返信という名の暴想
 2021.03.30 Tue 21:00


もう本当に暴想(笑)

お久しぶりでございます。
貴サイトの更新がとまっており、リアルで大変なんだなと察し、健康と無事を願ってやみません。
早く現実逃避できますように。

気軽に手ぶらで挨拶くらい来てくださいな。
我俺の仲じゃないか(ウーガ少佐)
帝国のツートップマジイケオジでしょ!?でしょ!?
北方戦線のときとか、あーもーちょーイケてるんだからー!
私は漫画派だから今フランソワ戦で止まってるけど、そのうち小説に手を出すかもしれない。
イルドア戦が読みたい。
絶対敵方に褐色のイケオジがいる。

私が覇王くらいのときは即決で義勇さんだったかな。
中学生に近づくにつれ不死川さんになり、それは今でも変わらないけど、幼女戦記のせいで最近イケオジに走りかけてる。
売国機関(原作幼女戦記作者の漫画)もイケオジ祭で辛い。
覇王が突撃銀翼章受勲しなくても済む世界であってくれと願うしかない。

というわけでどういうわけで。
今月は花粉と黄砂と他人の有給消化と年度末進行と法改正のおかげさまで体調不良祭でして、ほぼ早退して寝込んでいた藤丸ですが、妄想が捗ったかというとそうでもなく、隔週くらいでケーキの差し入れが来るもむなしく順調に痩せていき、さらには吐き気もするので寝る事もできなかったのですが、無事復活しました小ネタです。
この時期に体調不良マジやめろって思った、やめろ人事課疑うな。
極度の引きこもりなんです通院以外職場と家の往復で土日とか罪悪感で洗顔はするけどパジャマのままだし外に出るとしたらベランダに一歩くらいですええもうすぐアラフォー独身です信じてくださいなんて、保健所の人に赤裸々に語りたくない。
そしてそんな悲しい女の私生活を県のホームページに乗せられたくない(笑)



<召喚>



強敵を相手にガウェイン卿とアルジュナも満身創痍だ。
同じく傷だらけの佐助と幸村は、陽菜が描いた血の道を見送り、戦闘に本腰を入れ直した。
足手まといを自覚し這いずる藤丸を陽菜は必死に引きずり、ともに岩陰に隠れることができたが、陽菜の魔術では藤丸の重傷は手の施しようがない。
その間にも戦闘は白熱を増し、かと言って今目の前で意識を失い血だまりを広げる藤丸を放っておけるわけがなく、戦闘援護か治癒集中か、思考をどちらに割り切るか判断しかけたときだった。
サウンドオンリーと書かれた通信窓が中空に浮き、陽菜は戦場にあって悲鳴を一滴も漏らさず、大きな瞳を瞬かせた。

『呼んで!』

戸惑う陽菜に、ミスタームニエルも顔を出した。
それは陽菜に向けてではなく、サウンドオンリーに向かってである。

『なあ!そういうことできるならさあ!』
『んなこと言ってる場合か!』
『アスクレピオス先生怒らせてからの脱走アンド空の医務室に立夏と道満様待機とか、』
『あなたと私ならできる!』

陽菜は友人に断言されて自分を信じ直し、祝詞を唱え始めた。

「畏み畏み申します。」
『今どこにいるんだ、相棒!?』
『大丈夫、そのうち看ゴリ長が見つけてくれるから!』
『何が大丈夫なの!?通信傍受できるところってあーあの辺の廊下を裸足で走り回ってたのってそういうこと!?」
『抜き足差し足に裸足は最適だし、裸足だとゴリ長が臭いを辿れる。』
『すげえなおい経験談かよ!』

そこでミスタームニエルの通信も切れ、彼がカルデアの通信傍受した馬鹿を現行犯逮捕するために我儘ボディを激しく揺らして走り出したのは間違いない。
それだけ態勢を整えているのだから、彼女の言うとおり大丈夫なのだ。
陽菜は自分を信じて、最後まで祈祷を続けた。

