火影×補佐。
火影と恋人の特権
「よっしゃ〜終わり!そろそろ休憩しようぜ!」
火影の執務室にて。
机上に山と積まれた書類に一通り目を通し終え、机に突っ伏す就任したての新人火影は隣にいる補佐に笑顔で声をかけた。
「おい、まだ一時間前に休憩したばかりだろ」
そんな火影の姿に咎める声をかけた補佐は、どこから持ってきたのかさらに机上に書類の山を増やす。
「げ。まだあるのかよ」
「誰もさっきので終わりだとは言ってねぇぞ」
「え〜俺もう疲れちまったってば〜」
「体力だけが取り柄のくせに何言ってやがる」
さっさとやれ、と睨みながら補佐であるサスケはソファーに座って書類の整理を始めた。
そういえば執務室に二人っきりなんて初めてだよなぁ‥。
一度切れてしまった集中力はなかなか取り戻すことができない火影、ナルトはすることもなくサスケを見つめながらぼんやりとそんなことを考える。
いつもなら同じく執務室にいるはずのサクラやシカマルは、今日は珍しく任務に出ているのだ。
二人っきりなんだから。たまにはちょっとくらい、いいよな?
自分たちは火影と補佐という関係であるが、それ以上に恋人という関係でもあるのだから。
「サスケぇ」
一人頭の中で勝手に納得したナルトは、立ち上がり、甘えるような声と瞳でサスケの隣に座る。
それに気付いたサスケが再び咎める視線を向けた。
「おい。仕事しろ」
「いいじゃん別に」
「よくねぇ、戻れ」
「嫌だ。‥サスケぇ」
疲れたから癒して。
そう言ったナルトはサスケが整理していた邪魔な書類を奪い、ソファーに寝転んで彼の膝に頭を乗せた。
所謂、膝枕である。
「てめぇ、邪魔すんな!俺はまだ仕事中だ!」
「火影様を癒すのも補佐の仕事だってばよ。あ〜、サスケの膝の上ってすっげぇ気持ちいい」
睨んでくるサスケを気にすることなく、ナルトは初めて愛しい人の膝の上を堪能する。
女ほどの柔らかさはないはずなのに、それでも女の膝よりも心地好いに違いないと思えるのが不思議だ。
下から見える恋人の仏頂面さえも可愛く見えて仕方ない。
堪らず下から手を伸ばしてサスケの首に回し、一瞬目を見開いた彼の隙をついてちゅっと唇を重ねた。
「へへ。膝枕もキスも、サスケの全部は公私共に俺だけの特権だよなぁ!」
「てめぇ!調子に乗るな!!」
「へ?うわっ!」
ドスンと音を立て、ナルトはサスケの膝から無残にも落とされる。
そのまま立ち上がったサスケは火影の執務机の横に立ち、さっさと続きをやれと言わんばかりにこちらを睨んでいる。
ちぇ、つまんねぇの。
「‥はいはい。やればいいんだろー」
せっかく初めてのサスケの膝枕だったのに。
ナルトが不満げに小さく睨み返すが、サスケは素知らぬ顔で再び書類の整理を始める。
ふて腐れた様子で席に着くナルトに、サスケはあからさまに大きなため息をついた。
「真面目に集中しねぇと今日中に終わらねぇぞ」
「サスケが癒してくんなかったから集中できねぇってばよ」
「ウスラトンカチのバカ火影が。そんなに癒されたいならさっさと仕事終わらせればいいだけだろ」
へ?どういう意味?
ナルトがそう問い掛けようと振り返ると、サスケはナルトだけに見せる艶やかな笑みとともにそっと耳元へ唇を寄せた。
「今夜は好きなだけ癒してあげますよ、火影様」
それが、俺の仕事なんだろ?
補佐からの甘い誘いに、ふて腐れていた火影も嘘のように挑発的な笑みを浮かべる。
「へへ。覚悟しとけよ、サスケ」
この補佐にしかできない艶やかな美しい笑みは、歴代最強と謳われる火影を唯一従わせる力を持っている。
そしてそんな笑みもまた、火影であり恋人でもあるナルトだけに向けられる唯一の特権だった。
end
補佐の必殺技がついに発動!誘い受け!笑
休憩中の火影さまは、いつも補佐に膝枕で癒してもらってればいいv