最高のプレゼントは
 2011/10/22 Sat



かなり日にちが過ぎてしまいましたが、やっとナル誕小説が書けました‥!


サス誕と同じく、イチャイチャしてない上にぐだぐだしてますが‥こっそり下にupしときます〜。

遅くなったけど、改めて誕生日おめでとうナルトvv





学パロナルサスです。



物心がつく前、生まれた時から自分の中に絶対的存在として根付いているものがある。

漆黒の瞳と、その同じ色の髪。


自分の生まれ育った国では当たり前の色だが、自分にとっての漆黒は世界でたった一つしかなかった。


何があろうともそばにいるのが当たり前で、離れるなんてことは考えたことがない。

だからこれからもずっと一緒にいる。
誰よりも近くにいたい。
自分だけを見ていてほしい。

そう思うのは必然であり、何もおかしなことはない。


だから自分の16歳の誕生日、
珍しく欲しいものはあるかと尋ねてきた彼に、ナルトは自分の気持ちを素直に伝えてみたのだった。


ずっと俺のそばにいてほしい、俺以外の奴なんか見ないでほしい、と。



「‥‥‥‥‥‥‥は?」


ナルトが真剣にそう伝えると、サスケはしばらく呆気に取られたように固まり、何故か盛大なため息をついた。


「‥‥ウスラトンカチ。そういう台詞は‥好きな女に言えよ‥」

伝える相手が明らかに違うだろ、と言われたが、ナルトには何が違うのかさっぱり分からなかった。


「何で?俺がそばにいてほしいって思うのはサスケだけだってばよ?」


中学までは同じ地元の学校に通っていたのに、高校からは別々の学校になってしまった。
それがどうしても堪えられなかったのだ。

毎日毎日サスケのことばかり考えてしまう。
今サスケは何をしているのか、次はいつサスケに会えるのか。

別々の学校へ通うことですれ違いが多くなってしまった今の生活は、ナルトにとってただ苦痛でしかなかった。



「‥だからって普通‥男相手にそんなこと言わねぇよ‥」

それじゃあまるで‥、そう小さく呟いたサスケは視線をそらし、悔しそうな顔を僅かに赤く染めていた。


「サスケ?」


「このドベ。お前にとって俺は‥‥親友、なんじゃねぇのかよ‥」


「おう!世界で一番大好きな親友だってばよ!」


「‥‥‥‥‥‥フン、やっぱりな‥」

満面の笑みで答えたナルトに、返ってきたのは自嘲の笑みと小さな呟き。

何故かその中に僅かな悲しみが混じっているように見えた。


「サ‥」


「‥‥とにかく。俺は、てめぇのそばになんか‥いたくない」


「は?ちょ、待てって!!」

くるりと踵を返すサスケを、ナルトは彼の腕を掴んで慌てて止める。


「俺といたくないって、どういうことだってばよ!!」


「どういうこともなにも‥そのまんまの意味だろうが」


「それじゃあ意味分かんねぇよ!何でそんなこと言うんだ!俺のこと嫌いなのかよ!?」


「‥‥‥嫌いなわけ、ねぇだろ‥」


「だったら何でだよ!!」

ナルトは必死で問うが、サスケは視線を逸らしたまま黙り込んでしまう。


ナルトは少しずつ不安になっていく。

自分はずっと一緒にいてほしい大切な親友だと思っていたが、サスケはそうではないのか。
サスケにとって、一体自分はどんな存在なのか。


「‥サスケ‥!」


サスケは、自分と同じ想いをもってはくれないのか。




「‥‥‥‥っき、だ‥」

しばらくの沈黙の後、漸くサスケはほとんど聞き取れないほどの小さな声でそう呟いた。


「へ?何だよサス‥」

ケ、と言う前に、気づいたらナルトの唇は塞がれていた。


目の前には見惚れるほどに綺麗な顔があり、唇には柔らかく甘い感触が触れている。

どきどきと胸が高鳴った。
触れ合った唇が、気持ちいいと感じる。


僅か数秒で離れたそれに、ナルトは無意識にもっと、と手を伸ばす。

しかしサスケにうまくかわされ、再び触れることはできなかった。



「‥ナルト。お前が望むものは、一生かかったって俺には贈れねぇものだ」

このキスの意味を考えれば‥分かるだろ?ウスラトンカチ。


こちらを睨みながらそう言ったサスケは、今度こそナルトに背を向けて去っていってしまった。

やはり、どこか悲しみを混じえた表情だった。



「‥‥‥キスの、意味‥?」

自分の唇とサスケの唇が重なったのは、やはりキスで。

サスケがナルトに自らの意志でその行為をした意味。


たとえ動揺している今の自分にだって、それが分からないほど鈍くはないし、もう子供でもない。


「‥‥‥‥信じらんねぇ‥あのサスケが‥?」


どくんどくんと高鳴ったままの鼓動と、今だはっきりと残る、触れた瞬間の紛れも無い快楽。

そして。


「‥‥やべぇ‥すっげぇ嬉しい‥」

好きだと思う、この気持ち。


先ほどサスケは、自分にはナルトの望むものを一生贈れないと言っていたけれど。

自分はもうとっくに、最初に望んでいた以上のものを贈られてしまったことに気づく。



「サスケェェェ!!!」


でももう一つ。

もう一つだけ、望んでもいいだろうか。


ナルトは全力で駆け出した。



人生最高のプレゼントは、

あと少しで、手に入るのだ。





 end






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