枝毛
2013.08.31
ねぇ、知ってる?枝毛が多い子はひねくれてるんだよ?
あぁ、わたしのことだ。
きっとクラスの子はわたしに言ったわけじゃないとは思う。
別に嫌われたりいじめにあうポジションにいるわけではないし。でもその話はたしかに納得する。
髪が天然パーマのわたしは手入れが苦手だ。ドライヤーやアイロンを上手に使えないかシャンプーとか合っていないのか、はたまた両方のおかげで所々枝毛が見える。
それからひねくれているってのは、
「沙奈江ちゃん!」
「…こんにちわ、神田先輩。」
二つ年上で、高校3年の幼なじみの男の先輩。大好き、本当に一緒にいたい人。でも、わたしは誰よりもひねくれてるから。
「なーに、その顔どおした?」
「別に、何でもないです。後輩に構う時間があるならどっか行ってください。」
近所の公園のブランコに学生服の男女が乗っていたらカップルに見えるかもしれない。でも、本当は違う。わたし達はずっとこのままの距離しかならない。詰められない。
そう思うとなぜこの男はわたしに構う。どうせ、遊びだ。その気にさしてムードがマックスになれば別れるし離れるのだろう。というようにひねくれと言うよりネガティブだが髪の理由と繋がるのだ。
「そんな怖い顔しないで。沙奈江ちゃんは笑ったほうが可愛いよ。」
わたしが乗っていたブランコに乗っている先輩の手がわたしの髪に触れた。
わたしはおどろい固まった。こいつは何触ってるの。変態、変態だわ!
「そうそう、沙奈江ちゃん知ってるかな。枝毛の話。」
どうして?なんで今この瞬間に言うの?触れては欲しくない髪の話をされてイライラした。
「枝毛が多い子はね、恥ずかしがり屋の甘えん坊さんなんだよ。」
「え、わたしその話ひねくれてるって。」
「心が思っていても行動に出せないとそのイライラが髪に行くんだって。別れたのはそのときの二択が上手にできなかったからなんだって。だから、結果的には自分が考えていない事言っちゃうんだって。可愛いよね。そーいうの。」
先輩が満点の笑顔を見せてくれた。
「俺はちょっと恥ずかしがり屋のほうが素直な子より可愛いと思う。それに、出来ればまっすぐより良い感じに天然パーマの子が良いな。ねぇ、誰の事言ってるか分かる?俺はその子のこと大好きだよ。」
ひねくれを可愛いなんて変な人。
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