プチンッ

「あ‥」

「ファイ部長、ボタン落ちましたよ」

「ありがとー、サクラちゃん。どうしようかなー。夜は取引先の方と食事なんだけどな」

「わたし、ソーイングセットありますよ。付けましょうか?」

「それなら私が!」

「私にやらせてください!」

「あたしだってソーイングセットを持っています!」

「「「ファイ部長!!」」」

「みんなありがとー。でもオレ、付けてもらいたい人がいるから」

「その方なら、先程休憩室で電話してましたよ」

「サクラちゃん‥‥この書類お願い」

「はい。いってらっしゃい」






「あー、いたー!」

「ファイ部長。どうなさったのですか?また仕事をさぼっていらっしゃるのではないでしょうね?」

「心外だな。キミのためにオレは毎日一生懸命仕事をしてるのに」

「そのお言葉の通りであれば、私も楽なのですけれど。で、ご用件は?仕事を減らせという内容でしたら却下ですよ」

「残念ながら今日は違うんだー。これ」

「あら。今日はお食事の予定がありましたね。シャツを脱いでいただけますか?」

「今日は珍しく積極的だねぇ」

「ボタンよりもまず、そのお口を縫った方がよろしいようですね」

「冗談だよー」

「全く‥‥はい、できましたよ」

「ありがとう」

「ファイ部長なら、頼まなくても付けくれる女性がたくさんいらっしゃるでしょう」

「うん。でも、キミに付けて欲しかったんだ」

「‥‥そんなこと言われても、私は少しも嬉しくありませんから」

「顔赤いよー?」

「‥お仕事増やしますよ」

「ごめんなさい」






女性社員に大人気なファイ部長と、ツンデレヒロインの小話でした。

どんなに冷たくされてもヒロインにメロメロなファイ部長と、そんなファイを鬱陶しがりながらも認めているヒロイン。
そんな2人が組めば、どんな仕事も成功させてしまうのです。

拍手ありがとうございました!




「食事会の後、オレと一杯付き合ってよ」

「‥‥ファイ部長の奢りでしたら」

「やったー!」






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