互いに沈黙が続く。
この状況を一体どうするべきか。
ナルトは一人考える。
しかし、先に沈黙を破ったのはサスケのほうだった。
机に広げられている教科書を無言で片付けていく。
「サスケ‥?」
「‥‥勉強は終わりだ。お前はもう帰れ」
ナルトが声をかければ、
目を合わせないままサスケが小さく呟く。
そしてそのまま教室を出て行こうとする。
「‥え、‥待って‥!」
ナルトはそれに気付き、慌ててサスケの腕を掴んだ。
「‥離せ」
「サスケ‥」
「‥離せ、うずまき」
「‥‥‥」
ナルトはサスケを見据える。
行くな、と無言で訴える。
けれど、サスケはナルトを見ようとはしない。
これは自分に対する拒絶、なのだろうか。
「‥なぁ、サスケ」
どんなに好きだと言っても、やっぱり彼には伝わらないのだろうか。
「俺のこの気持ちって、迷惑か‥?」
「‥‥‥」
「俺‥サスケのこと諦めらんねぇんだ。好きなんだ。だから‥っ「俺は」
ナルトがどうにかして引き止めようとする言葉を、サスケは遮る。
「俺は、お前の気持ちには答えられない」
やっと向けられた視線は、明らかな拒絶だった。
ズキリと、痛む。
分かっていたこと。
覚悟、していたことだ。
ナルトは、何も言えなくなる。
緩んだ自分の手から、サスケの手が離れる。
それを、ただ呆然と見つめることしかできない。
「‥テスト、頑張れよ」
それだけ言い残し、サスケは何事もなかったかのように教室を去って行く。
彼の遠ざかっていく足音が、やけに自分の耳へと響く。
何が、テスト頑張れよ、だ。
一人残されたナルトは、行き場のなくなった手をぐっと握る。
何も、変わらなかった。
拒絶、されてしまった。
初めての、本気の告白だったのに。
「‥それでも、お前のことが好きなんだ」