10…【続き…】
 2010.03.04 Thu 22:25
【ハッピーエンド】



「・・・」

何か囁いているような声で私は目が覚めた 

『ん!?翔さん・・・?』寝呆け眼の目に映った光景は、身動きしない私(?)を壊れ物を扱うように抱き抱え私の耳元で何かを囁いている彼の姿だった 

『翔さん・・・ごめんなさい』私は後退りするようにその場から離れた… 
私が目にした光景は、彼…翔に首を締められた事が原因で窒息死してしまった私を彼は満足気な表情を浮かべ“「夏華・・・君は誰にも渡さない・・・
やっと・・・君は僕だけの物になった』”と自分と私だけに聞こえるような小さな声で何回も繰り返し呟いていた 

異様な光景が広がる場所(車中)からどんなに離れても彼の呟くような小さな声は耳から離れなかった…私はその声が聞こえるたびに“『愛してあげられなくて…ごめんなさい』”と心の中で何回も唱えていた 




数分たったのか…数時間たったのか…今の私には分からない程、時は流れた 

耳を塞いた姿のまま、身動きしない私に誰かが声を掛けた 
どんなに耳を塞いても聞こえてくる…あの彼の声とは違って何か懐かしい声だった 

「誰・・・」

脳裏に聞こえる忘れ掛けた声は、何故かを幸せな気持ちにさせてくれた 

「夏華・・・」

次に私の名前を呼ばれた時には、声の持ち主が誰なのかはっきり浮かんだ 

「蓮・・・ど、どうしてここに・・・」

「夏華・・・君の声が聞こえたんだ・・・ 
ごめんよ・・・辛い思いばかりさせたね」

と言いながら、私を優しく抱き締めた

「蓮・・・私は・・・……」

「夏華・・・もう、何も言わなくていい・・・」

彼の手は私の頬を優しく撫で

「身体など・・・なくてもいい・・・
俺が知っている・・・夏華がいればいい・・・……」

「蓮・・・嬉しい・・・」

「さぁ・・・行こう・・・夏華
俺達の世界に・・・」






何処までも…

広がる…

貴方との世界…


穢れを知ってしまった私を…

貴方は何も言わずに許してくれた…

何も問わず…

私を攻めず…


お腹の子さえも…

愛してくれる…

貴方の暖かく…

包み込んでくれる…

大きな腕で…





あとがき… 
長らくお付き合いして下さり…ありがとうございました

ラストは選択小説風にしようと思っていましたので少し…いや、かなり時間がかかってしまいました…本当に申し訳ございません 


では、ここまで読んで下さって本当にありがとうございました


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