吹雪は本当に強いと思う。ある日突然家族がいなくなるなんて、俺には皆目想像もつかない。そんな壮絶な過去を持っているというのに、吹雪はいつも笑みを絶やさない。

「風丸くん?」
「な、なんだ?」
「大丈夫?随分考え込んでるみたいだけど」
「いやなんでもない、大丈夫だ」
「そう?」

ならいいけどと再び読んでいた本に視線を戻す吹雪の首にはもうマフラーはなかった。もう敦也はいないのだ。

「……吹雪」
「なに?」
「敦也がいなくなってから寂しくなったりしないのか?」
「敦也?……うーん、そりゃあ寂しいさ、一人で寝る夜は静かで、酷く虚しいよ」


ここだけの話し、時々泣いちゃうんだと、切なく笑う吹雪を見て、ああ俺はなんてことを聞いてしまったんだろう、吹雪にこんな顔をさせるなんて。最低だ、と自分を責めていると、吹雪はゆっくりと続けた。

「でもね、今は風丸くんがいるから平気だよ」

バッと顔を上げると吹雪はいつもの笑顔に戻っていた。

「俺、か?」
「うん、もしも風丸くんがいなくなっちゃったら僕はどうにかなっちゃうよ」

だから、風丸くんはずっと僕の側にいてよね。と差し出された小指にゆっくりと自分の小指を絡めた。



いつかさよならの日まで
(指切りげんまん)



―――

んー、まぁ、こんなもんか。
吹雪くんの笑顔が作り笑顔に見える私←




 

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