花火
2013.08.15 Thu 22:23
少女は泣く
花火の日は、少女の厄日だ。
並ぶ屋台、行き交う人々、綺麗に咲く花火
それらは全て少女に
悲しみを
寂しさを
辛さを
自分は独りだということを思い出させる。
それをわかっていながらも、花火を見に行く少女は馬鹿なのだろう。
少しの期待をしていながらも、結局は裏切られる。わかっているはずなのに。
そして少女は誓うのだ。
来年は絶対に、この土地には戻ってこない。
もう二度と、この場所で花火なんて見ない、と。
嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い
人が憎い
人が羨ましい
人が怖い
人が、人が、人が…
そう思う自分が、少女は嫌いだった。
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