「テストできたか?」
翌日、二日目のテストが終わりナルトが机に突っ伏していると、不意に上から声がかけられた。
ゆっくりと顔を上げると、自分の横にはシカマルの姿。
「‥終わった。赤点確実だってばよ‥」
そう呟いて、ナルトは再び机に突っ伏した。
昨日は、あれからずっとサスケのことしか考えられなかったのだ。
テスト勉強なんて、できるわけない。
シカマルがしばらく無言になり、聞こえた小さなため息とともに前の席の椅子が引く音がした。
シカマルが席に座ったのだろう。
「やっぱりあの時‥お前とうとう言っちまってたんだな」
シカマルの確信しているかのような声で、何を、と聞かなくとも分かる。
ナルトは無言で頷いた。
「どうすんだ?お前」
「‥‥‥。つーか結果聞かねぇの?」
「んなもん、お前のその様子見れば分かるだろ」
「‥‥‥‥はは、そっか‥」
自嘲気味に笑えば、シカマルはめんどくせぇ奴、と再びため息をつく。
彼へ想いを告げたことを、後悔はしていない。
想いを拒絶されたことはさすがにショックだったが、諦めるという選択肢は不思議と思い浮かばなかった。
彼が好き、ただそれだけなのだ。
彼にとって、自分のこの気持ちはきっと迷惑、なんだろう。
けど、それでも‥。
「しょうがねぇな‥」
独り言のように小さく呟いて、シカマルは立ち上がった。
「‥何か言った?」
机に突っ伏すナルトには、はっきりと彼の言葉は聞こえなかった。
「何でもねぇよ。俺は帰るぜ」
「もう帰んの?」
「明日もテストだしな。いつまでもお前には付き合ってられねぇよ」
「‥‥‥」
「お前も早く切り替えて勉強しねぇと本気でヤベぇぜ。じゃあな」
「‥‥‥」
自分から聞いてきたくせにさっさと帰って行くシカマルを、ナルトは黙って見送った。
「‥‥勉強、か‥」
『‥テスト、頑張れよ』
そういえば、サスケもそんなことを言っていたなと思い出す。
ナルトは机から顔を上げて立ち上がった。
今は、テストのことだけ考えればいい。
そう、自分に言い聞かせて。