バトン 狂い咲き@
 2013.10.31 Thu 23:22


※途中で力尽きました(笑)
※続きます


創作文章/御題バトン【壱】


このバトンは言葉の後に続くものを書いて文章や御題を作るものになります。長かったり短かったりお好きにどうぞ!作ったものはそのまま創作の題材として是非お使いくださいませっ*

それでは始めます★
─────────────


※狂い咲き、時系列ランダムです!
※無記入はどの桃太郎でも良いや←


(1)花なき日の雪の中
→白輪

たおやかな容姿に反して元気いっぱいの弟は、足袋を履いただけの足で、犬の様に庭を駆け回る。

まだ小降りの雪は遊べる程積もらないだろう。

目で楽しむ雪だ。

ましてや弟の様に口を開けて上を向き、味を楽しむものでは無い。

くるくる回っていた弟が、縁側から呆れ顔で眺める己に漸く気付いた。

幼い頃は雪など忘れて、犬の様に尻尾を振りたくって駆け寄って、この両の腕に収まってくれた。

大きくなった今は、頬を寒さ以外にも赤く染め、はにかむだけだ。
枯れた庭に、はらはら舞う雪、笑う花。

漸く、なかなか風情ある光景に、満足した。


(2)本当の理由は

わからない。

俺が兄さんを好きだから兄さんもその気になったのか、兄さんが俺を好きだから俺もそう育ったのか、わからない。

兄さんに聞いてみたら、「俺は咲く前から何の花かわかる」とか、「花を愛でるのに理由は要らねえ」とか、適当に答えるからたぶん兄さんもわかってない。

じゃあ、端から見ていた兄貴その2なら何かわかるかもと聞いてみたら、「だから高杉に理由なんて無いんだろ」って答えやがったから、「だから理由が気になるんだっつの」と飛びかかって頭を顎でぐりぐりしてやった。

割と頭の良い兄貴その3ならどうだと聞いてみたら、「高杉にとって桃太郎は花、では逆に桃太郎にとって高杉はなんだ?」と逆に質問されたから、腹が立って長い髪をもみくちゃにして逃げた。

