待ち人
毎日毎日、朝夕と、僕は待つ。
僕とは対照的な華やかな色彩のビジュアル。
それと対照的な、僅かな逢瀬にも関わらずストイックな態度で終始押し黙ったまま、なんていうクールさは愛すべきところだ。
そんな彼を削って掬い取る、恍惚。
『オムライス、ひとつ』
メニューを持つ女の指は細い。
マドモアゼル、お願いだから先にスープを飲まないで欲しい。
聞き届けてくれる筈も無いと解っていながら、祈る。
だって誰だって、愛しいひとと会う時は綺麗でいたいものじゃないか。
ただでさえ、彼は光り輝いている。
誰かが言った。そう見えるのはあなたが彼を愛しているから。知っているよと僕は返した。
つめたい身体に伝わった筈の焦熱も消え失せて、忘れた頃。
あれは、うたたねに見た夢幻だったのだろうかと考えた。
そしてまた繰り返す。泡に塗れて濯がれて、死んだように横たえながらあなたを待ち続ける日々。