小さい羊は夢を見た 



泳ぐ魚の夢だった 



ごぽり、ご、ぼ



泡(あぶく)が頭上を舞っている 



圧され縮んで歪んで潰され

 

小さく細切れに泣いている
 


痛いよ、痛い 



助けてよ、 



泡は魚に救いを求める 



助けて、助けて 



けれども魚は動かない 



じぃっと泡を見つめてる



暗い瞳で見つめてる 



君は馬鹿だ 



傲慢だ 



助けて欲しいのは僕の方



闇の中で独りきり



閉じ込められた、僕の方



静かに呟くその間にも 



泡は上へと上がってく 



ずるい、ずるいよ 



ずるいずるい 



何で君だけ助かるの



檻の外に、出られるの 



ずるい、ずるい、ずるいずるい



唱えながら、魚は沈む



深い底へと沈んでく



待って、まってよ 



それは違う 



僕ら一緒と誓ったろう 



ずうっと一緒と、笑ったろう 



なんで助けてくれないの



なんで、なんでさ、 



なんでなの 



なんでなんでと繰り返す



流せぬ涙を零してく 



海面、絶望はすぐ後ろ 



海面、希望は膝の裏 



とうとう泡は消えちゃった

 



どうして君は、裏切った 




響きは胸に染み渡り 



子羊緩やかに目を開けた



ほろり涙が流れ落ちる 



ひっくぐずぐず



ずずずしく 



柔らかな新緑芝生の上で



痛くて暖かくて空っぽだと
 


ただひたすらに泣いたとさ

 

微睡み中の泡と魚




ひどかったのは



さて、どっち










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