ネタバレるかもしれない風立ちぬ感想
 2013.08.11 Sun 02:08
風立ちぬが猛烈に面白かったので感想を書きたいと思います。
宣伝されている以上のネタバレはしないように心掛けますが、手が滑ったらごめんなさい。



前評判の通りに賛否両論のある映画だと思いました。
たぶん多くの方が期待するジブリ的なファンタジーとかスペクタクルの要素は少ないし、なんとびっくり濃いめのラブストーリーなのだ。
なんとなくブンガクのような雰囲気もかもしつつ、そこはまあ、宮崎駿ですからね。
ハヤオ臭さはたっぷりあるんだけども、不思議な小動物とか出てこないから物足りない人はそうなんだと思います。

でもキャリア四十年を超えたおじいちゃんが毎回毎回オンナコドモのエサばかり作ってたら、それはそれで変態だろと。
そういうのを期待する人は金曜ロードショーでトトロがかかるのを待てばいいじゃんと思うのね。
トトロが好きな人はパンダコパンダも見ればいいと思うのよね。

プロジェクトXとサナトリウム文学を足してハヤオ分を足しっぱなしにしたような映画という感じかなー。
それでも十二分に、いい意味でジブリくさい。
いわゆるジブリヒロインの集大成みたいなヒロインと繰り広げる、めくるめく一部の男のロマン。
運命の女(聖女)との運命的な出会いと再開と恋愛と生涯の夢と仕事!という、実に昭和ロマンなお話で、そこがツボにハマると猛烈に面白い。


主演の庵野カントクがド素人!ド下手!大失敗!と、さんざん言われていますが、もっととんでもないド下手がシレッとアイドル声優でございますぅと主演している現状を目の当たりにしているアニオタなら平気で耐えられると思います。
あの程度ならぜんぜん平気。

じゃあ誰だったら良かったの?と考えると、見終わった後には、もうあの声しか考えられないというか、別に音声無くても構わないくらいにはおもしろかった。主役だからたくさん喋るけど、それほど台詞に依存している脚本ではなかったように思います。
耐えられないなら北米版出るまで待って英語で見てもいいんじゃないかな。短い言葉で簡潔に話すことが多いので、ちょっと古い邦画みたいな雰囲気もあります。


美しい飛行機が作りたい、という主人公の思いがストーリーの根幹にあるわけだけど、飛行機をアニメとか、映画に置き換えてもいいのだろうなと思いました。
たぶん宮崎駿は美しいアニメーションを作りたいと、その一心で何十年もやってきたんだろうな。
風立ちぬが美しいアニメーションで美しい映画なのかどうかは、そこはもう感性の問題なので、合うか合わないかという曖昧なことになってしまうけど、千尋とかハウルみたいな超ド級の大作!なノリでは無い分、シンプルな所がいちいちキレイだな、くそっ!て感じです。
ハイジとか、その辺りに近い。

宮崎駿が好きなの〜でも風立ちぬはちょっと〜と思ったならハイジ見なさいハイジ!最終回だけでもいいから!!


褒めまくっているけど、でもこれはあまり人には薦めないな。
ワカモノカップルがデートで見るにはまるっきり向かないし、もちろん子連れなんてもってのほかだ。
戦闘機マニアとかね、しかも設計の方のね。そっち方面。
わたしがこんなにハマッて大絶賛しているのも、長らく機械設計をしているからだと思うし。
モノを作っている人にはオススメ。
金属には夢とロマンがあるのよ。






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