返信という名の暴想
 2020.12.12 Sat 20:33


ちょちょーーーい!
1月銀魂映画やないかーーーい!
我らが高杉様やないかーーーい!
行く、我は行く、映画館に行く。

ちょっと持病が暴れまくってて大変な先々週でした。
顔に出ないのが仕事に影響せずありがたいようなそうでもないような。
びっくりした、びっくりしたって主治医に伝えたら、そういう病気だからってめっちゃ親身になって聞いてくれた。
ありがたい。
本当に受診してよかった、背中を押してくれてありがとう、たかな様。

そんな背中を押してくれた一人でもあるヒロイン力の高い同期、かなりの武闘派だから侮れない。
なんかの格闘技を極めていて、じゃれるときの蹴りの鋭さが素人目にヤバいってわかる、そんな私の愛しのヒロイン。

バビロニア、youtubeで期間限定で公開されてた短編しか見てないんだよー。
その中で牛若丸様やレオ様差し置いて賢王様が藤丸的トップオブイケメンやった。
見た目は間違いなくもろタイプ。

陽菜ちゃんチビ化可愛かったよー!
和子ちゃんのところに来てたら、周囲が気味悪がるほどお姉さんするだろうなって妄想した!
どっちにしようかなって悩んだ結果、可愛いクリスマス過ごしてたデイビットの方に便乗しました。
キリ様はきっとカイニスの魂に宿っていると信じて。

大体私の小ネタはストレスの産物です(´;ω;`)



<クリスマス>



吾輩はアルジュナである。
珍しく我がマスターが、クリスマスを二人で過ごしたいと申し出た。
あのジュナスタに限って下心なんてないどころか、何か悪戯心でも抱いたのかと心配になったが、アルジュナの心配を他所に、ジュナスタはふわふわもこもこの上等なパジャマで、ベッドに酒とつまみやトランプを乗せて待っていた。

「お手伝いお疲れ様。」

笑顔での出迎えに、アルジュナの表情も和らいだ。
散らかっていなければ殺風景なマイルームが、紙の輪っかや紙のツリーで少しだけ賑やかだ。
紙のツリーは、実家から持ってきた大量のピアスがブッ刺され、高価な宝飾でキラキラしている。
一人で飾り付ける範囲ではあるが、主にジュナスタのせいで沈みがちなアルジュナの心も浮上してきた。

「失礼します。」
「違うでしょ?」
「…ただいま。」
「おかえりなさい。」

アルジュナは、つまみやトランプを挟んでジュナスタの隣に腰掛けた。
正されたばかりだ、同じミスを何度も繰り返すアルジュナではない。
アルジュナは旅装の一つ、黒のパーカ姿になり、胡坐をかいた。
ジュナスタは満足そうに微笑んだ。

「お出かけとかパーティーとかしたかったかもしれないけど、付き合ってくれてありがとう。」
「この時期の外出は、冷え症のマスターには辛いでしょう。パーティーへの参加は教育的指導が必要になるので、私の心労が増えます。」
「つまり?」
「聖夜にあなたと二人でゆっくり過ごせるなんて、光栄です。」
「いつもは誰かさんが真面目過ぎてゆっくり過ごすことなんてあまりないけど、今日くらいは羽目外してね。」
「羽目を外すのと下品なのはまた別、そのあたりは厳しく指摘、注意しますからね。」
「返事は?」
「マスター、いえ、和子こそ。」

二人は微笑み合い、「はい」とお行儀よく返事した。
いつも前線で闘う藤丸立夏達のどんちゃん騒ぎに水を差さないための待機任務だとわかっていても、二人にとっては「構わない」という意思確認でもある。



お酒は体が温まる程度に、談笑しながらカードゲームに興じ、今はベッドに並んで寝そべってDVDを鑑賞している。
クッションをたくさん背中あてにしているとはいえ、ジュナスタは淑女教育の反動で姿勢が良過ぎるか反発して悪いか極端だ。
アルジュナがジュナスタをポップコーンのように抱え込む事で、問題は解決した。
何かと器用なようで不器用なジュナスタは、大人しくポップコーンを抱えている。
そのキンキンに冷たい手を、アルジュナの大きな手が覆っている。

