※綺麗な風呂敷買おうかな。
 07.19 23:09



「わーいジュンくんありがとっ」

「いえ……礼には及びません」


 華やかな風呂敷に瓶を二本包み、出来るだけ綺麗にお花の形に結んだものを、ハルミナさんのデスクに乗せる。
 きらきらといつも以上に輝いた笑顔で、彼女はそれを抱きしめて笑った。

 真っ白で涼しげなワンピース。
 そんな彼女の腕の中、朱色できらびやかな風呂敷はなんだか浮いている。


「因みに、僕の家にまだ大量に残ってるんですけど、」

「いる! 帰り寄ってく!」

「……了解しました」


 まだ言い切っていないのに台詞を食われた。酷く幸せそうな、満面の笑みである。

 風呂敷の中身は何を隠そう……隠す必要もないけれど、先日我が家から発掘されたお酒だ。
 取り敢えずカンパリとカルヴァドスを包んだけれど、……うん。お酒は好き嫌いなく飲める人だから、もっと色々押し付けても大丈夫かな。


「ねえねえジュンくん、泡盛とかマッコリとかある?」

「泡盛とマッコリですか……」


 意外なところを突かれた。
 そんなに東アジアにこだわらなくても良いだろうに……。


「……探せばあると思いますけど」

「あとはジンロとズブロッカとアルマニャックとー……あ。クレーム・ド・カシスとかある?」

「クレーム・ド・カシスは僕がカシオレにするから駄目です」

「……お酒強い癖にそういう可愛いのばっかり飲むよねえ」


 それは僕の勝手だ。
 いや、口答えはしないけれど。

 ハルミナさんの感想を、苦笑で軽く受け流す。
 少なくとも、誰かを幸せにするのは悪い気分じゃない。





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