人☆拍手お礼文☆106
 2018/06/16 Sat 23:19


拍手ありがとうございます!



<隠語>@

※少し矛盾がありますが、第二十二話の後くらいの関係だと思って下さい。




夜、一般的な兵士は眠っている筈の時間。
管理職であるリヴァイは会議に出席していた。
一般的な兵士、つまり管理すべき対象が活動している日中は、管理職も各々責務に応じた職務を全うしなければならず、全員の都合を合わせるのは難しい。
しかし、自分の都合は不要なのではないのかと、リヴァイは思ってしまう。
結果だけを知れば十分だと思っている訳ではない。
情報の共有は大切だ。
それは、結果を導き出すために誰が何を考えているか知る事も含んでいる。
そうであれば会議に出席する意味を見いだせるものだが、今日もまた保身や保守的な考えで物珍しさもなく、リヴァイは欠伸を噛み殺していた。
状況が思わしくない今、想像力は人並みで、もっと意見はないのかと唾を吐き散らかす様な熱血漢でもなければ、退屈だ。
この時間、睡眠をとっていた方がよほど有意義だろう。
だからといって会議中に居眠りするほど、リヴァイは子どもでもなければ不真面目でもない。
目が据わっているのはいつもの事だ。

「ん?」

暇をしていたからではないが、誰よりも敏いリヴァイは会議室の外に人の気配を感じて顔を上げた。
ミケが鼻を鳴らし、リヴァイを見て頷いた。
ノックが鳴れば会議が中断される。
リヴァイは一言詫びて立ち上がり、扉を開いた。
今まさにノックをしようとしていた王子の顔は青い。

「何が遭った?」
「俺の、王族の身に関する事です。この場では差支えます。」
「承知した、王子。エルヴィン、構わないか。」
「勿論だ。今この場でもっとも尊重されるべきは王子様だ。」

扉が閉まる前、敬礼するエルヴィンに頭を下げた王子は、リヴァイから目を逸らした。
王子が何も言わずとも、リヴァイは王子の後ろについて歩いた。

「会議の途中で、すみません。」
「不謹慎だが、むしろ感謝している。」
「そう、ですか。」
「俺に話があるならそこを右だ。」

そちらはリヴァイの居室がある。
王子の足が震える。
リヴァイは王子の選択を待ち、その背に続いた。
王子はリヴァイの部屋の前で立ち止まった。

「す、すみません。」
「ヘタレのおまえが会議から連れ出すなんざ豪気だと思っちゃいたが、今更だな。」
「くだらない事で、兵士長を煩わせて、」
「俺にとっちゃくだらねえかも知れねえが、おまえにとっちゃ会議中の上司に助けを求めるほど重大な事じゃねえのか。」
「やっぱり、俺、ひとりで、」
「ここじゃ声が響く。さっさと中に入れ。話はそれからだ。」

リヴァイは扉を開いて王子を促した。
王子は震える足で部屋に入り、扉が閉まった瞬間にリヴァイに抱き締められた。
少し抵抗したが、人類最強に叶うはずもない。

「怖い夢でも見たのか?」
「わからない、急に、不安になって、」
「俺の所に来てくれたのか?」

必死に頷く王子に、リヴァイは口付けた。

「光栄だ。」

まだ王子は震えている。
目的の人物に会えてなお、落ち着いてはいない。
感情を揺さぶられている王子の呼吸は荒く、リヴァイも釣られた。
リヴァイがゆっくり寝台に近付いても、戸惑うだけで抵抗はない。

「いいのか?」

王子はぎゅっと目をつぶっているが、やはり抵抗はない。
口数が多い男は嫌われる。
リヴァイは黙って王子を甘やかした。



全裸で目を覚ました王子は、シーツの上から頭を抱えた。
しっかり衣服を身に付けたリヴァイは、片肘を立てて寝そべり、王子を監察していた。
しばらくして王子はシーツを脱ぎ、いつもの覇気のない顔に戻った。

「おはようございます、リヴァイ兵士長。いい天気ですね。」
「そうだな。言い訳は思い付いたか?」
「はい。エルヴィン団長には俺が不審人物に狙われていたのでリヴァイ兵士長の部屋で一晩過ごしたと伝えて下さい。」
「捜査は?警護は継続するか?」
「いえ。リヴァイ兵士長のおかげで不審人物も諦めたようだと結んで下さい。」
「承知した。…で?」

首を傾げる王子に、リヴァイは妖艶に微笑む。

「次はいつ不審人物が現れる予定だ?」
「…他人事だと思って。」
「他人事なわけねえだろ。」

王子は真っ赤だ。

「俺にとってこれ以上ない光栄な事だ。」
「ほんと、意外とロマンチックな人ですよね。」
「おかげでいい夢を見られただろう?」
「…ぐぅ。」

またシーツを被る王子に、リヴァイは服を投げ付けた。

「さっさと着替えろ。事件が解決したならてめえは訓練だ。」
「はい。」

王子は渋々着替えを始め、リヴァイも名残惜しげに身支度を始めた。

 



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