「日本の戦国時代とは、面白いですね。」
「でしょう?さっき見てたのは江戸時代のだけど、刀に侍に武士って格好いいでしょう?」
「刀が格好いいのは和子のおかげでよく知っています。綺麗なところだけを抜粋しての演出でしょうが、侍や武士はクシャトリヤに通じるものがあります。」
「あー、わかった。どさくさに紛れて自分も格好いいって言いたいのね?」
「はい。」

アルジュナがジュナスタの顔を覗き込もうとすれば、ジュナスタに見上げられた。

「私だって、アルジュナが格好いいのはよく知ってるわ。」
「ならばよろしい。」

これは滅多にない、いい雰囲気だ。
映画そっちのけで口づけ合った二人だが、間のポップコーンが邪魔だし、待機任務であるからしてジュナスタの負担を考えるとこれ以上先に行けないことを、アルジュナは心底悔しがった。
そんなアルジュナを知ってか知らずか、ジュナスタは笑う。

「今日は歯磨きをせずに寝ても怒らないでね。」

ああもう我慢も限界だ。
アルジュナがさあいざと雰囲気を深めようとしたら、映画を流していた画面が通信に切り替わった。

「お楽しみのところ失礼するよ。」
「はいはい。特別手当、弾んでくださいよーっと。」
「ミス・ジュナスタには普段から特別待遇を満喫してもらっている筈だが?」
「私の貧相な裸が見たくなけりゃ、とっとと不快な通信を切りやがれ下さい。即効でそっち行くから。」

不敵な笑みを浮かべる前に通信を切ってくれればいいものを、名探偵はジュナスタの反応を見てから通信を切った。
ジュナスタはふわもこのパジャマを男らしく豪快に脱ぎ捨て、キチッと礼装を纏い、愛刀を腰に差した。
「即効でそっち行く」、つまり管制室への討ち入りのことではないかと、ミスター・ムニエルとほぼ同時にアルジュナが危惧したとき、ジュナスタはぎゅっと髪を一つにまとめてアルジュナを振り返った。

「さっきの時間、クリスマスだけの特別な時間?」

すでに心労を覚えていたアルジュナは、一瞬ジュナスタに何を問われたのかわからず、出遅れた。
しかし、答えは間違えない。

「和子が望むなら毎日でも。」
「その言葉だけで結構。実際は無意味な夜更かしは肌に悪いとかベッドの上での飲食は行儀が悪いとか、どうせやらせてくれないのはわかってまーす。」
「それは、」
「わかってまーす。」

ジュナスタは後ろ手をひらひらと振りながら、さっさとマイルームを出て行く。

「私もそういう意味で言ったわけじゃないから。」

その横顔はキリッとしていて、アルジュナの胸が高鳴った。
これまであわあわしていたりおどおどしていたりしていたが、今は迷いがないどころか力強さすらある。
これに応えずして何が王子か戦士かサーヴァントか。
まずは目の前の敵を打倒し、特別ではあるがこれからはいつでも過ごせる甘い時間を少しでも長く味わうために、気を引き締めた。



のは、数日前。
任務から帰ってから、報告書作成や剣のお稽古などでこれでも意外と忙しいジュナスタは、アルジュナと心温まる時間をまだ過ごせていない。
それどころか廊下で誰かにぶつかり、尻餅をつくところが誰かの豊満な胸に後頭部を支えられた。
運が良いのか悪いのか、とにかく今はひたすら怠惰な日々が恋しい。

「モー様、すみません。」
「悪いのは俺だ。わざとぶつかったからよ。」
「それならもう少し手加減をしてください。」
「悪りー、悪りー。」

片手を立てるモードレッドに目礼で返し、すわ素敵なクッションの持ち主は一体と振り返り、ひゅっと息を飲んだ。

「カイ、様。」
「ほらな?カイニス。和子は人見知りするんだ。」
「ふうん。」

顔を覗き込むカイニスからジュナスタは距離をとるが、勇ましく壁ドンをされて制された。
胸が高鳴るが、それは間違いなく恐怖によるものだ、ひび割れた壁が証明してくれる。
反対側もモードレッドに壁ドンされて逃げ場はない。
カルデアでも名高い不良少女英霊コンビ、白黒微乳巨乳とそれぞれ魅力の女性だが、男らしさは普通の男をはるかに凌駕したイケメン達だ。
ジュナスタは二人の壁ドンの間で、あわあわおどおど貧相な体を縮めた。

