「‥‥いきなり何言って‥」
サスケの瞳に僅かに戸惑いの色が浮かぶ。
けれど、いつもより近い位置で見る黒は、想像以上に綺麗だと思った。
「サスケ」
ガタン、と音をたてて立ち上がる。
机に手をつき、向かい側に座るサスケを見下ろした。
「‥うずまき‥?」
戸惑いの色はそのままに、サスケは呆然と自分を見上げていた。
「俺は、お前と離れたくないんだってばよ」
ナルトの言葉に、サスケは眉を寄せる。
「‥離れたくない‥?」
「あぁ。サスケと会えなくなるのは‥嫌だ」
蒼い瞳は真っ直ぐにサスケを見据え、はっきりと告げた。
何もないまま、サスケと離れてしまうのが嫌で。
どんな形でもいいから、彼との繋がりが欲しい。
何もないまま、残りの1ヶ月半を過ごし別れてしまったら、きっと一生後悔する。
焦燥。
こんな気持ち、初めてだから。
どうしたらいいかなんて、全然分からない。
「ずっと一緒にいたいって、思うんだってばよ」
分からなくて。
ただ、想いを告げた。
「それは‥」
サスケの瞳が、訝しげにナルトを映す。
「ずっと一緒にいたいとか‥大袈裟なんじゃねぇのか‥?」
ただの教師に、とサスケは続ける。
サスケはあくまで生徒と教師の言葉として聞いているらしい。
違う。
「そんなつもりで言ってるんじゃねぇ‥」
教師を慕う生徒として言ってるんじゃない。
「?どういう‥」
「俺は‥」
机についた拳を、ぐっと握る。
いいのか?
一瞬過ぎった言葉も、片隅へと追いやる。
顔も、彼の瞳に自分しか映らないように、近づけて。
「俺は、サスケが好きなんだ」
そのまま、すべての想いを込めて重ねた。