「血の道を手繰らせ彼の魂をこの地に結べ。彼の名は、」

陽菜がその真名を口にした途端、晴天から藤丸めがけて雷光が走った。
爆音とともに爆風と爆炎が上がり、咄嗟に防護壁を貼った陽菜は、立ち上がった藤丸に恐る恐る尋ねた。

「藤、ちゃん?」

藤丸は答えることなく、首を回して手足首をゴキゴキと鳴らし、犬歯を露わににたりと笑った。
手を開閉させ、同期具合を確認し、最後に強く握りしめて肩を震わせた。

「これは思った以上にいい体だわ。」

血だまりに沈んだ刀を拾い上げ、鋭く振って血糊を落とした切っ先、剣圧で地面が割れた。
藤丸の口が陽菜も聞き慣れた呪文を唱え、体の傷を回復させ、強化もした。
陽菜の魔力が減った気配に、雷光以来ガウェイン卿が岩陰を再び案じれば、品位や行儀が悪いどころか、刀を肩に担いだ下品で性質の悪そうな藤丸が顔を出した。
遠く離れたマスターとの魔力経路に一瞬揺らぎを感じたアルジュナも、目を見張った。
カルデア一行に放たれた爆撃を、藤丸は切っ先を向けて頑丈な防護壁で防ぎ、刀を構え直した。

「可愛い子達を虐めて無事で帰れると思わないことね、おっさん。」

佐助と幸村は顔を見合わせ、藤丸が目にも止まらぬ鋭い跳躍で一気に敵軍と間合いを詰め刀を振り回して無双するのを見守った。
撤退する敵軍に対し、佐助の助言もなしに藤丸は深追いすることはなく、幸村の鉢巻を揺らすほどの風圧で血糊を落とし、それまでの粗削りではあるが見事な剣捌きからは想像もつかない、曲芸ほど見事ではあるが行儀の悪い剣回しをしばらく続け、最後に刀身を陽光に照らして鞘に納めた。

「藤丸、殿?」

幸村の呼びかけに藤丸は振り返り、とても丁寧に膝をついて頭を垂れた。
しかし黙ったままだ。
藤丸を見下ろす佐助の瞳に光はなく、見られていない者も底冷えする。

「あんた、誰?」

佐助の誰何にも藤丸は答えることなく、頭を下げ続けた。
そんな藤丸に幸村は佐助を制して駆け寄り、抱きしめた。
それは破廉恥がどうのという類のものもではなく、慈愛に満ちたものだった。
佐助はため息を吐き、ガウェイン卿とアルジュナを見た。

「あんたら、うちの藤ちゃんになんか変なの入れてくれたな?」
「我が主人、陽菜をお疑いか。」
「藤ちゃんの体に藤ちゃん以外のものが入ってたら変でしょーよ。疑いじゃなくて確信ですよ。」
「あなたの主人があれほど愛情表現しているのに?」
「だから気になってるんでしょ。そちらの御仁も心中穏やかでないようだし?」

そちらの御仁、アルジュナがはっと顔を上げれば、そこに通信窓が開いた。
そこに映るのは経営顧問と技術顧問と、ジュナスタの主治医であるアスクレピオスと、ジュナスタ本人だった。

