博愛主義
2010.06.06 Sun 19:11
レルラとザハク
険悪
*
「全てを愛す。それは無意味であり無価値だ。愛のために生きるのは徒労でしかない」
「徒労を説く君には理解できないだろうね。愛は神に近い最も尊いものさ」
レルラはザハクを嘲笑った。幼い容貌に浮かぶそれは背筋が寒くなるようなものだが、ザハクには何も感じない。
「歴史を生きる魔人だからもっとマシなことを言うかなって思ったのに、期待外れだったなぁ」
「哀れな存在だね。魔人って」
「全てを愛するなど、偽善者のする徒労だ」
「何言ってるの?」
目をすっと細め、哀れみを魔人にくれてやる。
「博愛主義というんだよ」
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