純情ひーくんの奮闘(^^)














「な、なぁっ…影山、今日開いてる?」
「…?開いてるけど、何?」
「も、もし良かったら、ラーメン食いに行かね!?」












気になっている、もしくは好きな人物を食事に誘う。
聞こえは良いが、それでフワフワときめくのは恋に恋する男女だけだ。生憎チームメイトで同性同士のおれたちにそんなロマンチックな雰囲気は漂わない。まぁ、漂ってしまってはそれはそれでマズいと思う。



それにこれはおれの一方的な片思いだ。影山に余計なことを言う必要はないし、何より男同士の恋愛だなんて普通じゃないんだ。もし嫌われたりなんかしたらこれから先バレー部にいられる気がしない。気まず過ぎて。

頼む、気づかないで。

お前はおれのチームメイトであり、"友人"として高校三年間おれの隣で過ごしてくれれば万々歳なんだよ!!はっはっは………








と、心の中で余裕ぶるのは簡単だ。大切なのは、現実でその態度をいかに維持できるのか、ということだ。


なのに、なんださっきのどもりっぷりは。あああ影山がおれを不思議そうに見ている!!くっそ、可愛い!でも、それに対するおれのキョドーが不審すぎてヤバい!!
平常心?なんだそれ!!
何が自然な友人関係だ!バカバカ俺のバカ!





!







「………ぷっ」



…………ん?あれ、影山さん、もしかして
笑ってる?

「だって…お前、顔真っ赤だぞ。耳までっ…ぷぷっ、茹でダコみたいだ、」




………そんなの言われなくても分かってるよ!!あぁ、影山の大きな瞳に今のおれはどう映っているんだろう。
同級生一人まともに誘えない(これが普通の友達なら真っ当に誘えてるさ)、それはそれは滑稽な奴に見えているんだろうか。
あ、でも屈託のない顔で笑う影山は本当に可愛い。


恋はもーもく、なんて言うけど、こんなに影山のことで頭が一杯なおれは間違いなく重症だ…末期患者だ。
うああ…恥ずかしすぎるぞコレは!!あーもう顔あっつ!!







「そんなに暑いのにラーメン食いたいのか?変わってんな、お前。」








………ちょっと、影山さん。おれのときめき返して。ついでに数秒前までのおれの恥じらいも返して。





「なっ…!別に暑いとかそんなんじゃ」
「ま、いーか。行こうぜ。駅前に新しく出来た所だろ?」
「へぇい!?…おぉお、おう…!!」





よっしゃあああ影山とラーメン!!しかも!!心なしかだけど、影山ちょっと乗り気な感じじゃなかったか!?
……てかなんで影山、駅前に新しくラーメン屋出来たこと知ってんだろ…?
ま、いっか。もし影山がラーメン好きだったらまた誘えるしなっ。




そんな風に浮かれてたから。


影山を挟んだ日向の反対側で月島が、小声で「ね、僕の言った通りでしょ、王様っ」と囁くのを。
ほんの少し頬を染めた影山が「………うっせ」と呟くのを。




恋する少年は、知る由もなかった。






知らぬが仏
(じゃ、じゃあ行こうぜ影山っ)
(……あぁ)
(あーあ、おチビも王様も嬉しそうにしちゃって。バレてないって思ってんの、日向だけだよ?)






両思いなことをすっかりお見通しな月島くんペロペロ(^p^)
ハイキュー、初書きはやっぱり日影で…。ありがとうございました!

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