とっても短い文をちょこちょこ載せよう!という管理人の思い付きによってできました。
一つ一つの文に繋がりはありません。甘かったり暗かったり意味わからなかったり。
少しずつ増える予定です。
(「く」を順番間違えて上げてしまいました。うっかりですのでどうか気にしないでやってください…)
いつもみたいに笑ってほしい、今すぐに。それなのに山本は、いつまでも真剣な顔をして俺のことを真っすぐ見つめてくるのだ。山本の目の中で、俺がゆらゆらするのが見える。頭がくらくらした。やめてくれ、そのせいで俺はおかしくなりかけてんだ。俺を好きだと言ったお前の言葉に、頷こうとしてるだなんて。(獄寺)
ロマンチックなシチュエーションなんかに女の子は憧れるんです。わかってますか、ハルだって女の子なんですよ。可愛いブーケも甘い言葉も大好きです。でも我慢します。貴方が居れば何もいりませんから。ねぇ、ですからお願いです。帰ってきてください。何年だって待ちます。だから、お願い、(ハル 十年後)
灰色の空が、ざあざあと水を落としている。隣から面倒臭そうに鞄を開ける音がした。俺も同じように折りたたみ傘を出そうする。ふと気づく。確か傘は、昨日親父に貸して、そのままだ。ちらりと隣を見ると、獄寺の手には黒い傘がある。当然一本だけ。遅れて獄寺もこっちを見た。ぱちり、目が合う。雨はまだ止みそうにない。(山本)
日曜日の午後だった。しん、と静まり返った俺の部屋の玄関で山本はただ俯いていた。仕方なく俺が口を開く。ああ、そうかよ。その瞬間、弾かれたみたいに山本が顔を上げた。ひどく泣きそうな顔をしていた。ふざけるなと思う。泣きたいのはこっちだ。お前にコイビトができたなんて聞きたくもなかった。(獄寺)
骨張った白い手がノートに文字を走らせていく。面白いと思って整ったそれを見ていると、ふと動きが止まった。僕に気づいた獄寺がこちらを睨んでいる。頬が緩むのを感じた。字、綺麗だね。そう褒めると、意外だったのか彼はキョトンとしてみせた。ああ、それ可愛い。思わず口に出していて彼に怒られたけど、悪い気はしない。(雲雀)
返信のない携帯を指でなぞりながら昨日のことをぼんやりと思い出す。嫌いだと怒鳴られ、思わず同じことを言った。その瞬間の傷ついたような顔。自分勝手な奴だと思ってもどうしてもそれが頭でリピートして、そうしてとうとうメールしたのが15分前。いつも俺が折れちゃうんだよなぁ。そう苦笑いすると、指先に振動を感じた。(山本)
飛び出したい。急にそう言い出したもんだから正直慌てた。震えそうな声を隠しながら理由を問うと特に無いと言う。ただなんとなく思っただけだと、山本はあのあっけらかんとした様子で言ったのだった。おかげで今度は俺がそのことにぐだぐだと悩む羽目になっていたりするけど、なんだか癪に触るし黙っておこうと決めている。(獄寺 ちに続く)
チャンネルを回しても特に興味を引かれるものがないから、とりあえず適当なバラエティ番組で止めた。静かな部屋の中に、テレビのやかましい笑い声が響く。それをただ無表情で眺めてる俺はきっと何より滑稽だ。ふと、この間の山本の言葉がぼやりと浮かんだ。ああ。妙に腑に落ちたような気がした。なんとなく、飛び出したい。(獄寺)
隣人とは仲が良いわけでもなんでもない。だから隣のオバサンが俺の部屋のチャイムを鳴らした時はかなりびっくりした。しかも開けて見れば立派な筍持ってるし、正直、日本人意味わかんねぇと言いたい。何で他人に物を分け与えるんだ。でもまぁその優しさに免じて許そう。だから山本。「これで何か旨いもん作れ」「…ははは」(獄寺)
濡れたコートを脱いで近くにあったソファに投げる。湿った布独特の重たい音がした。ただいまの代わりに、寒かった、と少し大きめに言ってみる。返事はない。靴はあったから居留守のつもりらしい。相変わらずつれないのな、と笑うと、コートが皺になるぞ、なんて奥から不機嫌そうな声がして、それから笑い声が続くのだった。(山本 十年後)
ルビーが光るのがまた見えた。髪の間から時折見えるそれは、俺の見覚えのないイヤリングだった。ああ、これ綺麗でしょう?俺の視線に気づいたハルが嬉しそうに笑う。でもホントはエメラルドが良かったんです。獄寺さんの瞳とこっそりお揃いにしたくて。ハルはそう言うと頬を赤らめた。顔が熱くなる。恥ずかしい奴だなお前。(獄寺 十年後?)
大きなウサギのぬいぐるみを持った山本。この不審者丸出しの奴が玄関先に立ってるのを見た瞬間ドアを閉めた。山本が何か叫んだ気がするけど気のせいだ。そう気のせいだ幻聴だ幻覚だ。パイナップルの陰謀だ。そうに違いな「獄寺これ欲しがってたからゲーセンで取ってきたー」「大声で言うんじゃねぇこの馬鹿野郎おおおお!!」
(獄寺 を→お にしました)
わかってよ。震える声が病院の白い壁に反射して妙に響いた。隣に座る彼の肩がびくりと揺れる。そこに巻かれている包帯から血が滲むのが見えた。また泣きそうになる。声だけ届いたって意味がないのに、怪我を責める理由も無茶して欲しくない理由も宙にぶら下がったままじゃないか。わかってくれよ。君のことが、心配なんだ。(綱吉)
「簡潔に言えば山本とは」この続きについて考えてみる。この文章は「俺による山本の分析」について述べようとしているものであり、続きにはその結果が来ると考えられる。ではその内容を具体的に考えてみよう。山本とはどういう人間であるか。まず、「獄寺くんどうしたの、なんか楽しそうだね」「そ、そんなことないです!」 (獄寺)
よく笑う子であった。よく怒る子でもあったけれど、可愛い弟だった。その弟が今傷ついた顔で私を見ている。そしてその理由は、私があまりにひどい顔で彼を見ているからなのだ。彼という存在が、私にとってどれほど大切だったのかを思い知る。でももう遅い。大切な、誰よりも可愛い私の弟は、今日初めて人を殺めたのだった。(ビアンキ 十年後)
黒いトグロを巻く空が瞬く。続く低い唸り。子供の頃はよくこれに泣かされた。実を言うと今もまだ少し苦手だったりするけれど、少なくともこの仕事を続ける限りでは、それは口にしてはいけないことだと知っている。もっと恐ろしいことがある。泣くべきは今じゃない。こんなことばかりを学んでヒトは大人になるのだ。哀しい。(ランボ)
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