「あの、どういう状況ですか、モー様。」
「カイニスが和子に会いたいっつうから、俺は付き添いだ。」
「それはありがたいですが、カイ様はさっきからいったいなぜ私を睨んでるんですか?」
「そりゃ恋敵だからじゃね?あいてっ」

カイニスに肘で小突かれたモードレッドは黙り、カイニスは「ふむ」と頷いた。

「おまえの破天荒ぶりを聞いて絶対に嘘だと思ったが、人見知りは本当みたいだな。」
「…騎士様や神霊様に挟まれたら普通の人間ならこうなります。」
「和子は普通じゃないって聞かされていた。俺の目には普通の少女に見えるがな。」
「…成人してます。」
「おい。」

カイニスに声をかけたのはモードレッドだ。
背の高いカイニスをちらりと睨んでいる。

「俺の勝利を祈ってくれる大事な乙女だ。あんまり苛めてくれるなよ。」
「モー様。」

ああなんてイケメン、薄い胸でもときめいちゃう。
涙目で感動するジュナスタに、カイニスは「ふん」と鼻を鳴らした。

「荒療治だろうが、さっさと俺に慣れて貰わないと困る。」

ジュナスタが「なんで?」と問う前に、カイニスに男前に微笑まれた。

「俺はおまえと親しくなりたい。魂がそう言っている。」
「ひえぇ。」

イケメン恐怖症の友人よ、今ならその気持ちすごくわかる、助けてくれ。
しかし、悲しいかな、いたずらの数々や素行の悪さからもう癖で人目を避けているため、廊下に誰もいないのではなく、誰もいない廊下を自ら選んでしまった。

「毎日でも来るぞ。挨拶から始まり、茶をしばき、剣を使えるそうだからチャンバラもしよう。仲良くなった暁にはうさ耳だって触らせてやる。俺は諦めない。」
「あ、おい。」

カイニスは言いたい事を言いきってジュナスタの顎をとり、モードレッドの制止を蹴りつけてジュナスタに口づけた。
ぽかんとするジュナスタをカイニスは見下ろし、柔らかく上品に微笑んだ。
その笑顔に記憶を刺激されたジュナスタの頬に、涙が伝う。

「カイ様。」
「カイニスでいい。」
「私、人見知りだから最初はうまくいかないかもしれないけど、仲よくする。」
「嬉しいぜ、和子。そん時ゃあの口喧しそうなサーヴァント撒いて来いよな。じゃな。」

カイニスは男らしい笑みを残し、ぎゃーぎゃー文句を言うモードレッドを引きつれて去って行った。
ジュナスタは頬を拭おうとしてその手を荒々しく取られ、噛みつくように口づけられた。
今度は誰かなんて思うまでもない。
あとで監視カメラでちゃっかり見ていた相棒の方に聞いてみたら、カイニスの「“旧交”を温めたい」という申し出に手の平に爪を突き立てて黙って見守ってくれていた、カイニス曰くあの口喧しそうなサーヴァントだ。

「相手が女性だとどうしてそう警戒が甘いのか。」
「すみません。」
「今後一切、一人で出歩かせません。」
「すみません。」

ジュナスタは珍しく粛々と自分の非を認めて殊勝な態度で謝罪しているが、アルジュナの怒りはしばらく収まりそうもない。
不良少女英霊コンビに対する悪態を苦労して飲みこみ、無抵抗のジュナスタを壁に押し付けて、満足するまで荒々しく口づけた。
ジュナスタが愛する怠惰な日々は、まだまだ遠い。

「顔引き攣ってる和子さんには口が裂けても言えないけど、うちの問題児達と仲良くしてくれて助かるなー。」

モードレッドとカイニスとお茶をするジュナスタを、角から見ていた藤丸に、マシュは微笑む。

「彼女は色んな意味で不良の寄せ集めと言われたDチームの、カドックさん曰く、確か、そう、ガキ大将だったのですから、能力的に問題ありません。」
「なるほど。」
「それに今は、ペペさん曰く、あの子を守れるのは器のでっかい男さんもそばにいらっしゃいますから。」

藤丸とマシュは互いに微笑み合い、ジュナスタの背後にビシッと立ち、不良のティータイムをしっかりと監視するアルジュナに、心の中から声援を送った。

 



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