バトンで書いたライドウ&タタラ
 2010.03.27 Sat 00:40
「出ておいで。イッポンダタラ」

銀色の管からマグネタイトが溢れた後、イッポンダタラが現れた。ハンマーをくるりと回し、ポーズを決めた。

「世界を救うときがキタァァァァア!」
「管の掃除をするから、お前は隣の部屋にいてくれ」
「うぉれはぁ、邪魔かぁぁぁあ!?」

何やら不満げに叫ぶイッポンダタラに、首を横に振った。

「お前は本が好きだろう?隣にいろんな本があるから、好きなのを読んでいい」
「了解ィィィ!読書がぁ好きだァァア!」

あっさりご機嫌になって、かしゃんかしゃんと足音を立てて部屋を出ていった。
ライドウはドアが閉まったのを確認して、管の掃除を始めた。そこにゴウトの声が重なる。

「奴の扱いも慣れたものだな」
「ああ、タタラは口調に似合わず読書が趣味だ。今所長は不在だし、ちょうどいいかと思って」
「そうだな。側で騒がれてはやかましい」
「?いや、自分は平気だが」
「そうなのか」

ゴウトは意外そうにライドウを見た。基本的に物静かな彼のことだから、騒々しいのは苦手かと思っていたのだ。

「タタラは可愛いからな」
「はあ・・・」

理解できないらしいゴウトを尻目に、管を覗き込みながら、ライドウはタタラの管は特別綺麗にしてやろうと考えた。





管の掃除が終わり、ライドウが少し大きい声でイッポンダタラを呼んだ。
しかし、彼が戻ってくる気配はない。それにいやに静かだ。
もしや勝手に事務所を出てしまったのだろうかと、ドアを開けた。

「・・・タタラ」

所長の椅子に座って読書しているイッポンダタラを見て、ホッと溜息をついた。

「管の掃除、終わったぞ」

呼びかけに反応しない。読書に集中にしているようだ。
ライドウはもう一度声をかけようとして、止めた。

(あんなに夢中になって)

普段の騒がしさからは想像できない姿に、微笑みが零れた。
もう少し好きにさせたくて、ドアを閉めた。そのドアに背中を預けて、大きく、息を吐いた。

「どうした?」
「なんだか、羨ましくて」

熱中できるものがあるって、良いですね。

そう呟いたライドウを、見つめるゴウトの緑眼が細められた。そこにある感情を読み取ることは、瞑目していたライドウにはできなかった。



***

タタラは読書すると、静かになると素敵だなぁと思いました。

[*前へ]  [#次へ]



戻る
BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
第4回BLove小説漫画コンテスト開催中
リゼ