屋上の胸の辺りまでの高さしかないフェンスから、上半身を乗り出してグラウンドを見下ろす。高い…。ふと成神が「飛び降り自殺って痛くないらしいっすよ」なんて言ってたのを思い出した。あの頃は半信半疑だったけど、今その話しを聞いたとしたら絶対嘘だと反論するだろう。というか、する。
そんなことをぼーと考えていると、背後から叫び声が上がった。何事かと振り返ろうとした時にはもう腰に腕が回されていて、すごい力でフェンスから体を引き離された。
「佐久間早まるな!!」
この声は源田だ。どうやら自殺しようとしてると勘違いしているらしく、唖然としてる俺に人生とはなんたるかを説き始めた。
「今は辛いかもしれないけど、生きてたらきっと良い事あるから!!な?死んだら何も残らn」
「源田、」
「なんだ!正気に戻ったか!」「俺、死のうとなんてしてないんだけど」
そう言うと、安心したらしく、大きく溜め息をついてそのあと苦しいくらいに思いきり抱きしめられた。
「驚かせやがって、」
「それはこっちの台詞だ」
「佐久間が死んだらどうしようかと思った」
「だから死のうとしてないって」
本当か?と馬鹿みたいに涙目になってる源田を見て、ああ俺こんなに想われてんだ。と実感する。
「本当だよ、でも」
「でも?」
「源田に嫌われたら俺、死ぬから」
すると源田は困ったように眉を寄せて、口には微笑を浮かべていた。俺は源田のこの表情が好きだ。
「嫌いになるわけない」
「誓うか?」
「誓う」
「じゃあ、はい、誓いのキス」
しょうがないな、と言いつつも落とされた触れるだけの優しいキスもまた、たまらなく好きなのだ。
たおやかな愛で包み込んで
―――
何も考えずに書いたら佐久間がデレてくれました。私はどうやら甘いの書くのは苦手なようです。