私と以蔵が通う学校の隣は有名な私立高校だ。
しかも男子校、まあ来年度から共学になるらしいと、こっちの学校の理事長である、母が言っていた。
「なあ、あれ隣の学校の校門の前に居る奴じゃないか」
「ホントだ。確か地獄の門番とか言われる隣の学校の風紀委員ね」
一人で何をしているのだろうかと二人は興味津々、ただし相手側の…斎藤一はそのことに気づかずにいた。その為…
「一君、お待たせ♪」
「あんたは、またクレープなんか買ってきたのか」
「いいじゃん、あそこのクレープ屋は休日長蛇で買えないんだから」
そういいながらもクレープを渡す、そしてそれを受け取り食べる一君の様子を、たまたまデートしていた二人は目撃してしまったのだった。
まあ、以蔵から見れば、ただの仲良し男子高校生だ。だが、リョウから見たら…
「あの二人、できてんじゃないの」
「えっ!?」
リョウの発言に以蔵は驚き、あの二人を再びみると、総司が一の唇についた生クリームを手でとり、それを舐めところだった。
「〜〜〜〜!?」
「やっぱり、あの二人付き合ってる。片方はよく遅刻してる生徒よね…問題児と風紀委員の内緒の関係、うちの学校の新聞部に情報あげたら食いつきそうよねー」
「この時代にも衆同はあるんだな」
以蔵は、仲よさ気な二人をしばらく見ていた。
「以蔵、行こう。これ以上遅くなったら夕飯が遅くなっちゃうよ」
「そ、そうだな。」
二人が帰ろうとした時
「待って、そこのカップル」
「!」
「僕達のこと見てたよね」
「見てたけど、なにか」
「このことは、他言無用で頼む」
「言ったら、君達の関係も、そっちの学校の先生にも言っちゃうよ、君達の学校、不純異性交遊は禁止だよね」
真面目な方の彼はさておき、問題児君の忠告は痛い。特に保健室の先生でかつ、生活指導主任のアイツに言われたりしたら、絶対別れさせられる。
「約束するわ」
「ありがとう、聞き分けのいい女の子は嫌いじゃないよ」
「総司、また他校の女子にちょっかい出す気なのか」
「そんなわけないよ、だって彼女には、そっちの…岡田以蔵の彼女なんだよ。ちょっかい出したら幕末じゃないけど闇討ちにされかねない、何より僕には、大事な君が居るんだから」
「…!」
今、幕末って言った。それに、名前も総司って…けど、そんなはずない、うちの学校には私たちが関わった面々は転生して同じ学校に集まってきてるんだから
「それに僕らは、必要以上に親しくはなれない。同じ時代に生きてたけど、それは違う時系列の同じ時代だから」
「どういう、意味よ」
「僕と一君が居た幕末と君達が居た幕末は訳が違う。僕たちが居た幕末で、岡田以蔵は罪人として処刑されてる、そして…君が助けたはずの坂本龍馬も、暗殺されたし…」
「やっぱり、貴方は労咳で?」
「残念、そこは君達の知る、沖田総司とは違うかな」
「違う?労咳で亡くならなかったってこと?」
「そう、戦いの果てに僕は逝ったんだ。一君を残してね」
「副長からその話は聞いた。」
「土方さん、千鶴ちゃんと最期まで生きてくれたみたいで良かったよ。僕が逝ったあと、一君に手だしてたら、土方先生のこと殺してたかも」
「総司、むやみに殺すなど言うな」
真面目な方の彼に言われ黙ってしまった。
ふうん、私たちの居た世界の沖田さんとは、確かに違うかも
だって、私たちの居た世界の沖田さんは、土方のことが好きだったから
これ言ったら、こっちの沖田さんは、どう思うかな。
「何?そっちの僕と土方さんってもしかして仲がいいとか?」
「あぁ、土方の後ろには必ず沖田が居た」
めずらしく、以蔵が受け答えした。
「…やっぱり、相成れないよ。そっちの僕らとは、だから出会っちゃいけない」
出会えば多分どちらかが死ぬことになるからと、沖田さんは言った。
「ドッペルゲンガーね」
同じ名前で生年月日が同じ、しかも前世も同じなんて、普通なら会わない。いや、出会ったらいけないんだ。
「少しの間、引き止めて悪かった。もう、そろそろ帰らないといけなかったのだろう」
真面目君、いや、斎藤さんの言葉に、はっとして時計を見る。
「まずい!母さんに怒られる!行くわよ、以蔵」
「あ、あぁ」
以蔵と自然に手を繋いでその場を走り出す。
後ろは振り返らずに
「僕らは、僕らで楽しもう、一君」
「何を言っている、俺達もそろそろ帰り明日の予習を…」
「ホント、真面目だよね。一君」
「…行くぞ」
リョウ達と反対方面へ歩み始める。願わくは彼らが今後再び会い見えんことを願うばかり…
END
拍手文
薄桜鬼×幕末乱れ咲をクロスして見たんですが、どうでしょうか
好評があるようなら、クロスストーリー、いろいろ考えたいですね