そんなの、兄貴に決まってる。

兄貴を好きなのに理由なんて無い。

だってこんなんでも兄貴その2、その3も大好きだ。

だから、その中でも特に晋兄が好きな理由を知りたいんだ。

その話を振り出しに戻したら、兄さんは煙を吐き出した後、こちらを見もせずに初めて問いを返した。

「桃にとって俺は兄貴だけか?」

「はい?それ以外に何があんの?」

「先入観ってのは厄介だな。」

「?じゃあ、兄貴じゃない兄さんを想像して見れば良いのか?」

考える様な兄さんの横顔を見ながら、俺も考える。

うんうん唸る俺を見かねたのか、兄さんが煙管を置いて腕を広げた。

寄っていけば抱き締めてくれた。

仲の良い兄弟だから、これくらい何も特別な事じゃない。

でも、他人だったとしたら、十近く年下のガキを抱き締める理由は何だろう。

「…わっかんね。」

「それでもいい」と兄さんは口には出さず、背中をぽんぽんと叩いてくれた。


(3)手をのばした先にあるもの

縁側に座り、目を閉じ、日光を浴びて美顔をだらしなく綻ばせている弟。

粋も良いが、風情や優美を好む己が、それでも愛おしいと思えるのだから、我ながらどうしようもない。

煙管をくわえ、煙を吸い込み、吐き出しながら弟を真似てみる。

確かに心地良いが、それよりも弟の横顔を見ていた方が面白い。

目を開け、膝に肘を付き、飽きもせず日光浴を楽しむ弟を眺める。

日に弱いくせに限度を知らないから、言ってやって止めさせなければならないが、まだ良いだろう。

無警戒な横顔に手を伸ばし、触れる直前で止める。

何時になったら気付くだろう。

この指先にある顔が、振り向いてくれるのは何時だろう。

暫く指先に願いを込めて、その指で今日も気付かぬ弟の頬を「いい加減にしろ」と小突いた。


(4)静かな想いにさそわれて→
たまに。
これは結構たまに。

兄さんは正面から俺をじーっと見つめてくる。

「何か用?顔に何か付いてる?腹でも減った?」って聞いたら、ちょっと尋常じゃないくらい重いため息を吐かれたから、もう黙って見つめ合ってる。

相変わらず俺の兄さんは格好良い。

男前だし、逞しいし、何より精悍で凛々しい目が力強くて優しい。

好きだなー、なんて、改めて思っちまう。

この人の弟で、いや、この人に愛されてて、本当に良かった。

何か急にこの距離が厭わしくなって、あの温もりに触れたくなって、手を伸ばす。

兄さんからは伸ばしてくれなかったから、もっと伸ばして、自分から抱き着いた。

兄さんが喉の奥で笑ってるのが、接する面からよくわかる。

「堪え性のねえ奴。」

「何の話?」

「俺はもう少し見ていたかったんだがな。」

「にゃはは!そっか、ごめん。また後でな。」

嗚呼、心地良い。


(5)ただ君が気付かないだけで
→紅輪

兄さんは過保護だ。

「夜でも散歩くらい一人で平気だって!」

「誰か付けろ。じゃなきゃ行かせねえ。」

「誰が保護者付きでナンパすんだよ!」

「…散歩じゃねえのか。」

うわやべ墓穴掘った。

「とにかく!大丈夫だって!そんじょそこらで粋がってる力馬鹿には負けねえし!」

「当たり前だ。おまえは誰の弟だと思ってる。」

「じゃあなんで!?」

「…俺の弟だからだ。」

「若い内から女好きって?それって若いなら尚更仕方ねえだろ?」

「…。」

兄さんがもう黙る。
俺も折れる。

「わかった。ナンパはしない。散歩だけ。約束する。」

兄さんが手を下から上へ、数回振る。
行って良し、だ。

「ありがと。ちょっと行ってくらあ。」

刀を腰に差して、ちょっと寒いし顔布を巻いて出かけた。

無事に帰り着き、寝ずに待ってた兄さんにどや顔を見せつけてやる。
兄さんは溜め息を吐いたけど、「おかえり」の代わりに頭を撫でてくれた。
その手がいつもより冷たいし、寝る前にしては身なりがくつろいでないのが気になったけど、「まあどうでもいっか」と、無言の兄さんに誘われるままに、布団へと向かった。


(6)不確かなもの

俺と兄さんの関係だ。

「兄さん。兄さんは俺にとって兄さんだけど、兄さんにとって俺ってちゃんと弟?俺、普通の家族を知らねえし、よくわかんねえけど、ちゃんとそう見てくれてる?弟ってこんなん?」

たまに不安で聞いてしまう。
兄さんが悲しそうな顔をするし、兄さんに血の繋がった兄弟がいるなんて聞いた事ないし聞いたって仕方が無いってわかってるけど、一度不安になると独りじゃ抱えきれない。

「俺には一人、弟がいるが、普通じゃねえ。一等美人で可愛らしい、何処に出しても恥ずかしくねえ、自慢の弟だ。」

視界が歪む。
これで今日も安心して眠れそうだ。


(7)花咲く季節

花が好きな兄さんがふらりと立ち上がる。

ちらりと見られるまでもない。

勝手に兄さんの手を掴んで立ち上がる。

兄さんは言わなくても引き上げてくれるから好き。

兄さんの袖を掴んで、兄さんが行きたい所について行く。

途中で良い匂いに気付いた。

キョロキョロ首を巡らせれば、甘味屋を見つけた。

気付けば兄さんも足を止めてた。

団子を買い与えられ、頬張りながらまたついて行く。

「昔は喉を突くかもしれないって、そんな事させて貰えなかったなあ」と思ってたら、たぶん目的地に着いた。

花が見事だ。

「おまえは何時までも花より団子だな。」

「だからって花が嫌いなわけじゃねえぞ。」

「…知ってる。」

「ほら、食い終わった!これで花が二番だ!」

「…は?」

兄さんが花から目を離して俺をまじまじと見る。
ニヤリと笑って片目を瞑った。

「何時だって兄さんが一番さ!」


(8)もう何もいらない

弟を迎えに行った時、強くそう思った。

腐った世界で唯一、たった一つ、残った未練。

過去の思い出でも、失ってしまった人への想いでもない。

姿形があり、手を伸ばせば触れられる、現在進行形で生きているものだ。

世界を壊すに辺り、その安否だけが心配だった。

弟は彼の息子だから、道を踏み外した事を当然嫌う。

見て見ぬ振りなど出来ない。

そう、大事に育てた。

だから、何時かそう遠くない内に、相対立する可能性が高かった。

だから、心配だった。

壊すだけの自分と、守るものの多い弟。

歳も戦歴も圧倒的な差がある。

勝敗は目に見えた。

それでも、弟には勝てる気がしなかった。

この世で唯一、壊したくないもの。

守りたいもの。

優しくしたいもの。

手元に置き、安心したのも束の間。

改めて様々な事に気付かされた。

守るものが出来てしまった弱さ。

日向で生きてきた弟の葛藤。

最たるは、まだ欲しいものがあった事だ。

弟の心が欲しい。

弟は弟でも、それ以上が欲しい。

「見て見て!兄さん!でっけえカブトムシ捕まえた!」

「…。」

「兄さんも捕まえて来いよ!カブト相撲やろうぜ!」

後はもう少し、弟に落ち着きと品が欲しい。


(9)無邪気すぎた約束
→輪咲

「晋兄!大きくなったら俺と結婚して!」

小さい頃、子どもの戯言と思えない程真っ直ぐにされた求婚。

その手の話題が頭に過ぎった時、思い出さない事は無い。

「…なあ、桃。結婚の約束、覚えてるか?」

「あら、ダーリンは今の生活にご不満?」

確かに、今の生活はその約束が実った結果と言っても良い。

だが、今の生活には決定的に足りていない。

「不満だ。」

「うわ、ド直球泣きそう。急にどした?味噌汁不味い?裸エプロンでもしようか?何でも言ってくれよ。」

言えるか、馬鹿。

まだ冗談だと思っているのか、軽いノリだった弟が、急に真剣になった。

「あ、でも離婚はしてやらねえからな。」

「…。」

弟は無邪気なまま、俺の首を絞め続ける。

「料理も愛情も。俺以上の奴なんていねえんだから俺にしとけって。」

「…俺の台詞だ。」

「あらやだ熱烈!嬉しいわ、ダーリン!愛してる!」

「…。」

本人もああ言っている事ですし、もうそろそろ貴方の息子を貰っても良いでしょうか、…先生。



(続く)



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