「兄者さま、兄者さま。少々お時間よろしいですか?」 「……おお、どうした鈴蘭。勉強か?」 「いえ、あのですね……」 「ん?」 「鈴蘭の……じゃなくてですね、わたしの髪、黒でも似合うと思いますか……?」 「……は?」 「……まあ、似合うだろうけど、違和感はあるだろうな」 「……ですよね……」 「どうかしたのか?」 「……いえ、学校で、わたしの髪は明るすぎるから黒く染めるように、と言われまして……」 「なるほどな。でも、お前のそれは地毛だから、染める必要はないと思うけど……同じことを何度も言われるようなら、僕からもちゃんと学校に説明するよ」 「すみません……ありがとうございます」 ◇ 中学校はともかく、高校の頃はこんなことがありました。 わたしじゃないですが、日焼けとかで髪が傷んで明るい色になった子が、染めるように言われてましたね…… 数ヶ月前に染めたわたしの髪は、プリンになりつつあります。 まあ、濃い目の茶色の下から黒が覗いているので、プリンよりはティラミスですが…… それよりも問題は、土曜日に母がお家にやって来ること! 髪を染めたことはまだ言っていないのです…… |