にセーブをした所からスタートした

『えーと・・・此処からだっけ?』セーブをした画面を見て私は一人小首を傾げた
前にセーブした画面がなんとなく見慣れない画面だった

主となる二人のキャラクターをコントローラーで動かしながら、私は一つ…人のゲームを勝手に触るような事をする人を思い浮かべた

それは兄だった…
兄のゲームの腕は言葉で言い表す事が出来ない程…上手で幼い頃の私は密かにコントローラーを目の前で操作している兄を尊敬の眼差しで見つめていた事を思い出した一方兄の悪い癖も思い出していた…兄は私が一人でクリアをしようとしているゲームに黙って印を付ける…私が誰の物かを教えるが為に



キャラクター二人のアイテムを調べると…やはり見慣れないアイテムがあった

『やっぱり・・・』私は一人泣きそうになった、人は“「たかがゲームだろ?」”と思うだろうが、私にとって“『されどゲームなんだ』”と思うと複雑な想いを思い浮かべた…兄が自分の物にマーキング(印)した事は間違えないのだから

私はコントローラーから手を放した…瞬間、携帯にメールが受信された




今、私が愛用している携帯は2年前に買った少し時代遅れな携帯機種だが、操作にも慣れている為機種変更をする予定はない…そんな一昔前の携帯にメールが届いた

『誰からだろう・・・』手慣れた操作で受信boxを開いた

『え!?』見慣れないアドレスが記載されている…私は受信boxに記載されているアドレスを見ながら一人小首を傾げ受信メール画面を開いた


「ひ!!?」

私の狭いアパートの部屋に小さな悲鳴が響いた
受信メールの送り主は兄だった

『な、なんで!?兄さんからメールが届くの』一昔前の携帯には元々兄のアドレスが登録していたが、東の家を家出する際、兄に居場所を見付けられないよう…アドレスを拒否扱いにして除去していた

『なのに・・・何故・・・……』携帯を持つ手が小刻みに震え止まらない

メールの文章は、明らかに兄が書いた独特の文章だった…兄は私の携帯にメールする為だけにアドレスを変更していた

兄がこういう人…という事は私は知っていたが、此処まで私に執着し執念を燃やすとは思わず、自分の浅はかな考えに私はため息を吐いた




兄がわざわざアドレスを作り直してまで送ってきたメール内容のほとんどが病院のパソコンに受信された、兄のメール内容と同じだった…そしてただ一言下部にこう付け加えてあった


[春咲・・・お前は誰の物か分かっているだろ・・・……]

と謎めいた文章と共に動画が送付されていた

『え!!?動画・・・?』動画を示す送付された独特の専門文字に矢印だけが指していた


『み、見たくない・・・』という私の気持ちが小刻みに震える指を思うように動かす事が出来ず、今だに決定ボタンの上で止まっている…

兄から送られてきた動画…“『見てみたい』”と思った反面、今までの経験上“『見たくない』”という気持ちもあり…一掃(いっそう)の事“除去”してしまおうまで考えたが例え“除去”出来たとしても直ぐに兄から新たなメールが届くだろう…
感の鋭い兄は私がどう行動するが目に見えているだろう…から
私はため息を吐いた後、携帯の決定ボタンを押した






兄から送付された動画は450キロバイト、私の一昔前の携帯でぎりぎり見れる範囲内だった

動画受信が完了され自動的に画面が動画画面に移った…私はゴクリと生唾を飲んだ


動画は見覚えのない部屋を小さな声と共に何かを説明している

携帯の上ボタンを数回押し音を最大にして直ぐ画面に視線を移すと動画画面は何処かの見覚えの内部屋から薄暗い“何か(一目見て部屋的な物なのか分からない)”に変わっていた

『え!!?何これ・・・……』薄暗い動画画面の異様さを見た私は瞬時に小首を傾げて直ぐ小さな悲鳴をあげた
異様に薄暗い動画画面から聞こえた声は…紛れもなく兄の声だった

「い、嫌!!」

愛用の携帯を汚らわしい物のように手放した

停止ボタンを押されていない動画は停止することなく進む





450キロバイトというキロバイトは少し画面の鮮明さに欠ける

「はぁぁぁ・・・春咲ぁ・・・」

動画から響く兄の声は艶(つや)のある艶(なまめ)かしい声で私の名前を熱い吐息と共に呼ぶ…兄の表情は映像に映っていない為、分からないが多分…目に涙を浮かべ恍惚(こうこつ)な表情を浮かべているのだろう
5才年上の17才の兄に初めて会ったあの日から…私は恍惚な表情を浮かべる兄を何度も目にし瞳の奥に焼き付けてきた事を思い出していた

そう…兄は12才という大人の愛を知らない、まだ初潮もきていない私の目の前で自分の自慰をするさまを見せていた
動画から聞こえる…兄が発した言葉の内容と同じ私の名前を熱い吐息と共に


「はぁぁぁ・・・春咲ぁ
見て見て・・・……」

鮮明さに欠ける映像はまるでモザイクのようだったが、そんな映像でも動画は少し“知識”があれば何をしている映像か自ずと分かるだろう

兄は動画を撮れるよう設定した携帯のカメラの前で自分自身を自分の手で掴み擦る…時には握る手に強弱を付け兄の単調な作業に花を咲かせた

自分自身を握る兄の手には昨夜、私の目の前で部屋の中を勝手に物色し私の部屋にある洗濯籠から躊躇う事なく手にした使用済みの下着が共に握られていた


「嫌ぁぁぁ・・・……」

私は近くにあった布団を頭からすっぽり被り…少しでも兄の私を呼ぶ、艶めかしい声と熱い吐息が聞こえないよう布団の中で小さく丸まり震えていた



“「はぁぁぁ・・・春咲・・・
凄く気持ちがいいよ・・・はぁぁ・・・我慢が出来ないよぉ・・・早く早くこれを・・・春咲の中に注ぎたい」”兄の声がいつまでも…私の耳に響いていた





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