ストレスマッハの大暴想
 2021.04.10 Sat 19:29


うちの近辺ローソンでタイバニグッズが見当たらない!
何故だ、売り切れなのか、そもそも入荷しないのか、私が行く時間帯大体日本人離れした顔立ちの店員さんかおじいさん店員さんでなんか聞けない!

4/13追記
よい、よいのだ友よ。
好きなものを好きなときに好きなだけ書くのだ。



<限界>


セイバーであるアルトリアの私服を、もう少し可愛らしくしたものを想像して欲しい。
詰襟のブラウスはフリルで飾られ、カフスは花の形をしている。
くるぶし丈のスカートはチャコールグレーのチェック柄で、厚くプリーツが重なっている。
黒のショートブーツにケープのおかげで魔女感が強いが、薄化粧にヘアアレンジで、持ち前の育ちのよさを引きずり出して清楚可憐に見えるから驚きだ。
ジュナスタは今、かつてビリビリに破ってさらに細かくちぎって丸めて捨てたと思っていた自分を纏っている、屈辱以外の何物でもない。
艶々のサーヴァントと違い、鬱々とカルデアの廊下を歩いていたら、鮮烈な赤が視界の端を横切り、戻って来た。

「和子じゃねえか。」
「げ、モー様。」
「おい、げってなんだよ。はっは〜ん。」

和子はずかずかと近寄って来るモードレッドから逃げることはせず、犬のように条件反射でモードレッドが差し出した手にお手をした。
モードレッドはその指先を掬い、口づけた。

「今日は特別可愛いじゃねえか。どうしたんだ?」
「今日は特別とかさらっとナチュラルイケメン最高かよ。」
「乙女の可愛さには適いませんよ。で?」
「任務じゃなければこんな格好しませんよ。」
「もったいねえな。俺との茶会でもしろよ。あー、でもそうすっと俺も正装しねえといけねえか。」
「いやもう洒落にならんイケメン目の前にお茶の味わからなくなるからやめてください。」

和子が勝気に微笑むモードレッドから目を逸らした先、褐色の我儘ボディが闊歩してきた。
和子はカイニスにがしっと肩を組まれ、身長差で頬に魅惑的な弾力を味わわされた。

「よう、和子。一瞬誰かわからなかったぜ。」
「あー、もー、カイ様まで来ちゃった。」
「なんだよ、なんか悪いか?」
「あんまり見られたくなかったんです。」
「そりゃそうだ。俺が和子のサーヴァントなら、たまにゃ可愛いのもいいが、そん時ゃ他に見られねえように必死に隠しただろうよ。」

そこんとこどうなんだよと、不良少女サーヴァント二人に見上げられたアルジュナの目は、元より漆黒なのでわかりにくいが、瞳孔全開だった。
つまり、臨戦態勢、可愛いマスターを他鯖にベタベタと触られて激おこぷんぷん丸である。
モードレッドとカイニスは、これ見よがしに和子にじゃれついた。

「バニーじゃ雰囲気ぶち壊しだ。俺にもスーツ系の礼装実装されねえかな。」
「おお、いいな。カイニスが手に入れたら、祝いの茶会を開こうぜ。」
「「もちろん、和子もおめかししてな。」」
「私もスーツがいいです。」
「あ?ガレスにドレスアップされたいって?」
「俺も和子に着せたいドレスがあんだよな。」
「謹んでこの格好で出席させていただきます。」
「「よし。」」

そこでカイニスは和子の背後に回って和子の耳を塞いだ。
和子はクエスチョンマークを飛ばしているが、カイニスにも慣れたので抵抗はしない。
その半歩前で、モードレッドはアルジュナの顔を覗き込んで目を眇めた。
カイニスも神妙に目を据わらせている。

「騎士として、和子を守る役目を賜れなくてつくづく残念だぜ。」
「和子に傷一つつけてみろ、この神霊カイニスの守護下に置くからな。」

挑発に乗らずアルジュナが努めて事務的に時間がないことを告げると、二人はイケメンスマイルで和子を解放し褒めちぎって見送ってくれた。
アルジュナは二人から嫌がらせを面と向かって頂戴したわけだが、和子は励ましてくれたと思っている二人には申し訳ないことに、何度も言うが、屈辱極まりない。
出発直前、大親友を見かけたときは涙が零れたほどだ。

『うう、帰りたいよう。』
『落ち着いて、和子ちゃん。まだここおうちだから、まだ行ってもいないから。』

芯は強いが天然が売りの大親友にツッコまれたのは何日前か。
そんな姿も時計塔の構内なら悪目立ちすることなく歩き回って数日、和子は薄暗い下宿に辿り着くや否や、筆記用具や書籍を入れておく大きめのクラッチバックを寝台に叩きつけた。
仕事の進捗は上々、しかし核心には至らず帰還の日はまだ遠い。
清楚な自分と共に放り投げて逃げ出した、ご機嫌ようで始まり何故か終わらぬ全力投球の悪意ラリーライフに、疲れ切っていた。

