7…【僕と君の結び…】※18禁
2009.11.02 Mon 11:28
【僕と君の結びの意味を問う】…翔視点
蓮との現実のような熱い夢から私は目が覚めた
『蓮・・・……』眠気眼に映る視線の先には、いつもの狭い部屋が映っていた
『やっぱり・・・蓮はいないのね・・・
くす・・・当たり前よね・・・蓮がここにいる筈がないものね・・・』と苦笑いを浮かべた顔のまま、ベッドに座り小さなため息をしながら立ち上がった瞬間、腹痛を感じた
『痛・・・』痛みを感じた瞬間、股の間から何かが流れ出した
『え!!?何・・・?』流れ出た物は私が今までの人生の中で見た事のない液体だった
「な・・・何これ・・・」
指で謎の液体の感触を確かめながら、未だに自分の股の間から出てくる液体に私は戸惑っていた
「ど、どうしよう・・・」
右往左往をしている私の部屋にある時計の針は十時をとっくに回ったところだった事に気が付いたのは、もう少し後のことだった
それから一時間後…
『こ、この格好・・・おかしくないよね・・・』と思いながら、上司の甥に会う為、待ち合わせの場所にいた
前に会った時は私が一人暮らしをしているアパートに車で迎えに来た
その時は何も考えなかったが今思うと…何故、私が一人暮らしをしているアパートの場所を知っているんだろう…と変に思ったが多分、今働いている会社に勤める際に登録した住所を私の上司の叔父から教えてもらったのだろうと思った
私が知らないところで私のプライバシーを知られるのは嫌だが相手は同じ会社の上司、それは仕方がない事と納得するしかなかった
数分後…
「夏華、遅くなってごめんね
ここまでの道路が渋滞してて・・・待ち合わせの時間に遅れてしまったんだ・・・」
と言った彼に私は首を2.3回振った後
「私も今来たばっかりだから・・・大丈夫だよ」
と愛想笑いを浮かべた私に彼は頭を描きながらニヘラと笑った
「じゃぁ・・・行こうか」
と彼が言った後、私と彼は歩き出した
『今日は何処に連れてかれるんだろう・・・早く帰りたいなぁ・・・』始まったばかりの彼との二度目のデートは彼の顔を見て直ぐ“帰りたいモード"に突入した
今日の彼とのデートコースは、昼食まで街をぶらぶらとウインドーショッピングをした後、彼が運転する車でドライブをして夕食には彼が今日の日の為に3日前から予約した郊外にある高級ホテルの最上階にある展望レストランでディナーを食べるというコースを彼は赤面して言った
私は“「素敵なデートになりそうね…」"と微笑みを浮かべて言ったが内心は“『このデートコースを蓮と一緒に回れるのなら…どんなに私は幸せか…』"と叶わぬ想いを浮かべた
※翔視点(少し前から)
「早く動きやがれ!!」
車のハンドルを“ダンダン…"と叩きながら車の中で独り言を言っている僕はかなりイライラしていたが、相変わらず車は思うように進まなかった
一人ため息をついた後、自分が着ているジャケットの中からメモを取出し
『夏華・・・僕が考えたこの完璧なデートコースを喜んでくれるかなぁ・・・』と一人笑みを浮かべ、再びメモをジャケットにしまった
その後、僕が運転する車は少しずつ走り始めた頃、夏華との待ち合わせ場所を車で通りかかった
『あ・・・夏華、僕をちゃんと待っててくれてる』僕は待ち合わせ場所の近くの駐車場に車を止め、夏華が待つ待ち合わせ場所に向かった
「夏華、遅くなってごめんね
ここまでの道路が渋滞してて・・・待ち合わせの時間に遅れてしまったんだ・・・」
と言うと夏華は首を2.3回振りながら微笑みを浮かべて
「私も今来たばっかりだから・・・大丈夫だよ」
と言った夏華の顔を見て“『可愛い』"と思いながら僕は頭を描きつつニコッと笑みを浮かべた
「じゃぁ・・・行こうか」
と僕がリードすると夏華は返事をして僕達は歩き出した
僕が待ち合わせ場所に決めた街は、恋人同士が必ず待ち合わせ場所にする有名なデートスポットで街のふいんきからいっても彼女が喜んでくれそうなおしゃれな創りになっていたから、この街を行き交う人達のほとんどが恋人同士だった
『さすが、有名なデートスポットだな・・・』と周りをキョロキョロすると皆は二人仲良く手を繋いだり、腕を組んだりしていた
僕の人生2度目のデートでは、1度目のデートで果たす事の出来なかった…少しでも夏華に触れる事が出来たらと思っていた
『まずは・・・手を繋ごう』と自分の手を見ると、極度な緊張からか手に脂汗をかいていた…僕は仕方なく自分の服で手を拭いた
『これで・・・手を繋ぐ事が出来る』小刻みに震える手を夏華の前に差し出し
「夏華・・・手を繋ごう」
と僕の隣を歩く夏華に声を掛けた
・
私は身体を固くし、時々彼に気付かれないように気を使ったため息をしながら
『早く帰りたい・・・』と思っている私の前に彼は何を考えているのか、手を差し出した
“え!!?"と言う表情で私は手を差し出した彼を見上げると
「夏華・・・手を繋ごう」
と言う彼の手は興奮しているのか小刻みに震えていた
彼と手を繋ぐのを拒否する分けも見当たらず、彼の手を拒む事が出来なかった
