返信という名の暴想
2021.01.27 Wed 21:25
同期全員が全員ぶっ飛んでるわけではない事を注釈しておく(笑)
普通なだけなのに、周囲のせいでめっちゃ地味な人もいる。
私も地味な方に入ってしまうくらいなのだから。
睡眠薬を変えたら、もう少し眠れるようになった気がします。
ただし、太るはずの薬で痩せていっているので、意識的に野菜ジュースを飲むようにと言われ、その瞬間ヒロイン同期の顔が浮かびました。
彼女、大の野菜嫌いで、なんでも「○○抜きで!」と注文し、できないときは先に端に避ける徹底ぶり。
見兼ねた私が野菜100%と記載されたペットボトルホルダーをプレゼントしたら喜んで使ってくれて、周囲の同僚さん達に笑われたそうな。
病は気から、これは野菜ジュースとお茶を飲む。
うーん。島の子達はわからないけど、私立育ちの私は子どもの時から親同士子同士親子同士、ものすっっっごい陰湿な会話やいじめ等を見ながら育ったおかげで、ほのぼのを欲して愛してやまない大人になったと思っている。
だから、私の周りにいる人達はみんなほのぼのなのだ。
園で疲れたら、帰り道に嫌な気持ちをポイ捨てして、おうちでお母さんで癒されてね、覇王。
友人にまだ恵まれずとも、母に恵まれたことにいつか気づいてくれたらきっと、もっと心安らかに世知辛い社会でも強く生きられるよ。
お兄様に叩きこまれた技の数々は、家事を賭けての熾烈な争いで研ぎ澄まされとてもえげつない(途中相手のコントローラーを引っこ抜くなど現実世界でのバトルも並行する)ものなので、園児にこれ以上ストレスを与えるのも忍びなく、また人間不信にしないためにも謹んで辞退しときます(笑)
生活に必要な行動以外引きこもっているはずなのに、年始から何やら細々とストレスが文字通り斜め鋭い角度から来訪するので、なかなかパソコンを開く時間も余裕もなく、ここでさらにニュースを騒がせる例の件で放たれた白羽の矢が脳天にぶっ刺さらないことを布団を被って祈る毎日です。
道満楽しく読んでます。
ですがビジュアル怖くてまだググってない(笑)
<拒絶反応>
ガウェインは、空を映したと称される瞳を半分閉じ、うすぼんやりとその光景を眺めることにした。
それでも夕闇の中にあって光り輝いて見える小柄な影は、森の茂みや岩陰に上半身を突っ込み、両手に獲物を掴んでは豪快に握り“絞め落とした”。
「アルジュナとガウェイン卿も食べる?」
問いかけたのはジュナスタだ。
ジュナスタは野営に慣れていて、持参の糧食が足りなくなる前に食べられる動植物を現地調達する。
ガウェインは騎士であり、戦場の悲惨さも知っていて口にできなくもないが、育ちは王族だ。
アルジュナも、清濁併せ呑むのもほどがある器のでっかいガンジス育ちでも、やはり根は王族だ。
兎や鹿はまだしも、蛇や蜥蜴や野草やキノコには、背に腹は代えられないまで食指は動かないし、そもそも英霊になってからは空腹を覚えることもない。
「「いりません。」」
「あっそ、じゃこんなもんでいっか。」
ジュナスタの手料理は大雑把で、小枝を払った串に獲物をぶっ刺して丸焼きが多いが、清流が近くにある時は持参した塩とスパイスで簡単なスープを作ることもある。
いつもどっから出すのか鍋をかき回す姿はまさに魔女だ。
いい匂いが生前の名残をくすぐるが、下処理されてはいてもぶち込まれた素材を思うと、ガウェインはえずくのをなんとか堪えた。
隣で陽菜は桜色の唇で糧食を齧りながら形のいいお鼻を鳴らし、ほんわり頬を染める。
「相変わらずおいしそう。それでもやっぱり私は食べたらダメなの?」
「ガウェイン卿が泣くからやめときなー。」
「アルジュナさんも泣きそうだけど。」
「己がマスターの貴重な女子力を前に、嬉し泣きを堪えられないのよ。そっとしといてやって。」
ジュナスタは小刀でさくさくっと杓子を作り、鍋から直でかっ食らった。
「いやー、現場で温かい汁物食える幸せー。」
その幸せは、魔力としてアルジュナにも伝わってくる。
何より素材が獲れたて新鮮活きのいい野性味だ、滋養強壮面でカルデア力作の糧食も驚きの活力をジュナスタに与えている。
アルジュナはしみじみと感心し、同じだけ頭痛が沁みた。
「お嬢様育ちの怠惰なマスターが、どこでそんな知識を得たのですか。」
「度々家出をしてはサバイバル生活を満喫してたから自然とねー。」
「あなたが生きるために選んだ家出という手段の中、空腹に耐えかねたとしても、一歩間違えれば死ぬものに迂闊に手を出すとは思えません。」
「何?不真面目ぶってるのに実は真面目なマスターに期待してたりする?」
「いいえ。マスターが真面目なときこそろくなことがありません。」
マスターが真面目なとき、すなわち今まさにこの鍋のことだ。
ジュナスタはにやりと笑った。
「ふふふ。アルジュナも私が真面目になるとどうなるか、やっと理解してくれたか。」
「ええ。随分と苦労しました。」
「そりゃそうだ。アルジュナなら花をもらったらどうやって綺麗に飾ろうか考えるだろうけど、私はどうやっておいしく食べてやろうかと考える。どちらも真面目だけど、互いに何考えてんだこいつってなる。」
「はい、まさしくそのとおりです。」
ガウェイン卿は、どうしてこの主従関係が成立し続けるのか真剣に考えていたが、アルジュナが微笑んだので、よそ様のマスター相手に余計な心配など出過ぎた真似だと自嘲した。
