待ち人

 毎日毎日、朝夕と、僕は待つ。
 僕とは対照的な華やかな色彩のビジュアル。
 それと対照的な、僅かな逢瀬にも関わらずストイックな態度で終始押し黙ったまま、なんていうクールさは愛すべきところだ。
 そんな彼を削って掬い取る、恍惚。

『オムライス、ひとつ』

 メニューを持つ女の指は細い。

 マドモアゼル、お願いだから先にスープを飲まないで欲しい。
 聞き届けてくれる筈も無いと解っていながら、祈る。
 だって誰だって、愛しいひとと会う時は綺麗でいたいものじゃないか。
 ただでさえ、彼は光り輝いている。
 誰かが言った。そう見えるのはあなたが彼を愛しているから。知っているよと僕は返した。


 つめたい身体に伝わった筈の焦熱も消え失せて、忘れた頃。
 あれは、うたたねに見た夢幻だったのだろうかと考えた。
 そしてまた繰り返す。泡に塗れて濯がれて、死んだように横たえながらあなたを待ち続ける日々。


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
第4回BLove小説漫画コンテスト開催中
リゼ