『うわ、箱の中に佐助がいる。』
「うわ、箱の中にひょろい藤ちゃんがいる。」

二人の声が重なり、周囲はジュナスタの中に何が入っているのか理解した。
貧相な藤ちゃんは、佐助を見て安心したが、痛む頭から手が離れない。

『お話は牛若丸様や頼光様から拝聴して、とりあえずこれは夢ってことに落ち着いた。説明役が御伽噺から出て来たみたいに贅沢過ぎるけど、生きる世界が重なる人選のおかげね。私の混乱が最小で済むよう配慮されたものだから、とりあえず佐助も安心して。』
「それは無理だよ、藤ちゃん。仮にも俺様藤ちゃんのオニーサン気取りだし。」
『ありがとう。でもほら、私より役に立つらしいから、その人。しばらくは協力してあげてよ。』
「体調は?その体で問題はないの?」
『問題はないらしいんだけど、悪い、悪過ぎるよこの体。ほっそいのにすっごく重たいし、なんかふらつくし、異様に寒い。早く帰りたいから、早くその人達の目的を達成してあげて。』
「箱越しじゃ見立ても冴えないけど、見るからに鍛え方が甘い体だもんね。」
『陰陽の術で繋いでいるとはいえ、ふらつくのは私の魂とこの体の相性がいまいちよくないらしいからなんだけど、私の体とその人の相性は?』
「絶好調みたいだよ。色々盗られる前に帰っておいでね。」
『はーい。』

医者と名乗る嘴の長い男がジュナスタとやらの無茶に現時点で取り返しのつかない問題はないとアルジュナに説明する間、幸村の抱擁はまだ続いている。
藤丸は少しだけ機嫌を損ねたが、自分の体の中身を薄々察し、医神の指示に大人しく従い、医務室とやらで休ませてもらうことにした。

医神は準備があるからとさっさと自分の領域に帰っていった。
医務室から管制室までの距離は、藤丸が押し込まれた貧弱な体では疲労を覚えるほど遠く、どこも似たような内装で道を覚えているとは断言できない。
大事をとってお言葉に甘え、立夏マシュペアと道満に同行してもらった。

「平安より戦国まで語り継がれる道満様の御技のおかげで問題なく歩けているとのこと。重ねてお礼申し上げます。」
「なんの。こちらこそ人体実けンンンンふふぅ、愉快な検証に協力してくれて感謝しているよ。」
「ジンタイジッケン?」
「藤丸さんは気にしなくていいよ。」

藤丸は、背の高い性別も発言も胡散臭ければ見た目も毒々しい人物から、爽やかな青年に視線を移した。
立夏は目線も見た目も色々優しい。

「あなたはここでたくさんの伝説や歴史上の人物を使役する偉い人なのでしょう。」
「そんなことないよ。みんなが協力してくれてるだけで俺は別に使役してないし、俺が凄いんじゃなくで、周りが凄いんだ。」
「あなたが凄いから、周りが凄いのだと推察します。」

道満は深く頷き、マシュも同意する。
なおも謙遜しようとする立夏を藤丸は目礼で制し、改めて名乗った。

「ここで藤丸はあなたを指します。私の事はどうぞのりかとお呼びください。」
「わかったよ、のりかさん。漢字はどう書くの?」
「仰々しく恥ずかしいのですが、祝うに嘉慶のかで祝嘉です。普段はかなで通っています。」
「いい名前だね。俺は夏が立つで立夏なんだ。俺のことも立夏って呼んでよ。」
「承知しました、立夏さん。よろしくお願いします。」
「…固いなあ。」

立夏はまだ残念そうだが、藤丸はこれ以上の不敬は固辞した。

「私にとって牛若丸様や頼光様は崇拝すべきお方々です。立夏さんはその上司なのですから、お察しください。」

部下として優秀なマシュの助言もあり、立夏はようやく納得した。

「それにしても同じ姓だなんて、のりかさんと俺はもしかしたら遠い親戚なのかもね。」
「我が藤丸家は私だけを残して絶えました。分家もありませんから、ありえません。」
「のりかさんの子孫かも?」
「それこそありえません。婿を取れるような家格であればそもそも絶えることはなく、万が一主家に片付けられる事があっても子が藤丸姓を名乗ることはありません。」
「そっか。真田になるのか。」
「…。」

