※半ば実話です+新人公演!
 08.02 10:27




 背後から何となくおぞましい気配を感じて、バッと振り返ると襲撃を受けた。

 がばちょっ! と意味もない擬音を呟いた彼女は、柔らかい身体をむやみやたらと擦り付けてくる。


「……ハルミナさん。離れてくれないと怒りますよ」

「えー? ジュンくん、あたしにお説教出来るの?」

「ごめんなさい出来ないですでも取り敢えず離れてくださいってば」


 相変わらず、肌を多く露出したハルミナさんは、にっこにっこと零れそうな笑顔で僕を見つめている。
 真っ青なノースリーブに真っ白なサロペット。うん。お腹が見えない格好なだけましだと思おうか。

 僕の言葉は全く耳に入っていないらしく……というかいつものことだが、素晴らしい笑顔のままで頭を撫でられ続ける。くすぐったい。


「だからハルミナさん……何の用ですか。用がなかったら離してください」

「用っていうか、ほら……スキンシップって大事じゃない?」


 つまり意味はないのか。
 何とかして彼女の腕から逃れようとするも、ハルミナさんは身長も体重も僕よりあるから、びくともしない。翡翠色の瞳は力強く、目を合わせると逸らせない気がする。

 こういうときは、あれか、「押して駄目なら引いてみろ」作戦か。


「ハルミナさん」

「んー? にゃにかにゃ?」

「もう抵抗しないので、好きにしてください」


 む、と不満を顕にして告げると、彼女はぴたりと静止する。
 効果があったかと思って見上げると、ふにゃあ、と柔らかい表情を向けられる。

 ……あれ?


「ジュンくん何それ可愛い! きゅんきゅんする!」

「え。えー……」


 相変わらず、彼女は読めない人だった。







 仕込みなう。

 バトン下ろしてると、前衛的。





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