幸せはどんな形?と聞いて、小鳥の形という答えがあった。



なんて愛らしい形だろうか。



瑞々しい気力が満ちた翼を広げ、青く広い空へ飛び立つ。その瞳の輝きが、しなやかな筋肉が眼裏に易く映し出された。



彼か彼女か、その別れは刹那に狂おしい程の切なさと虚無感を孕んで、人の心を包み込む。



そうして、また誰かの下へと舞い降り、再びの別れを繰り返すのだ。



小鳥の訪れが、何を象徴するのか。その解釈は人により様々であろう。



小さな指に降り立つ生の祝福であったり、細々とした日々の喜びを送る使者(メッセンジャー)であったり。



だが、どれもあたたかな何かを運んでくれる優しい時であることには変り無いのだ。



斯くて人は小さな鳥を追い求める。嗚呼、この美しい例えを聴いて、ふと言葉を漏らした者が居た。



幸せが小鳥ならば、愛は鳥籠の形を成している、と。



でなければ、鎖か斧か、この腕か。愛の形はそれぞれ違う。違いあれども、人は誰しも自らの幸福を欲してやまない。



だからこそ、我らはその脚を握り込む。宙へと向かった羽先を、引き摺り落として抱き締める。



“籠に閉じ込め逃がさぬように。”



呟く言葉は呪い(まじない)となり、睦言のように絡み付く。人も小鳥も巻き込んで。



愛とはつまり、幸福で、されど小鳥は籠ではない。堂々巡りの問答は、止まるところを知りはしない。
















い。


だからこそ、その類い稀なる才能で、形にしようとあがくのだ。


これこそが我等人間にとって至高の「何時までグダグダ喋ってんのさ。」


「ちょっ!!いま、今いいとこだったのに!」


「何処がだよ。」


「何処って……あ、あれだよ。“愛や幸福がなんたるものか、知りはしない…”とか!あの辺格好良くねぇっ?」


「別に」


「っ、かぁ〜〜!本っ当愛想ねぇのな!あれか。今ハヤリのツンデレか!?寧ろクーデレ?」


「デレてねぇよ。つか、もう流行りとか過ぎたろ。」


「何言っちゃってんの!ツンデレは永遠の萌ポイントだよ!?王道なめんな!特に彩ちゃんみたいなちっちゃい子がやると、もう…っ!」


「………。」


「え。何、その目。眼差しが氷点下なんだけど。じょ、冗談だよ?え。あ、え?ちょ、お姉さん。何処行くの。ねぇ、待って、ま」


「金輪際二度とウチの妹に近づくな。」


「だ、か、ら!冗談だよ。冗談だからっ!お願いだから出ていかないで!!待ってってば!」


「彩にはお前は引っ越したとでも言っておくから。じゃ。」


「……ぃ……………いやあぁああああああああぁぁ!!」






終われ。












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