彼は自分の手と繋いでいる私に満面な笑顔を見せた
※翔視点
僕達は何処かで軽く昼食を食べた後、僕がここまで運転してきた車に乗る為駐車場に向かって歩く事にした
「夏華・・・夕食のレストランのディナーまで時間があるけど、何処か行きたい所ある?」
少し寂し気な表情の夏華に声を掛けた
叔父が言った“「村井君には心に決めた彼がいる…」"と夏華は自分とのデートを本当はしたくない…という事も知っていたうえで、僕が夏華に無理を言って付き合ってもらっている事も分かっている…だが、もう僕の夏華を想う気持ちは止められない…例え、夏華から別れを求められたとしても…
と夕食まで何処か行きたい所があるかと聞くと夏華は微笑みを浮かべ
「私、ドライブでいいです・・・」
と言った夏華に僕は苦笑いを浮かべた…夏華の心境は手に取るように分かっていたから
「そう・・・じゃぁ、僕が夏華と行きたいと思っていた所でいい?」
と車のエンジンをかけながら言うと、夏華はコクリと頷いて“「はい…」"と返事をした
運転し始めてから2時間程走った頃、僕が夏華と一緒に来れたら…と思っていた目的地に着いた
そこは、一面に季節感溢れる花々が美しさを競うように咲き乱れる花のテーマパークで僕達が訪れた季節は、僕の顔より大きいダリアの花と美しく可憐な花、秋桜の花が一面に咲き乱れ、青い空と色とりどりの花達の共存がとても美しかった
「翔さん・・・とても綺麗ですね・・・
連れて来てくれてありがとう・・・」
と僕に偽りのない笑顔を向ける夏華を見て
『連れて来てよかった・・・』と思った
僕と夏華は不自然なく手を繋ぎ夕食までの時間ゆっくりと花を見たり、テーマパーク内の喫茶店でハーブティーを飲んだりして過ごした後、僕が今夜の為に予約した高級ホテルに向かう為、花々のテーマパークを後にした
・
彼が予約した展望レストランがある高級ホテルまで、花々のテーマパークから約1時間半の掛かった
ホテルのレストラン専用のエレベーターで最上階まで上がった彼は、手馴れた仕草でカウンターに向かい
「予約した"奥村"です」
と声を掛けると
「お久しぶりです・・・"奥村様"お待ちしておりました」
と彼に頭を下げた
私と彼を誘導したウエイトレスに彼はメニューを見ず
「いつものお任せで・・・」
と手にしたメニューをウエイトレスに渡した
ウエイトレスは彼に頭を下げ、その場を離れた
私はレストラン内を物珍しくキョロキョロ見回した後
「あの・・・翔さん、このレストラン以前来た事があるんですか?」
と首を傾げる私に彼は微笑みを浮かべ
「家族の記念日等に僕が子供の頃から・・・よく来てるから、このホテルの関係者は僕と顔見知りなんだ
それに、このホテルは僕の叔母が所有するホテルだから・・・」
「そ、そうなんだ・・・」
と私は苦笑いを浮かべた
彼の処遇と私の処遇の違いに驚いた反面、これを気に彼に別れを告げることが出来ると…心を撫で下ろした、私のような身寄りのない者より身内のはっきりした彼につりあう人が彼にはいいと思った
ディナーも半ば頃…
彼は寂しげな微笑みを浮かべ
「夏華には、僕より心に決めた・・・人がいるんだろう・・・
なのに・・・無理を言って二回も僕とデートしてくれてありがとう・・・
僕のわがままもこのデートを最後に・・・僕は夏華と会わない・・・だから、最後まで僕と付き合って欲しい・・・今日一日僕の彼女として」
信じられない事に…彼から私に別れを告げた
私の目には自然に涙が溢れ
「こんな・・・私を好きになってくれてありがとう・・・
翔さん・・・私と貴方の間に"彼"と"彼女"関係がなくなったとしても・・・私、貴方と新たな関係を築いていけたら・・・と思っているの」
と微笑みを浮かべる私に彼は
「ありがとう・・・夏華」
と言った
お互いの目には涙が浮かんでいた
それから30分後…
最後のデザートにホテル特性のケーキと珈琲が出る頃、私は何故かテーブルにうつ伏せの姿勢で居眠りをしていた
居眠りをしている私の耳元に囁くような彼の声が聞こえた
「奥村様・・・お連れの方、よっぽどお疲れになったんですね」
「そうだな・・・
夏華・・・車まで少し歩けるか?」
と彼の問い掛けに私は返事をした記憶を最後に深い眠りの世界に入っていった
どれほど私は眠ったのか…
何故、あの場で眠ってしまったのか…
分からないが、多分…自分から彼に別れを告げなくてはいけない…と覚悟をした時に彼から私に別れを告げてくれた事に私の緊張の糸がぷっつりと切れ、安心した瞬間、急に睡魔に襲われたのだと私は思った
眠っている私を彼はわざわざアパートまで運びベッドに寝かしてくれたのか…柔らかい布団の感触を感じた
私は寝呆け眼を開け
「ありがとう・・・翔さん」
と言った後、再び眠りにつこうとした瞬間、私の唇に何か暖かいモノが触れた
「ん・・・?」
自分の唇に触れた暖かいモノが何か確認をしたかったが睡魔の方が勝っており、私は再び深い眠りに入っていった
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