芸能界パラレル。



 君に会いに行く





うずまきナルト(19)


誕生日:10月10日(てんびん座)
血液型:B型

好きな食べ物:ラーメン、おしるこ
嫌いな食べ物:生野菜
趣味:いたずら、植物に水をやる

尊敬する人:父



『今大注目の若手新人俳優、うずまきナルト!!』


撮影の休憩時間、楽屋に置かれた雑誌を暇つぶしにぱらぱらとめくっていたサスケは、ふとそんな記事に目を留めた。

見開きで何ページも特集されたそれには、最近ではとっくに見慣れた金髪と青い瞳の男が屈託のない笑顔で写っていた。

プライベートな質問が多いインタビューでは、好みのタイプや理想の結婚相手などというものもあった。


もともと誰もが知る伝説的な役者、波風ミナトの息子であり、役者としての素質は十分にあった。
しかもそれだけではなく、彼には誰もが惹かれる太陽のような明るさがあり、常に目標に向かって努力を怠らない真っ直ぐさも備わっている。

今思えば彼と初めて出会った時、いつの日かあの有名な父親をも超えるかもしれないと思わせる器に、すでに自分は同じ役者としても人間としても惹かれ始めていたのかもしれない。


数ヶ月前に変わったばかりのナルトとの関係は、友人でも同僚でもなく、ついには親友をも超えたものとなっていた。


そのことを思い出しながら、もう一度ナルトの記事を見つめる。

恋愛面の話題が多く、興味のなくなったサスケは最後まで読むことなく閉じようとする。
しかし、ふと目に入った質問に手が止まってしまった。


ナルト‥。

読んだ時に感じたのは、ほんの少しの、しかし確かな喜びだった。









「なぁサスケってば、今日は珍しく機嫌良いんじゃね?」

勝手に人のベッドに寝転がりながら、ナルトは嬉しそうに問いかけてくる。

仕事を終え、もうすぐ日付が変わろうとしていた時刻に、ナルトは一人暮らしをしているサスケの部屋へとやってきたのだった。


「別に、いつもと変わんねぇよ」


「いや、それはねぇってばよ!だってお前、俺がこの時間に来るといっつも怒るじゃん。でも、今日は怒んなかった!」


「‥‥‥」

自分でも気づいていなかったことを指摘されて、サスケは思わず黙り込む。

仕事の休憩時間に彼の記事を読み、その内容に少し気分が良くなったのは事実だった。
最近なかなか会えない恋人に、少しでもいいから会いたいと思ってしまった。

そしてそんな時、タイミングよく本当にナルトはやってきたのだ。



「サスケェ」

ベッドを背もたれにしながら床に座っていたサスケに、背後から腕が伸びてくる。


「‥っ‥何だよ」

抱きしめられたサスケが肩越しに振り返ると、唇が触れてしまいそうな位置にナルトの顔があり、心臓が大きくはねた。


「昨日で、15日目だったってばよ」


「‥何が」


「サスケに、会えなかったのが」


「‥‥」


「サスケに二週間以上会えなくて、すげぇ寂しかった‥」


「ナルト‥」


「だからどうしても我慢できなくなった。こんな夜遅くに行ったら、サスケにまた怒られるだろうなと思ったけど‥」

来ちまった、と言って、ちゅっと唇が触れ合った。

久しぶりの、ナルトとのキス。


「でもサスケは全然怒ることなく部屋に入れてくれてさ。めちゃくちゃ嬉しかったってばよ」


「‥‥」


「なぁサスケも、俺に会いたいって‥思ってくれてたか?」


「‥‥」



ナルト。


思い出すのは、あの記事だ。


『確かに芸能界は仕事が忙しくて、会える時間は少ないかもしれない。
でもだからこそ、お互いに会いたいという気持ちは強くなるから、たった1分でも1秒でも会えたらすっごく嬉しいし、幸せを感じます。

本当に好きで会いたければ、夜遅くなって相手に怒られようとも、俺は絶対に会いに行きます』


確か、『仕事が忙しくなると恋人とはすれ違って上手くいかなくなる、とよく言われますが‥うずまきさんならどうですか?』という仮定の話だった。


『絶対に会いに行きます』

これを読んだ時、まるで自分がナルトに『今から会いに行く』と言われたみたいで、素直に嬉しいと感じてしまった。

俺もお前に会いたいと、思った。



「‥ナルト」


サスケは立ち上がり、ベッドに座るナルトにゆっくりと顔を寄せる。


「サスケ‥?」

驚いたように少し見開かれる綺麗な青い瞳を間近で見つめながら、サスケは唇を重ねた。

先程の子供のような軽いものではなく、もっと熱く、溜まった欲を煽るかのような深いキス。


会いたいと、素直に想いを伝えてくれる彼がただ愛しい。


「ナルト‥。俺もお前に、会いたかった」


「サスケ‥」

甘く優しい声で、名前を呼ばれる。


「‥会えて‥嬉しかった」

ぎゅっとナルトの首へ抱きつくと、サスケの身体はすぐに引き寄せられ、あっという間にベッドに押し倒されていた。


「サスケェ、愛してるってばよ」


耳元で囁かれる低い声に、キスで火照り始めた身体がさらに熱くなっていく。

そのまま耳から首筋へと舌を這わされ、痺れるようなその感覚にたまらなくなる。


俺も、愛してる。

言葉にした声は吐息混じりで掠れていたが、ナルトにはきっと伝わっただろうと思う。




今度は、いつ会えるだろうな?

そう聞こうとして、サスケはすぐにそんな必要はないと判断する。


自分たちには急な仕事も多く、次のオフがいつかなんて、はっきりと答えられないだろう。

それに、自分たちが会うのにわざわざ約束なんていらないのかもしれない。


会いたくなったら、会いに行けばいいのだから。



「今度は‥俺がお前の家に、会いに行ってやるよ」


そう言ったサスケに、ナルトは相変わらずの笑顔で答えた。


「へへ。楽しみに待ってるってばよ」





 end



――――――――――

芸能界パラレル、俳優やってるナルサスでした。

ナルトは最後『待ってる』と言いましたが、結局は待ちきれなくて自分から会いに行くと思われます。笑

かなり遅くなってしまいましたが、リクしてくださった方ありがとうございましたv
でもやっぱり知識がなくて、雰囲気だけのパラレルになっちゃってすみません;


↓以下、本編中には出していないけど無駄に考えてみた芸能界パロ設定。(ただの余談)

・ナルサスの出会いは一年くらい前で、サスケが主演に決まっていたドラマのオーディションをナルトが受けたとき。ナルトはこれがドラマ初出演となる。
・サスケが芸能界に入ったのは13歳の時で、当時は俳優ではなくモデルとして活動していた。
・ナルトは高校卒業してそのまま芸能界に入ったが、サスケは芸能界を続けながら現在大学に進学している。
・ナルトはサスケとドラマで共演する以前からのサスケファン。




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