背後から何となくおぞましい気配を感じて、バッと振り返ると襲撃を受けた。 がばちょっ! と意味もない擬音を呟いた彼女は、柔らかい身体をむやみやたらと擦り付けてくる。 「……ハルミナさん。離れてくれないと怒りますよ」 「えー? ジュンくん、あたしにお説教出来るの?」 「ごめんなさい出来ないですでも取り敢えず離れてくださいってば」 相変わらず、肌を多く露出したハルミナさんは、にっこにっこと零れそうな笑顔で僕を見つめている。 真っ青なノースリーブに真っ白なサロペット。うん。お腹が見えない格好なだけましだと思おうか。 僕の言葉は全く耳に入っていないらしく……というかいつものことだが、素晴らしい笑顔のままで頭を撫でられ続ける。くすぐったい。 「だからハルミナさん……何の用ですか。用がなかったら離してください」 「用っていうか、ほら……スキンシップって大事じゃない?」 つまり意味はないのか。 何とかして彼女の腕から逃れようとするも、ハルミナさんは身長も体重も僕よりあるから、びくともしない。翡翠色の瞳は力強く、目を合わせると逸らせない気がする。 こういうときは、あれか、「押して駄目なら引いてみろ」作戦か。 「ハルミナさん」 「んー? にゃにかにゃ?」 「もう抵抗しないので、好きにしてください」 む、と不満を顕にして告げると、彼女はぴたりと静止する。 効果があったかと思って見上げると、ふにゃあ、と柔らかい表情を向けられる。 ……あれ? 「ジュンくん何それ可愛い! きゅんきゅんする!」 「え。えー……」 相変わらず、彼女は読めない人だった。 ◇ 仕込みなう。 バトン下ろしてると、前衛的。 |