「わーいジュンくんありがとっ」 「いえ……礼には及びません」 華やかな風呂敷に瓶を二本包み、出来るだけ綺麗にお花の形に結んだものを、ハルミナさんのデスクに乗せる。 きらきらといつも以上に輝いた笑顔で、彼女はそれを抱きしめて笑った。 真っ白で涼しげなワンピース。 そんな彼女の腕の中、朱色できらびやかな風呂敷はなんだか浮いている。 「因みに、僕の家にまだ大量に残ってるんですけど、」 「いる! 帰り寄ってく!」 「……了解しました」 まだ言い切っていないのに台詞を食われた。酷く幸せそうな、満面の笑みである。 風呂敷の中身は何を隠そう……隠す必要もないけれど、先日我が家から発掘されたお酒だ。 取り敢えずカンパリとカルヴァドスを包んだけれど、……うん。お酒は好き嫌いなく飲める人だから、もっと色々押し付けても大丈夫かな。 「ねえねえジュンくん、泡盛とかマッコリとかある?」 「泡盛とマッコリですか……」 意外なところを突かれた。 そんなに東アジアにこだわらなくても良いだろうに……。 「……探せばあると思いますけど」 「あとはジンロとズブロッカとアルマニャックとー……あ。クレーム・ド・カシスとかある?」 「クレーム・ド・カシスは僕がカシオレにするから駄目です」 「……お酒強い癖にそういう可愛いのばっかり飲むよねえ」 それは僕の勝手だ。 いや、口答えはしないけれど。 ハルミナさんの感想を、苦笑で軽く受け流す。 少なくとも、誰かを幸せにするのは悪い気分じゃない。 |