バトン 剣と月の祝福を@
 2013.07.15 Mon 20:32


少年は夢に落ちる



あなたの思いつくままにことばを紡いでくださいな
お話を書くも詩を紡ぐも、すべてあなた次第

どんな言葉を紡ぎますか?



※第21話後のダレンです。
※改行無しがバトンの原文で、改行してあるのが藤丸のアドリブです。
※バトンの全貌が見たい方はエムブロさんのバトン倉庫に、下のリンクから飛んで下さい^^;

※先日、兄との電話中に内容が消えて萎えていたけどやっぱり頑張りました←



《少年は夢に落ちる》



深い青のなか眠る

 流石のギギナにも隙の出来る時間。
 己が人外である最たる証ごと閉じ込める様に、
 逞しい両腕でしっかりと抱き締められる。
 その状態では、鎖骨か、顔くらいしか見る事が出来ない。
 鎖骨も良いが、目を近見に調節しっぱはなしでは流石に疲れるから、
 夜中、目が覚めてしまった時は、少し見上げて顔に焦点を合わせる。
 白磁の様に美しい肌に描かれた、蒼く雄々しい竜と炎。
 紛う事無く、自分を抱いている男はギギナだ。
 ここは戦場では無く、良く知りもせぬ男の部屋でも無い。
 素っ裸で寝ていても何も問題無い。
 
 だからいい加減、ギギナも安心すれば良いのに。
 
 今夜もまた、溜め息の様な欠伸が漏れる。
 それはギギナの鎖骨をくすぐり、
 眠ったままのギギナが身動ぎついでに抱く腕の力を強くした。
 
 だっておまえは――――、

僕の心が還る場所



世界の終わりの青

 たった今、ひとつの小さな地域が、物理的に地図上から消えた。
 転がる大半の骸の出身地だ。
 たまたま目がいった骸の視線を追って、顔を上げる。
 最後に見た景色がこれならば、悪くは無いだろう。
 自分は最後に何を見るのだろう。
 その視線を誰か追ってくれるのだろうか。
 そうであれば、感慨深い者が良い。
 情緒の欠けた己よりも良い表現をしてくれるだろう。

 屈み、指先で上眼瞼を閉じてやる前に見た最後の空は―――、

ただ残酷に美しく



響く最後の鐘の音

 戦に出る、戦士達を見送る音だ。
 人によっては本当に最後の一つが鳴り終わる。
 贅沢な話だが、正直あまり聞きたい音では無い。
 仲間の死と直結する音だ。
 死んで逝った仲間達は、意識を失う瞬間、この鐘の音を思い出すのだろうか。
 もう一度聞きたかったと。
 自分を送る、遠く離れた郷の者達の、弱きを許さぬ部族の、
 最後の思いやりを、あの世への旅立ちの共にするのだろうか。

 “ダレン”

 それは本当の名前では無い。
 どうせ逝くなら―――、

 “リェイン”

君の音に包まれて



羽化を待つ繭の中

 たくさん繋がれた管から、様々なものが流れ込んで来る。
 膨大な栄養、薬剤は勿論、様々な抗原物質、生体安定の咒式、生体強化の咒式、…そして知識。
 拒絶は許されない。
 ただ、ひたすら受け入れるだけだ。
 やり方を知ってはいても、指一つ、動かす事は出来ない。
 開けっぱなしの眼瞼すら、ぴくりとも動かす事も出来ない。
 許可無き動作は、漸く完成の目処の立った、自分という生物兵器の均衡を乱す可能性が跳ね上がるからだ。
 培養液に漬けられているから、角膜が乾かないのが救いだ。
 そして、母や兄の視線から目を背けられないのが地獄だ。
 しかし、流し込まれる知識には、情緒を育てる物は一つもない。
 恐らく、そう、選りすぐられたからだろう。
 それは、兵器には不要どころか、余計なものだ。
 きっと、こんな思考をしているのも彼等は不服に違いない。
 脳波を管理する研究員達が、乱れを見つけては自棄になって消しにかかっている。
 それを父様が許す筈が無い。
 侵入すら、許さない。

 今日のノルマが終わる。
 管から流れ込む知識が止められ、強制的に働かされていた脳が、ほっとしたのがわかった。
 目を開けたまま、瞼を閉じる様に、意識が閉じる。
 父様の声が強くなった気がするが、もうあやふやだ。

 父に守られ、今日もまた―――、

少年は夢に落ちる



 いつか出逢う“  ”に想いを馳せて。



あなたの紡いだお話やことばが、どうかきらきらかがやいていますように
ありがとうございました!


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