「アルジュナ!」
「はい、マスター。」
「私、がんばってるよね!?」
「はい、マスター。」
「そろそろ御褒美あってもいいよね!?」
「はい、マスター。」

アルジュナは実体化し、いつもは健康のために制限しているアイスとポテチでも買って来てあげようかと思ったが、和子が求めていたものは違った。
和子はフラフープが得意だったことを思い出させるほど豪快にプリーツスカートを翻して振り返り、半泣きでアルジュナを見上げた。

「甘えてもいい!?」
「もちろんです、マスター。」
「下心0のハグを要求する!」
「…はい、マスター。」

アルジュナが両手を広げれば、和子は頼りがいのある胸にぎゅうっと抱き着いた。
擦り寄り、深呼吸し、また抱き着く力を強くするので、アルジュナも和子を潰さない程度に抱きしめる腕の力を強めた。

「疲れたー。」
「お疲れ様です。よくがんばっていますね。」
「もうほんと、私にしてはすごいがんばってるよね。偉いよね。」
「はい、とても偉いですよ。マスター。」
「頭撫でて。」
「はい、マスター。」

気持ちよさそうな和子に、アルジュナは顔面の緊張を解いた。

「顔色がよくありませんね。」
「アルジュナの膝枕のおかげでよく眠れているけど、ストレスマッハだもの。久しぶりの講義辛いし、魔術師嫌いだし、仕事もしなきゃならないなんてほんと鬱。」
「そう言いながらも、そつなくこなすマスターを誇りに思います。」
「あったりまえじゃないの。私はやればできる子だもの。」
「はい。マスターはやればできる子です。倒れる前に頼ってくださって、望外の喜びです。」
「そこまで含めてそつがないのよ。」
「お見逸れしました。」

和子はアルジュナの首筋に腕を伸ばし、アルジュナは和子の軽い体を抱き上げた。
和子はアルジュナの首筋に抱き着き、頬を擦り合わせて目を閉じた。

「癒されるぅ。」
「明日はもっと深く探りを入れるのでしょう。今日は存分に甘えてお休みください。」
「うん、もう日も暮れるしデートに行こう。学生時代、よく通ったお店を紹介したいの。おいしいご飯食べて、一杯付き合って。」
「喜んで。」
「そのあと、公園のお散歩しよう。一緒に寝てくれるよね。」
「もちろん構いませんが、そこまで行くと下心0に自信がないのですが。」
「その時間まで私に元気が残ってたらいいよ。」
「言いましたね?」
「言いましたよ。エスコート、上手にしてね。」
「はい、お任せください。」

アルジュナはカジュアルな旅装にチェンジし、和子に口づけた。
いつもの和子ならパブのカウンターで強面の男共とジョッキ片手に騒ぎまくり、下心のある男が寄って来ることはまずないだろうが、今の和子はわがままもまた可愛らしい御令嬢だ。
カルデアでは二人で歩いていても、呼んでもいないのに寄ってきたのだ。
事情を知らない街で今の和子を一人で歩かせれば悪い虫が数匹つき纏いかねないし、和子本人はカルデアイケメン枠にあんなにモテても自分が女として死んでいると信じて疑っていないので、危険が迫らない限り払おうともしない。
アルジュナは、和子を下ろして自分のパーカを脱ぎ、自分を見上げる、貧相以外の言葉を選んでもぶっ飛ばされる、鍛えるにも限度がある華奢な体を包んだ。

「過保護だねえ。」
「過保護ならフードまで被せました。」
「はいはい。隠す価値のないお顔ですみませんねえ。」
「それを本気で言っていそうなので、食事が来るまでまずはお説教ですね。」
「なんで!?甘やかしてくれるんじゃないの!?」
「甘やかす前に和子には必要だからだ。真面目に聞くように。」
「ひえ。」

アルジュナから敬語が消えた。
これはなんでか知らんがマジの説教だと、和子はパーカの合わせを握りしめごくりと喉を鳴らし、アルジュナの大きな手で腰を抱かれて促されるまま大人しく歩き出した。
御令嬢モードの和子を見て口笛を吹く男達は、闇に溶け込む男の一睨みで縮こまった。
アルジュナはわざと見せびらかせているのでとても気分がよかったが、まるでわかっていない和子はアルジュナが怖いので、お説教で理由がわかるまで地味にストレスだった。

「なあ、カイニス。」
「なんだよ、改まって。」
「今更なんだが、和子に女装して欲しいって言われたら抵抗あるか?」
「和子が喜ぶならしてやってもいいが、それ以上に和子を着飾るのが条件だ。」
「男前だな、カイニスは。俺はちょっと嫌だ。」
「モードレッドは和子には男らしく見られたいのか。」
「悪いか。」
「俺もだ。和子は俺達が女体でも男としてちょっかいかけたら頬を染めるだろ。女装したって変わらねえさ。そこがいいんだろ?」
「そうだな。求めるばかりじゃ不公平だ、和子に頼まれたら応じよう。但し、」
「「それ以上に和子を着飾るのが条件だ。」」

その頃、カルデアでは、マスター立夏がハラハラしながら不良の集会(自鯖二基)を影から見守っていた。

 



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