誕生日の約束
2011/07/23 Sat
平和な木の葉の未来妄想。
火影×上忍。
「サスケェ!!」
聞き覚えのありすぎる声に、サスケは足を止めた。
こんな里の中心街でも気にすることなく大声を出す相手など分かりきっている。
内心の舌打ちとともに仕方なく背後を振り返ろうとした途端、サスケの背中に勢いよく重みがのしかかってきた。
「サスケお帰り!任務ご苦労さま〜!!」
「てめ、離せ‥!!」
ぎゅうぎゅうと後ろから思い切り抱き着いてくる男を、サスケは忌ま忌ましげに睨む。
こんな人通りの多い場所で男が男に抱き着かれてるなんて有り得ない。
それに、そもそもこの男がまだ明るい昼間にこんなところを出歩いていること自体、あってはならないはずのことである。
里でたった一人しか着ることを許されていない羽織を堂々と着ているこの男は、誰もが知る木の葉の里の当代火影うずまきナルトなのだから。
「なあなあサスケ。今日はさ、俺の仕事が終わったら‥お前ん家行ってもいいか?」
全く離れる様子のないナルトは、離そうともがくサスケを気にすることなく耳元で小さく問い掛けてくる。
久しぶりに聞く、僅かに熱を含ませた甘い声にサスケは一瞬ぞくりと肩をふるわせるが、わざわざナルトが約束を取り付ける意図がよく分からなかった。
火影の仕事はいつ片付くか分からないため、いつもは約束もなくたまたま仕事が早く片付いた時に突然やってくるだけだった。
「‥約束なんかして‥いいのかよ」
「ん?」
「仕事が早く片付く保障なんてねぇだろうが」
「あぁ、それは大丈夫だってばよ!何があっても絶対ぇ早く終わらすから!!」
ニカッと笑うナルトは、何故か自信に満ち溢れていた。
怪訝な顔をする頬にちゅっとキスをし、サスケは肩と腰に腕をまわしてきたナルトに体をくるりと反転させられた。
向かい合うように抱きしめられる。
「‥ナルト?」
「サスケ、今日は何の日か知ってるか?」
「‥は?」
「今日はサスケにとっても、俺にとっても特別な日なんだってばよ」
「‥‥‥?‥‥あ‥」
「やっと分かった?今日は7月23日だろ?」
お前の誕生日だってばよ!とナルトは嬉しそうに告げる。
「夕飯の時間くらいにはサスケん家行くから、ちゃんと待ってろよ?」
「‥‥あぁ」
「夕飯はどうする?どっか食べに行くか?それとも家で何か作る?」
俺としては、お互い仕事で疲れてるから二人で家でゆっくりしてぇけどなぁ〜。
さりげなくサスケの腰や尻を撫でまわし、甘えるように擦り寄ってくるナルトからは、誰が見ても厭らしい下心が見え見えである。
サスケは内心呆れながらも、それでもいつも多忙な恋人が自分のために必死で時間を作って誕生日を祝ってくれるというのは素直に嬉しいと感じていた。
「‥‥‥トマトとおかかおむすび、絶対買ってこいよ」
遠回しに夕飯は家で食べるから、と告げるサスケの言葉に、ナルトは途端にぱあっと顔を輝かせた。
「おう!めちゃくちゃ美味ぇトマトとおかか買って行くから、楽しみにしてろってばよ!!」
そう言ってもう一度ぎゅっと強くサスケを抱きしめたナルトは、少しでも早く恋人の家へ行くため、スキップでもしそうな機嫌の良さのまま、仕事へと戻っていったのだった。
end
――――――――――
平和な木の葉でいちゃついてるだけの二人。
ぎりぎり間に合わせたので、肝心なところ(その後の家でのいちゃいちゃ)が書けなかったのがかなり残念ですが‥とにかくサスケおめでとう!!ということで;
中心街のくせに周りの通行人が騒がないのは、里の皆さんが二人のいちゃいちゃぶりに慣れていて無視しているから‥というご都合設定でお願いします。笑
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