「マスターは、ただ花をもらったのであれば、枯れる前にどう栄養にするかしか考えません。ですが、あなたを相手にと前置いてその花に、綺麗に飾って心を癒して欲しい、そのたびに贈り主を思い出して欲しいという願いが添えられていれば、一口でパクリといけない押しに弱い方です。少しでも長くそばにと願われば、ぶつくさと不平不満を巻き散らかしながらも手入れをして、枯れれば捨てずに手ずから燃やして灰を庭に撒くまでしてしまう。だから花束の影が見えた時点でフラグをへし折る、または即時脱走、逃げ切れず突き出されれば断固として突っぱねる、粘られたら半狂乱で叩き落とす。それが私のマスターです。」
長い長いアルジュナの考察に容赦はなく、ガウェインは清々しい気持ちで聞いた。
話の腰を折らずに済むなら、スタンディングオベーションものだ、ぐっと堪える。
陽菜は気づかわしげにジュナスタの顔を見るが、ジュナスタはちっとも堪えていなかった。
後半は聞いていなかったのかなと思うが、鍋のおかげかしかと聞き遂げた上で仕返しに憎まれ口を叩くだけの元気があるのだと、アルジュナはわかっていた。
「あっはっはー、すみませんねー。大雑把なもんで、おいしく食べたはずなのになんか歯に違和感覚えて糸ようじでほじくり出してやっと小骨が挟まってることに気づくのよねー。もう何輪めのだかわかんないやつー。喉に引っかかろうもんなら敵認定間違いなし、この私を相手にと前置いたのだから、異物混入に対する心からの返礼を受け取る覚悟は当然しているものとする。」
「よろしい、大変に結構です。不真面目ではない、それがわかれば十分です。」
「何が?」
ジュナスタは「あれ?」と、口の端から垂れた蜥蜴の尻尾をちゅるりと吸い上げながら首を傾げた。
アルジュナは微笑むだけで答えをくれないし、ガウェイン卿も陽菜も微笑み合っているので期待できない。
何の話だったっけと、すっかり軽くなった鍋を覗き込んで、キノコの欠片を杓子でこすり落として綺麗さっぱり完食した。
「そうそう、どこでそんな知識を得たのかだったわね。本当は本当に自発的に何も勉強してないんだよね。」
「またそんな、」
「いや、ほんと。森の中で口にするもので命に関わるときって勘がものっすごく働くのよ。」
「勘、…野性由来のものでしたら確かに目を見張るものがありますが。」
「でしょう?まるで誰かにぐりぐりされてんのかって頭痛を伴うくらいこいつぁやべぇやって本能が警告してくれるの。ありがたいよねー、おかげさまで文字通り食うに困らないから。」
まだアルジュナが疑いの目を向けているので、ジュナスタは心底残念そうな目をするガウェイン卿に片目を瞑って震え上がらせてから立ち上がり、陽菜の可愛いお尻が乗せられた倒木に生えていた見るからにやべえキノコをおもむろに収穫し、生のまま口に放り込もうとして、雷に打たれたかのような反応を見せてキノコを放り投げた。
もう一度拾い上げて今度は口に押し込もうとするが、その手は空を切り、痛む頭を抱えて蹲った。
演技臭過ぎる挙動にアルジュナとガウェインの目が虚ろになるが、何度も繰り返される多彩な挙動不審を見せつけられては、信じるしかない。
ジュナスタが大変疲弊し鍋から得られた力を使い切ってしまったことを、アルジュナは寸分違わず感じて理解し、ガウェインに頷いて見せた。
ジュナスタは額の汗を拭い、座り込んだまま上半身を起こした。
「逆に、相手を殺そうと思うときはこれこれって的確に毒キノコとか毒草とかわかるし調合もできるんだよね。たぶん、うちの魔術回路のどっかにその知識が入ってるんだろうけど、これに関してはやっぱろくでもねえ家系だなとは思えないんだよね。むしろ珍しく温かみすら感じるのよ。」
そんなジュナスタを楽しげに見ていた陽菜は、よく見たらジュナスタを覆う“なんとなく”に頭を下げて気配を見送った。
なんとなく相手が、決して簡単に心許せるような雰囲気ではないのに、愛想よく頭を下げ返しているのがわかった。
ジュナスタはそんな陽菜に首を傾げた。
「陽菜、何してるの?」
「うーん。和子ちゃんが怖がりそうだから言わない。」
その一言でジュナスタがぴしりと固まる。
陽菜は巫女だから確実にその手の何かが見えるが、魔術師であるジュナスタには魔術の範囲で人あらざるものが見えても、得体の知れないものまでは見えない。
自分には体感できない得体の知れないものが確実に身近に存在するのであれば、さすがのジュナスタも鼻で笑って無視できない。
「だからもーそういうときはもっと言葉選んでって言ってるじゃん陽菜ー!!」
「あ、そっか。ごめん、和子ちゃん。」
「そういうときはなんでもないよでいいんだよー!」
「ごめん、ごめんね。」
ガウェイン卿は、サーヴァントの肝を度々凍らせるダメマスターにはいい気味だと満足気に頷き、アルジュナは己がマスターの貴重な乙女タイムを逃すまいと気を引き締めた。
その夜、野営することになった一行は、ジュナスタが起こすと不思議と力強く燃え盛る炎を中心に、揺らめく影や草木が揺れる音にいちいち反応するジュナスタで楽しみ、ジュナスタが疲れてアルジュナのお膝で寝落ちるまで、忍び笑いを堪えることはできなかった。
誰の目にも、ジュナスタは一輪の花を食べずに大切にしていることは明らかだった。
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