藤丸が助けを求めてマシュを見れば、マシュは謝罪のように深々と頭を下げるだけだった。
藤丸は改めて立夏を見て、眉を下げた。

「そうですね。そのような夢物語が叶うのでしたら、間違いなくそうでしょう。」

今度マシュが頭を下げたのは、藤丸が立夏に合わせてくれたことに対する感謝のためだ。
そしてふと気になった。

「この体の持ち主の名をおたずねしてもよいでしょうか。」
「平和のわに子どものこで、和子さんだよ。」
「わこ、ですか。姓は?」
「それが知らないんだ。マシュに聞いてもわからないって言うし。」
「魔術師が陰陽師と近いのであれば、真名の使用を避けるのも理解できます。私が普段かなを使うようなものでしょう。」

藤丸はなんだ偽名か紛らわしいと安堵し、毒々しい男か女に開けてもらった扉を潜り、医務室へと入った。

「姿形は馬鹿ん者だが、中身は非常にまともな魂が入っていると聞いている。俺の指示に従い、安静にしていろ。」
「はい。この、白い台の上にいればよろしいのでしょうか。」
「そうだ。」

医神は深く頷き、立ち上がった。

「看護婦長、少し席を外す。カルデアにとってこの状態が最良であると経営陣に打診してくる。」
「はい、お気をつけて。」

藤丸はそれは困るなあと、立夏が医神に必死に考え直すように食い下がっているのを見送りながら、大人しく布団にくるまった。



幸村から解放された藤丸もどきは、陽菜とは違い、サーヴァントに指示を出すでもなく、のどかな草原を心地よさそうに眺めている。
藤丸もどきのサーヴァント、アルジュナは口を開かずとも目がうるさいのだが、藤丸もどきは慣れているとばかりに右から左へ流している。
佐助がもういっそ感心していると、藤丸もどきが振り返った。

「何かご用ですか?」
「いや、俺様じゃなくてあんたの部下の方がよっぽどあんたに用がありそうだけど。」
「私はアルジュナと共に闘いますが、命令がない今は待機するのみです。」
「お姫様みたいに自分で考えて動いたら?」
「それが命令なら従います。真田軍が無事領地に戻ることが目的であれば、そのように働きます。」
「よろしく。」
「はい。」

藤丸もどきは颯爽と立ち上がり、アルジュナに指示を出した。
アルジュナはまだもの言いたげだが、藤丸もどきの指示を遮ることはなく、詳細を詰め始めた。
藤丸もどきはさっと周囲を見回し、ゆっくりと瞬いた。
中身は全然違うのに、腰に差した刀は不思議と馴染んでいる。
先ほどの剣捌きといい、魔術師よりも侍の方が向いているのかもしれない。
佐助がしばらくは様子を見るかと視線を外したので、アルジュナはため息を吐いた。

「マスター、緊張し過ぎですよ。」
「緊張するわよ。私がずっと会いたかった人達なんだから。」

藤丸もどきの目が、視界の端に捉えつつも逸らしていた幸村を直視した。
遠くからでもその雄々しさと知性と優しさと温かさを感じる。
また涙腺が緩みそうになったので、さっと目を逸らした。

「ずっと欲しかったもの。でも私のものではないもの。少しの間だけでいいの。許してくれる?」
「無事、カルデアに戻った暁に素行を改めてくださるのであれば。」
「いいわよ。夢が叶ったのだから、もうどうでもいいわ。カルデアは夢を叶えてくれたのだから、私を好きに使ってくれたらいい。アルジュナの願いにだって、微力で申し訳ないけどできる限りで応えるわ。」

首を傾げるアルジュナに、藤丸もどきは微笑んだ。

「ずっと欲しかったもの。でも私のものではないのよ。」
「それがなければ、あなたは生きていけませんか。」
「生きていけるわ。命があるうちは、死んでるとは言わないでしょ。」

アルジュナが物申す前に、藤丸もどきは藤丸の部下に宛がわれた馬に跨り、隊の中腹で索敵を買って出た。
アルジュナは霊体化し、いつもよりイキイキのびのびしているマスターを、静かに見守った。



(続かないw)
 



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